2018 年のインターモトでデビューし、その後のEICMA でブラックの車体色が発表されたカタナ。2019 年にもっとも注目を集めるモデルであることは間違いないが、スズキのエポックメイキングなモデルはカタナだけではない。長年培って来たGSX ブランドはカタナと同様、時代の寵児として今なお進化し続ける。今特集では、そんなカタナとGSX シリーズの魅力に徹底的に迫る!

衝撃的なデビューを飾った1980年の興奮が再び!

 時は1980年。ドイツ・ケルンで開催されるモーターショーが、まだインターモトではなく「IFMAショー」と呼ばれていた時代。スズキブースに大きな話題を呼ぶ1台のバイクが展示された。美しい曲線美を見せる、張りのあるタンクと、そこからつながってフロントノーズにかけて鋭くなっていく、シャープなフロントカウルは、日本刀の切っ先をイメージしたもの。そして、ライダーを迎えるかのように窪んだ濃紺のシートと、グレーに彩られたタンデムシートは、まるで日本刀の束のよう。
 誰もが見たことのないカタチ。「カタナ」と名付けられたそのバイクを、ギャラリーたちはまるでよその星から来た乗り物でも見るかのような目で眺めていた。
 これが後世語り継がれてきた「ケルンの衝撃」と呼ばれる、カタナ誕生の瞬間である。
それから40年近い時が過ぎ、場所は同じくドイツのケルン。鈴なりのメディアが押し寄せたスズキブースに、刀を鍛え上げ、居合抜きの達人がその刀を抜く映像が流れる。完成と熱狂の中で姿を現す、1台のシルバーのバイク。そう、世界中のライダーをとりこにした、あのカタナが再びケルンの地に帰って来たのだ!

画像: 衝撃的なデビューを飾った1980年の興奮が再び!

カタナ38年の歴史の中で初めてのブラックが誕生

 新型カタナの発表がドイツ・ケルンのインターモト会場で行われてしばらく経った2018年・10月中旬。それまでカタナのティーザー動画を4つ配信していたスズキが、突如5つめのティーザー動画を配信し始めた。
 実車が登場し、スペックも発表されたのに、まだ続きが…。固唾を飲んで動画を見ると、そこには全身ブラックに仕立てられたカタナの姿と、翌月からイタリア・ミラノで開催されるEICMAの日程があった。
 かくして、11月のミラノでは、スズキブースにまたしても黒山の人だかりができた。和太鼓のパフォーマンス、そして居合抜きの実演の後に姿を現した漆黒の新型カタナに、会場はまたしても湧いたのである。
 ブラックのカタナを見て喜ぶライダーはなかなかのカタナ通、スズキ通だろう。なぜなら、1981年に市販開始となって以来、スズキはただの一度も、カタナの純正ボディカラーにブラックを使ってこなかったのだ。

画像: カタナ38年の歴史の中で初めてのブラックが誕生

ケルンへ――開発陣が一丸となり世に送り出された

 今回突如登場することになった新生カタナだが、そのきっかけは昨年の11月にイタリアで開催されたEICMA(ミラノショー)にさかのぼる。スズキブースの片隅に、突如「カタナ3・0」という名のバイクが展示され、たちまち注目を浴びたのだ。
 騒ぎの火種となったそのバイク、カタナ3・0は、イタリアのモト・チクリスモ誌が誌面展開してきた、GSXーS1000をベースとしたカスタム企画から生まれたマシン。噂はたちまち会場中を駆け抜け、アッという間に多くのメディアがやって来た。
 しかし、騒ぎはこれだけでは収まらなかった。なんと、このカスタムバイクにスズキそのものが動くことになったからだ!
 EICMAでの「カタナ3・0」の反響はすぐにスズキに報告され「なんとかコレを現実のものにできないか?」という稟議が上がり、議論が始まった。聞けばそこでも賛否両論あって、激しい議論が交わされたようだが、最終的にこの稟議の結果、なんとGOサインが出されることになる。それが2018年1月のことである。
 通常オートバイの開発というものは、たとえ派生モデルであったとしても、商品企画の立案からデザイン、プロトタイプの制作、実走テストなど、さまざまな作業を必要とするもの。大企業におけるひとつのプロジェクトとなれば、大勢の人手を使った上に、数年かけて商品化するのが通例だ。
 このカタナの場合、稟議の末にスズキが正式にGOサインを出したのが2018年の1月。通常であば実車のデビューはそこから2年後、早くても1年ちょっとは必要になるが、今回のインターモトでのデビューはそれからたった9か月後の10月。スズキは「何としてもインターモトに間に合わせる!」という大号令のもと、異例づくめの超スピード開発を命じたのである。
 スズキにそこまで開発を急がせた理由はたったひとつ。それはケルンだから。
 初代のカタナが誕生したケルンでカタナを再び送り出すべく、スズキは無理を承知で開発期間を圧縮したのである。当然作業は困難を極めたそうだが、開発陣は一丸となってこれを突破したのだ。

画像1: ケルンへ――開発陣が一丸となり世に送り出された

 フロントカウルのノーズにかけての尖り具合、スクリーンの角度など、カタチは違っていても醸し出す雰囲気はまさしくカタナ。伝統を継承しながら、見事に現代にフィットさせた「KATANA」スタイルは、イタリア人デザイナー、ロドルフォ・フラスコーリ氏の作。初代カタナへのリスペクトにあふれたフォルムだ。

画像2: ケルンへ――開発陣が一丸となり世に送り出された

インパクトある個性を現代にアレンジした形

 世界中にセンセーションを巻き起こした初代カタナは、美しい張りのある曲面特徴の独特な形状のフューエルタンクから、ウエッジシェイプのフロントカウルまでがつながるデザインで、まるで日本刀の刀身を思わせるようなスタイリングが特徴だったが、新型カタナもまたその「伝統」を大切にしたフォルムとなっている。
 やや高めにセットされたタンク上部から低く構えたノーズまで、シャープにつながるラインを取り入れ、初代の「伝統」を継承。特にフロントマスクのサイドラインは、デザインの際に初代カタナの実車をスタジオに持ち込んだというだけあって、どことなく初代からの流れを感じさせる。
 こうした「伝統」を表現しながら、最新のスポーツネイキッドらしい「斬新さ」も新型カタナは併せ持っている。大胆に切り落としたショートテールスタイルがその表れだ。スズキ初となるスイングアームマウントのリアフェンダーを採用し、スタイリングと機能性を両立する一方、新生カタナは強烈な個性もアピールしているのだ。

画像: インパクトある個性を現代にアレンジした形

■全長x全幅×全高:2125 x 830 x 1110 ㎜ ■ホイールベース:1460 ㎜ ■シート高:825 ㎜ ■

最低地上高:140 ㎜ ■車両重量:215㎏ ■エンジン形式 水冷4ストDOHC 4バルブ並列4 気筒:総排気量 999 ㏄ ■ボア×ストローク:73 . 4 x 59㎜ ■圧縮比:12 . 2 ■最高出力:149 .6 PS/ 10000 rpm ■最大トルク:11 . 0 -m/9500 rpm ■燃料供給方式:FI ■燃料タンク容量:12ℓ ■キャスター角--/トレール:25 / 100 --㎜ ■変速機形式:6 速リターン ■ブレーキ形式 前・後:φ310 ㎜ダブルディスク・φ220 ㎜ディスク ■タイヤサイズ 前・後:120 / 70 ZR 17190 / 50 ZR 17

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