マイナーチェンジで熟成を図った89年型
1989 NSR250R【MC18後期】
キャスター角24°→23°15′、トレール90→87mm、ホイールベース1355→1345mmなどジオメトリーの変更によって旋回性を飛躍的に向上。チャンバーはサーキットユースをさらに意識し、楕円断面をもつオーバル形状になった。また、ワークスイメージそのもののスラントノーズフォルムを採用したエアロフォルムは、高速時に風圧によるダウンフォースを生んだ。88年式とスペック上では劣らぬものの出力特性はマイルドになっている。
アジノモトカラーのSP仕様は、約1.5kgの軽量化を達成するマグネシウム製ホイールに加え、乾式多板クラッチを新採用。リアショックは伸び/縮み減衰力をそれぞれ単独で調整できるアルミ製リザーバータンク付きに。
88年式のPGMキャブレター、RCバルブIIを進化させ、複合的に制御するPGM-IIシステムへと発展。フロントをラジアルタイヤにし、アッパーカウルも前側に46mm突出した。
進化は止まらないガルアーム採用のMC21
1990 NSR250R【MC21】
シリンダーやヘッド、クランクなどの主要部を新設計したが、何よりも注目を浴びたのが、高い剛性を確保しながら大容量の排気チャンバーを効率よくレイアウトできるガルアームだった。異形角型2灯式ヘッドライトで顔つきがガラリと変わり、シートカウルが上方へ跳ね上がったほか、アルミツインチューブフレームも縦長の「目の字」構造をもつ異形5角断面材に。リアホイールが18→17インチ化されたのもこの時だ。
エンジン回転数、アクセル開度・操作速度、ギア段数の各要素を検知・演算し、空燃比から点火・排気にいたるまで総合的にコンピュータ制御し、最適の燃焼力を得るPGM-IIIシステムを新採用。
乾式多板クラッチを装備するSPは、フリクションディスク材を改良し、クラッチ軸受をブッシュタイプからニードルベアリングへ改良。マグネシウム製ホイールには、塗膜性に優れる表面処理を施した。
NSRといえばロスマンズ、そんなイメージを持つ人も少なくないはず。88年のSPに続き、92年1月に発売された。乾式多板クラッチや前後サスペンションに減衰力調整機構を標準装備し、マグネシウムホイールを履く。
乾式多板クラッチをはじめ、調整機構を充実させたフロントフォークやリザーバータンク付きショックを備えるほか、全日本ロードレース250クラスを連覇したワークスマシンイメージのカラーを採用したSEが登場。