2018 年のインターモトでデビューし、その後のEICMA でブラックの車体色が発表されたカタナ。2019 年にもっとも注目を集めるモデルであることは間違いないが、スズキのエポックメイキングなモデルはカタナだけではない。長年培って来たGSX ブランドはカタナと同様、時代の寵児として今なお進化し続ける。今特集では、そんなカタナとGSX シリーズの魅力に徹底的に迫る!

画像: SUZUKI GSXとKATANA
時代の寵児 『KATANA:第二部』
〈GOGGLE 2019年2月号より〉

カタナの複雑なボディラインを美しく映し出すブラック

 初代1100の登場から38年。どうして今まで純正カラーとしてカタナにブラックをラインアップしてこなかったのかは今となっては知る由もないが、独創的な造形美を誇る新型カタナのボディワークと、ブラックのカラーリングは非常に相性がいい。
 高めにマウントしたタンクの頂上から、シャープに尖ったノーズ先端まで一気につながる日本刀の刃先を思わせるエッジの効いたウエストライン。新型カタナ一番の「見どころ」となるパートの造形を、グラススパークルブラックという名の新色は鮮明に見せつけてくれるのである。
 オートバイを所有することで味わえる喜びには、操る喜びと眺める喜びがある。ブラックという車体色がいつの時代も「定番」と言われるのは、車体の複雑な陰影や抑揚、そしてボディラインをくっきりと映し、楽しませてくれるから。新型カタナにも、ついにその喜びを味わえるカラーが登場したのだ。
 少年の頃、1100カタナを見て感銘を受けたデザイナーが造り上げたカスタムマシンにスズキが呼応する形で誕生した新型カタナ。カタナを愛する者たちが造り上げたバイクだけあって、新型は随所に1100カタナに対するリスペクトやオマージュ、そして強いこだわりを感じさせる。
 ヘッドライトレンズの大きさ、スクリーンの角度、ノーズ下のフラップ風DRL(デイタイム・ランニング・ライト)、サイドパネルに設けられたスリット、そして何よりタンク上の赤い「SUZUKI」ロゴとサイドの「刀」ロゴ。新型のいたるところに、開発陣の「カタナ愛」があふれている。
 スタイリングだけでなく、新型カタナは機能面にもこだわっている。操作性を重視してあえてアップタイプのバーハンドルを採用したり、メーターをGSXーR1000の多機能なものに換装したり、トラクションコントロールなどのライディングアシストも充実させるなど、最新のスポーツネイキッドとしての資質も大切にしているのだ

画像: カタナの複雑なボディラインを美しく映し出すブラック

GSXーRがルーツの高性能コンポーネンツ

 新型カタナのメカは、スズキが誇るテクノロジーが惜しみなく投入されている。アルミツインスパーフレームは、GSXーRシリーズで使われている解析技術をもとに造られたもので、高い剛性と柔軟性を巧みにバランスさせながら、フレーム重量はGSXーR1000より軽量に仕上がっているのが特徴。スイングアームはGSXーRのものと同型だ。エンジンはGSXーR1000のものをルーツとするユニットで、パワーはほぼ150PS。ショートマフラーから奏でるサウンドも非常に勇ましく、新型カタナも、走り出せば「GSXーRの血統」を五感で感じられる仕様となっている。

画像1: GSXーRがルーツの高性能コンポーネンツ

パワーユニットのルーツは、スズキが誇る最強SS、GSX-R1000のもの。もともとは185PSを誇ったハイパワーユニットをリファインすることで、パワー特性を最適化、力強さに扱いやすさを加えた特性としている。ショーとマフラーから奏でるサウンドは非常に勇ましいもので、新型カタナも、走り出せば「GSX-Rの血統」を五感で感じる仕様となっている。

画像2: GSXーRがルーツの高性能コンポーネンツ
画像3: GSXーRがルーツの高性能コンポーネンツ

エンジン回転数に合わせて最適な濃さの混合気を送り込むため、上下2段にバタフライバルブを設けた「SDTV」を採用している。

画像4: GSXーRがルーツの高性能コンポーネンツ

ピストンは剛性の最適化を狙い、コンピューター解析を導入して設計されたもの。

画像5: GSXーRがルーツの高性能コンポーネンツ
画像6: GSXーRがルーツの高性能コンポーネンツ

トラクションコントロールを標準採用。基本システムはGSX -S 1000と同様で、走行状況に応じて介入度を3段階で設定可能だ。ボッシュ製のABSユニットは非常にコンパクトで、カタナは単体重量わずか640 gという軽量なものを搭載している。

画像7: GSXーRがルーツの高性能コンポーネンツ

新型カタナのシャシーは基本的にGSX-S1000のものを採用している。GSX-S1000シリーズに使用されているアルミツインスパーフレームは、GSX-Rシリーズで使われている解析技術をもとに造られたもので、高い剛性と柔軟性を巧みにバランスさせながら、フレーム重量はGSX-R1000のものより軽量に仕上がっているのが特徴。後述する「カタナ3.0」ではフォルム優先のためスイングアームの垂れ角が調整されたが、この市販モデルではハンドリングを重視してGSX-S同様のディメンションを採用する。前後サスペンションのセッティングはカタナ専用のものを採用、ハンドル形状やシート位置が異なるので、ライポジもGSX-Sとは若干違ったものとなっている。

画像8: GSXーRがルーツの高性能コンポーネンツ

■全長x全幅×全高:2125 x 830 x 1110 ㎜ ■ホイールベース:1460 ㎜ ■シート高:825 ㎜ ■

最低地上高:140 ㎜ ■車両重量:215㎏ ■エンジン形式 水冷4ストDOHC 4バルブ並列4 気筒:総排気量 999 ㏄ ■ボア×ストローク:73 . 4 x 59㎜ ■圧縮比:12 . 2 ■最高出力:149 .6 PS/ 10000 rpm ■最大トルク:11 . 0 -m/9500 rpm ■燃料供給方式:FI ■燃料タンク容量:12ℓ ■キャスター角--/トレール:25 / 100 --㎜ ■変速機形式:6 速リターン ■ブレーキ形式 前・後:φ310 ㎜ダブルディスク・φ220 ㎜ディスク ■タイヤサイズ 前・後:120 / 70 ZR 17190 / 50 ZR 17

GOGGLE (ゴーグル) 2019年2月号 [雑誌]

モーターマガジン社 (2018-12-22)

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