多くのロードレーサーを育てたミニレーサーレプリカ
1987 NSR50【A-AC10】
操る楽しさを充分に味わえるどころか、キッズあるいはティーンエイジャーのビギナーたちにとってはスポーツライディングのイロハを学ぶにはうってつけの教材ともなったミニレーサーレプリカ。その代表格がNSR50/80だ。振動を低減させる一軸バランサーを内蔵する水冷エンジンは、50で7.2PS、80は12PSを発揮した。
前後12インチの足まわりを持つ車体に、水冷2サイクル単気筒エンジンを搭載し1989年にデビュー。50は「ついに俺たちにも乗れる本格派レーサーレプリカが出た」と、原付1種免許しか持っていなかった高校生らがこぞって買った。
サイレンサーの位置を上方に移動しただけでなく、低中速域での扱いやすさを向上させるために2次減速比を変更した。また、80は新たに5速と6速のギア比をクロス化し、つながり感をいっそうスムーズにしている。
インテークマニホールドにチャンバーを新設すると共に、リードバルブガイドの形状を見直し、吸入効率を一段と向上。また、フライホイールの軽量化で低・中速域でレスポンスに優れた力強い出力特性を実現している。
ロゴやエンブレムが随所に施され、ワークスマシンの雰囲気が味わえるスペシャルカラーリングモデルとして、限定3000台で発売されたロスマンズカラー。94年1月にリリースされたが、80には設定がなく50にしかなかった。
99年式は、前年にWGP500ccクラスでチャンピオンを獲得したNSR500のレプソルホンダカラーを採用。燃料タンク上面にドゥーハンのサインが施されていた。
レーサーレプリカを牽引したNSRシリーズは、原付クラスではフルサイズにこだわらず、前後12インチのミニサイズで勝負した。
見た目は可愛いが、NSRのネーミングを冠する以上は本格派でなければならないと、ワークスレーサーNSR500のイメージをもたせた車体は、軽量高剛性のツインチューブフレームに、クラス最高レベルの7・2PSを発揮する水冷エンジンを搭載。フルカウルやスリムで長い燃料タンク、S字断面スポークを持つアルミ製キャストホイールを備え、スポーティな走りが楽しめた。
89年にはサイレンサーを上方にレイアウトし、ワークスマシン譲りのムードをさらに向上。95年には新形状の2分割ハンドルや高級感あふれるアルミ製トップブリッジを採用するなど、兄貴分たちに負けじと着実な進化を果たすなど記憶に残る末弟だ。
1985 NS400R 【NC19】
エンジンはクランクケース前方水平に2気筒、後方に90度の角度をもって1気筒を配置したV型3気筒。自動的に排気容積を変化させ、効果的な脈動効果が得られる自動調整トルク増幅排気機構(ATAC)を採用していた。車体色はトリコロールのほかロスマンズもあり、アルミ製コムスターホイールを履いているなどホンダファンには垂涎モノ。