フレキシブルな750ccエンジンで公道で楽しいスーパースポーツに変身『SUZUKI GSX-R750/GSX-R600』
レースで闘うために生まれたGSX-R750だけに、90年代に入ると油冷エンジンでライバルたちに立ち向かうには限界を迎えてしまう。
そして1992年のフルモデルチェンジでついにエンジンを水冷化。
しかしこの初代水冷モデル、水冷化でパワーアップはしたものの、油冷時代から基本構成を大きく変えないフレームを採用したこともあって、戦闘力の向上はそれほど進まず、1994年にキャブレター変更や軽量化が施されたGSX-R750SPを投入するが事態は好転しなかった。
だがスズキは、再びサーキットでの覇権を取り戻すため、フレームからエンジンまで一気に刷新するフルモデルチェンジを行い、1996年にGSX-R750は大きく生まれ変わる。
パワーを追求するだけでなくコンパクト化にもこだわった新型エンジンと、ワークスGPレーサー・RGVΓのディメンションを取り入れたアルミ製ツインスパーフレームによって、動力性能も運動性能も一線級に返り咲き、レースでも高い戦闘力を発揮。
1998年にエンジンをFI化したモデルを挟んで、2000年に再びフルモデルチェンジしてよりパワフルに、そしてコンパクト化を推し進めてさらに高性能化を実現した。
しかし、2005年からスーパーバイクレースの排気量上限が1000ccに変更されたことにともない、レースのために生まれたGSX-R750は2003年で姿を消す。
そこで注目されるようになったのがGSX-R600だ。
1992年、水冷GSX-R750をベースに排気量を縮小したモデルとして登場したGSX-R600は、1993年で一旦生産を終了。
1997年に再び1996年型GSX-R750ベースで復活、2001年にも750に続いてフルモデルチェンジ。
ベースモデルの750がコンパクト化を推し進めたこともあって、600はより軽快なモデルとして注目を集めはじめる。
そして2004年には、750ベースではない専用モデルとしてのGSX-R600が初登場。
この新生GSX-R600は、当時世界各地で盛んになってきた市販600ccマシンのレースに向け、車体のコンパクト化、高回転型のパワフルなエンジンにより、優れたパフォーマンスを実現。
激しさを増すレースに合わせて2006年、2008年、2011年にモデルチェンジを繰り返し、現在でも高い人気を誇っている。
そして2004年、以前とは逆にGSX-R600をベースに排気量を拡大したモデルとして新しいGSX-R750が姿を現わす。
レースのためという縛りから開放されたこの新世代750は、600ベースの軽量コンパクトな車体はそのままに、排気量アップによりフレキシブルさを得たエンジンを組み合わせて、扱いやすさとスポーティさを高い次元で融合。
公道でスポーツライディングを楽しめる、トータルバランスに優れたスーパースポーツとして支持されるようになった。
そしてGSX-R600と歩調を合わせ、今なお進化を続けている。