ツインならではの鼓動感と走りが新しいファンを生んだ
89年に登場したゼファーと90年に登場したZZR1100のおかげで、レーサーレプリカ一辺倒だった二輪市場は新しい時代の扉を開けた。ネイキッドカテゴリーは主流となり、スポーツツアラーは最高速をキーワードに人気となった。
それらカテゴリーの誕生と流れとは別に、それまで限定解除をすることでしか乗れなかった大排気量モデルだが、大型自動二輪免許が教習所で取得できるようになったため、ビッグバイクに乗ることそのものがブーム化したのである。
その環境が整ったビッグバイク市場には、新しいモデルが立て続けに投入され、そのおかげで、ここで紹介されているVツインスポーツのように、短命ながらも新しいカテゴリーが生み出されることになったのだ。
YAMAHA TRX850(1995/3)
美しいトラスフレームにTDM850ベースの水冷並列2気筒DOHC5バルブエンジンを搭載。クランクはTDMの360度タイプから270度クランクに変更。90度Vツインエンジンと同じ不等間隔爆発をもたらし、パルス感あふれる乗り味と優れたトラクションを実現している。
HONDA VTR1000Fファイヤーストーム(1997/4)
新設計1000㏄水冷90度Vツインを、アルミ製ダイヤモンドフレームに搭載したホンダ初のビッグVツインスポーツ。スイングアームピボットをエンジンのクランクケース後端に設ける先進的な設計を取り入れ、軽量化と優れた操縦性を両立した。
SUZUKI TL1000S(1997/2)
独自のアルミ製セミトラスフレームに、新開発のセミカムギアトレーン水冷Vツインを搭載したスズキ初の本格リッターVツインスポーツ。リアサスは新開発のロータリーダンパー別体式モノショックを採用している。
SUZUKI TL1000R(1998)
スーパーバイクレース参戦用のベースモデルとして開発されたVツイン・スーパースポーツ。フレーム、足まわりはレースを戦うための戦闘力を重視した専用設計。
SUZUKI SV650S(1999/4)
水冷90度Vツインアルミオーバルパイプ製トラスフレームに載せた650スポーツ。φ41㎜正立フォーク、リンク式モノショックで足まわりを支え、パワーは70馬力をマークした。