CB不在の暗黒歴史救ったのはBIG1だ
80年代中盤、大型バイククラスにも巻き起こったレーサーレプリカブーム。
ホンダはRC30を発売し、レースでの成功と同時に、市販車としても大成功、歴史的傑作モデルとなった。
しかし、その時期「非レーサーレプリカ」が手薄となり、CBどころか、750㏄モデル不在、という緊急事態へ。
4気筒スポーツ、ホンダらしいビッグバイクがない__。
そんな声を上げたのはホンダファンだけではなかった。
なんとホンダ内部の技術者たちも同じ思いで、そこで立ち上げたのがプロジェクトBIG1だ。
自分が欲しいホンダ、エンジンも車体も立派でデカく、カッコいいやつ。
市販を想定しない「好きものたちの雑談」がついにホンダという大企業を動かし、市販にGOサインが出る。
91年秋の東京モーターショー。
事前に出展予告されていたNRとCBR900RRではない車両に、ホンダファンがザワついた。
それがCB1000スーパーフォア。
その瞬間、この時点でモックアップでしかなかった夢のバイクが、市販へと走り出したのだ。
PLAYBACK ホンダ750㏄暗黒期
"ホンダ大型モデルをスティードがけん引した"
CB750F登場と同時に幕を開けた80年代は、王者ホンダにライバルメーカーが挑みかかった時代だったともいえる。カワサキはZ軍団でCBを追い詰め、スズキはレーサーレプリカを、そしてヤマハはファミリーバイクやミドルクラスを武器に、トップメーカーに迫ったのだ。
市販車人気をレーサーレプリカがけん引していたこの時期、ホンダ大型モデルは限定モデルRC30の大人気を最後に、以降のラインナップを手薄にしてしまった。
特に89〜90年、ホンダの大型ラインアップはBROS、スティード600が主力で4気筒モデルを持たず、88年3月のCBR750のカラーリング変更から、90年2月のニューVFR750F発売まで、ニューモデルを発表しなかった時期さえあった。
ようやくCBの名が復活したのが92年2月のCB750。
CB不在の、歴史的暗黒期だった。