ZXR750から進化してCBR900RRをターゲットに
Z1やGPZ900Rなど「900」という排気量はカワサキを象徴する数字であった。しかし、92年にホンダからCBR900RRが登場すると、その足元は揺るがされる。そこで、伝統の900㏄クラスの覇権争いに挑むことを選んだ。それが、ニンジャZX-9Rだ。ZXR750をベースに、ボア×ストロークを拡大して899㏄にまでスケールアップされたサイドカムチェーン4気筒エンジンで、ツインラムエアシステムを採用し、CBRを大きく上回る139PSを発揮した。
スーパースポーツを1000㏄で確立
最高出力150PS、乾燥重量177㎏、ホイールベース1395㎜。ヤマハスーパースポーツの全貌は1997年にミラノショーで発表され、一気に世界に広がった。ライバルたちの900㏄ではなく1000㏄をチョイスし、リッタークラスでも、峠で操る楽しみを存分に得られるというコンセプトのもと、クランク、クラッチ、ミッションを立体的に組んだ3軸構造の水冷DOHC5バルブフォアを専用設計。これによってエンジン外寸のコンパクト化を実現。アルミ製のデルタボックスIIに載せたヤマハの新世代モデルはスーパースポーツ=1000㏄という分野を、この一台で確立してしまった。
誕生から30年時代の潮流に存在意義が変化するGSX
84年9月発表の初代GSX-R750。レーサーそのままの外観と当時の常識を破る軽さ、そして高出力。それは油冷エンジンを搭載した大排気量レーサーレプリカだった。その後、レベルアップを図ってきたGSX-R750だが、90年代は大きな変革の時を迎える。92年に油冷エンジンから水冷エンジンへと変わったのである。その後の96年ではフルモデルチェンジで車重を179㎏という驚異的な軽さを手に入れて評価が高まり、2000年には3代目の登場で飛躍的に進化するも、レースのレギュレーションが1000㏄になり、GSX-R1000も登場。その存在意義にも変化が求められていくのである。