未だ人気が衰えない国内最高峰モデルの誕生
Z1をルーツとするZシリーズの長い歴史の中で、日本国内ではある意味Z1以上の存在感を放っている重要なモデルが「Z2」こと750RSだろう。
72年にZ1がデビューし、ヨーロッパやアメリカで大人気となった。当然、国内でのZ1発売を待ち望む声も大きかったが、当時日本ではメーカー間の自主規制によって750ccを超える排気量のモデルを販売することができないという事情があった。
そのためにZ1をベースにした日本国内専用の750ccモデルとして開発されたのが750RSだ。ちなみに、正式車名はあくまで750RSで、Z2というのは形式名。
しかし、Z1が正式車名だったZ1に倣ってZ2という形式名が日本でも定着したのだ。
この750RS、車体の基本レイアウトは基本的にZ1のまま、クランクを新設計するなどの大幅な改良でエンジンのボア・ストロークを変更して排気量を746ccにまでダウン。
それでも最高出力69PSを発生、当時国内で直接のライバルであったCB750Fourを上回るパワーとZ1譲りのハンドリング、そして堂々たるスタイリングは、国内最高峰のスポーツモデルとして70年代中盤の日本に君臨することになる。
750RSはその後、細かな改良を加えられながら、76年に車名をZ750フォアに変更。78年にリアブレーキをディスク化したZ750Dとなった後、79年には国内向け750ccモデルは後継モデルのZ750FXへとバトンタッチする。
このZ750FXも初代こそ750RS系のエンジンをそのまま搭載していたが、80年のFXⅡからは76年に登場していたZシリーズのミドルモデル・Z650用のコンパクトなエンジンをベースに738cc化したエンジンに変更。
より軽快な走りを楽しめるモデルとなりさらなる人気を集める。82年にはZ750GP、83年にはGPz750Fへと発展。
水冷版GPZ750Rの登場によって一度その系譜は途絶えたかに思われたが、ネイキッドブームによって90年には750RS風のスタイルにFXⅡ系エンジンを積んだゼファー750として復活、07年まで生産される超ロングセラーとなった。
一方、GPzへの移行によって途絶えていたミドルZ系の流れが復活したのは、Z1〜Z1000の系譜が03年のスーパーネイキッド・Z1000に転生したことに端を発する。
新生Z1000がデビューした翌年である04年に、Z1000のフレームなどの基本メカニズムをベースに、ZX-9R系をベースにして開発されたエンジンの排気量を748ccにダウンしたZ750がデビュー、この構図はまさにZ1と750RSの関係そのものだ。
Z750はエンジンの他にも倒立だったフォークを正立にするなどの装備の変更、専用デザインのフロントマスク装着も受けて、扱いやすくリーズナブルなミドル・スーパーネイキッドとしての地位を確立する。
このZ750は07年にZ1000に合わせてモデルチェンジし、10年にはスイングアームやサスペンションを変更したZ750Rも追加。そして13年には車体の基本構成を受け継ぎながら、エンジンの排気量を806ccにまでアップし、スタイリングも一新したZ800へとモデルチェンジ。
完成度が大幅に高まり、ベーシックなスポーツモデルとしての魅力がさらに大きなものになった。