この軽さを例えるならあの時代のあのマシン!

:岡田さんは、まず最初に213VーSの軽さを褒めてましたが、車重は軽ければ軽いほどいいバイクになるんですか? 

伊藤
:いや、そうとは限らないですよ。さっきのタメの話もそうだけど、マスの大きさによっても変わってくる。ちゃんとパワーを出し切れるだけの車体の重さが必要だったりするので。ホイールなんかも、ただ軽いだけだとフラフラするので、ある程度ジャイロ効果を発生させるホイールの方が良かったりもするし、そこは車輌によって変わってくると思います。

:軽いことにはいろいろなメリットがあるけど、それがいい方向に作用しているのは、213VーSがいいバイクだからこそだと。

岡田
:いくら軽くても、全体のバランスが取れてないと、ただの安定感のないバイクになるからね。

:では細かい部分の話もお聞きしたいのですが、「ココは気に入った」って箇所はありましたか?

岡田
:今日は寒いから良かったけど、エンジンの熱がちょうどふくらはぎから足首にかけて当たってくるのね。だから夏場に乗ったらかなり熱そうだなって思った。

伊藤
:うん、実際俺は夏にも乗ったことあるけど、メチャクチャ熱かった(笑)。ただその分、今日みたいに寒い日に乗るとアフリカツインより温かかったんだけど。

岡田
:確かに! 冬に乗るには温かくていいバイクだよね(笑)。

伊藤
:足だけじゃなくて、なぜか手も温かいんだよ。ナックルガードのあるアフリカツインより温かく感じたから、ちゃんと風の流れを計算してるのかなって思った。

岡田
:あと、シートも良かった。こんなに薄いのに、長時間乗ってもお尻が痛くならなかったもん。さっきも言ったけど、普通はだんだん疲労度が蓄積していくのに、もとからあんまり疲れないから、ずっと疲れないままなんだよ。

:そんなに街中や高速を長時間走っても大丈夫なバイクとは、ちょっと予想外でした(笑)。

画像: 取材中は2台を交互に試乗してもらうことに。伊藤「俺がアフリカツインに乗ってる時に、213V-Sに乗る岡田を見るとちょっと嫉妬するよね。こっち135万で向こう2190万かって」。岡田「小学生かよ…」。なんだかんだで仲良い2人です。

取材中は2台を交互に試乗してもらうことに。伊藤「俺がアフリカツインに乗ってる時に、213V-Sに乗る岡田を見るとちょっと嫉妬するよね。こっち135万で向こう2190万かって」。岡田「小学生かよ…」。なんだかんだで仲良い2人です。

岡田
:疲れない一番の理由はやっぱり軽さだと思うけど、ピッチングモーメントが少ない点も効いてる気がする。重いバイクだと、発進や停車時で、結構ドシンドシンと車体が動くでしょ。そういう動きって疲労度に繋がるんだけど、このバイクはそれがない。発進時も、ふあ〜ってなんのショックもなく出ていくから。

伊藤
:たぶん、ライダーの乗車位置は結構前なんだけど、車体自体の動きは前につんのめったりしないから疲れないんだよね。疲れるバイクって前後に振れるじゃないですか。実は213VーSってスイングアームを長めに作ってあってね、重量配分でリアが占める割合が結構大きいんですよ。乗り手は前に乗ってるんだけど、上手くバランスが取れてるんだよね。

岡田
:そうだね。

伊藤
:モトGPマシンなんかもね、あの300馬力近い馬力をフルで伝えようとすると、やっぱりこういうディメンションじゃないと、トラクションが掛からなくなるんですよ。どちらかというとスイングアームが長めで、後ろに荷重が乗りやすくなっていて、かつ、ウイリーしないようにライダーの乗車位置は前に乗ってる。ちゃんと両輪が上手くバランスして沈むようになってるから、ピッチング方向の動きが少なくて済むんですね。「とんでもない推進力があってブレーキはとことんハード、アクセル開ければ後ろか沈む」…そんな走りの中でピッチングを少なくするとしたら、自然とこういうディメンションのバイクになるんでしょうね。

:そうした並外れた軽さだったり、バランスの良さとかも、普通の市販車ではあり得ないというか、これだけのコストを掛けたから実現できたことなんでしょうか。

岡田
:まあ価格の話にまとめちゃうと、ごもっともというか、そこで終わっちゃんうだけど(笑)。でもこの走りは、精度の高さ、軽さ、エンジン特性と、いろいろな要因によるものじゃない? それがトータルバランスになるんで。ただ普通の市販車じゃ、こんな乗りやすさは出せないのも確かだけどね。

伊藤
:昔もさ、市販車でこの手のバイクが出たことがあっても、単純にもうガッチガチで、公道で乗るのはムリだなって感じだったじゃない。でもこれはね、ディメンションがほぼモトGPと一緒、サスペンションもほぼ一緒で、そういう乗りやすさ、味が出せてる。それってやっぱり、作った人が結構頑張ったんじゃないかなって気がするなぁ。本気で。

岡田
:あっ、わかった! これ、2ストに乗ってるみたいなのよ。

:と言いますと…?

岡田
:昔の2ストレーサーに乗ってるみたいな軽さなの。

伊藤
:それは俺も思った! めっちゃ軽くて、NSR500みたいだなって。なかなか市販のバイクで、あんな味は出せないよな。

岡田
:うん。どうすればこの乗り味を伝えられるかなってずっと考えてたんだけど、2ストレーサーの軽さが一番伝わると思ったよ。

伊藤
:エンジンブレーキだって、セッティングで2ストみたいに効かなくもできるしな。ほんと、あの頃の2ストが蘇った感じだね。

岡田
:うん、ほんとにそう思う。

:前回とは一転して、今回は意見がかなり合致しましたね(笑)。それだけ、213VーSは文句なしによく出来たバイクなのかと。お二人とも、長時間のインプレッションありがとうございました!

画像: 足まわりの節度が文句なし(岡田) 「想像していたよりも、乗っていて全然疲れない!」と驚いていた岡田さん。これだけの軽さとバランスの良さ、乗り味を実現するのは通常の市販車では難しいよ、と断言。

足まわりの節度が文句なし(岡田)
「想像していたよりも、乗っていて全然疲れない!」と驚いていた岡田さん。これだけの軽さとバランスの良さ、乗り味を実現するのは通常の市販車では難しいよ、と断言。

HONDA RC213V-S

画像: HONDA RC213V-S

排気量に比較するとコンパクトな車体、シートも細身で足着きは悪くない。前傾ポジションも見た目ほどキツくなく、スポーツライディングに慣れていないライダーでも違和感なく乗りこなせるような上質な乗り味にあふれている。

画像: 「こんなバックステップのバイクに乗るの超久しぶりだね」と笑う岡田さん。前傾ポジションにもすぐに慣れ、長時間乗っても首やお尻が痛くならないことに、かなり感心していた様子。

「こんなバックステップのバイクに乗るの超久しぶりだね」と笑う岡田さん。前傾ポジションにもすぐに慣れ、長時間乗っても首やお尻が痛くならないことに、かなり感心していた様子。

PHOTO:松川 忍

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