フレキシブルな750ccエンジンで公道で楽しいスーパースポーツに変身『SUZUKI GSX-R750/GSX-R600』

レースで闘うために生まれたGSX-R750だけに、90年代に入ると油冷エンジンでライバルたちに立ち向かうには限界を迎えてしまう。

そして1992年のフルモデルチェンジでついにエンジンを水冷化。

画像: GSX-R750 1992年1月 アッパーカウルの形状は前年型に近い形状だが、ダブルクレードルフレームは5角形断面の新設計。 前後サスに左右非対称スイングアームなど、車体関係も一新された。 ●水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒 ●749cc ●77PS/9500rpm ●6.8kg-m/7000rpm ●208kg ●120/70ZR17・170/60ZR17 ●89万8000円(当時価格)

GSX-R750 1992年1月
アッパーカウルの形状は前年型に近い形状だが、ダブルクレードルフレームは5角形断面の新設計。
前後サスに左右非対称スイングアームなど、車体関係も一新された。
●水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
●749cc
●77PS/9500rpm
●6.8kg-m/7000rpm
●208kg
●120/70ZR17・170/60ZR17
●89万8000円(当時価格)

しかしこの初代水冷モデル、水冷化でパワーアップはしたものの、油冷時代から基本構成を大きく変えないフレームを採用したこともあって、戦闘力の向上はそれほど進まず、1994年にキャブレター変更や軽量化が施されたGSX-R750SPを投入するが事態は好転しなかった。

画像: GSX-R750SP 1993年7月 新設計の5角断面フレームとコンパクトな水冷エンジンを搭載。 93年型の変更点はカラーリングのみ。 ●水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒 ●749cc ●77PS/9500rpm ●6.8kg-m/7000rpm ●208kg ●120/70ZR17・170/60ZR17 ●89万8000円(当時価格)

GSX-R750SP 1993年7月
新設計の5角断面フレームとコンパクトな水冷エンジンを搭載。
93年型の変更点はカラーリングのみ。
●水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
●749cc
●77PS/9500rpm
●6.8kg-m/7000rpm
●208kg
●120/70ZR17・170/60ZR17
●89万8000円(当時価格)

だがスズキは、再びサーキットでの覇権を取り戻すため、フレームからエンジンまで一気に刷新するフルモデルチェンジを行い、1996年にGSX-R750は大きく生まれ変わる。

パワーを追求するだけでなくコンパクト化にもこだわった新型エンジンと、ワークスGPレーサー・RGVΓのディメンションを取り入れたアルミ製ツインスパーフレームによって、動力性能も運動性能も一線級に返り咲き、レースでも高い戦闘力を発揮。

1998年にエンジンをFI化したモデルを挟んで、2000年に再びフルモデルチェンジしてよりパワフルに、そしてコンパクト化を推し進めてさらに高性能化を実現した。

画像: GSX-R750 1998年 TL1000譲りの2ステージFIを採用。 油温上昇時に減衰力特性の低下を防止する自動補正リアショックや空力効果を高めたスクリーンも装備。 ●水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒 ●749cc ●135PS/12300rpm ●8.4kg-m/10300rpm ●179kg ●120/70ZR17・180/55ZR17 ●輸出車

GSX-R750 1998年
TL1000譲りの2ステージFIを採用。
油温上昇時に減衰力特性の低下を防止する自動補正リアショックや空力効果を高めたスクリーンも装備。
●水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
●749cc
●135PS/12300rpm
●8.4kg-m/10300rpm
●179kg
●120/70ZR17・180/55ZR17
●輸出車

しかし、2005年からスーパーバイクレースの排気量上限が1000ccに変更されたことにともない、レースのために生まれたGSX-R750は2003年で姿を消す。

画像: GSX-R750 2000年 驚異的な141馬力を発揮する水冷直4を、RGV-Γ譲りのツインスパーフレームに搭載。 乾燥重量も166kgという、スーパーバイクレース向けモデル。 ●水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒 ●749cc ●141PS/12500rpm ●8.6kg-m/10500rpm ●166kg ●120/70ZR17・180/55ZR17 ●輸出車

GSX-R750 2000年
驚異的な141馬力を発揮する水冷直4を、RGV-Γ譲りのツインスパーフレームに搭載。
乾燥重量も166kgという、スーパーバイクレース向けモデル。
●水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
●749cc
●141PS/12500rpm
●8.6kg-m/10500rpm
●166kg
●120/70ZR17・180/55ZR17
●輸出車

そこで注目されるようになったのがGSX-R600だ。

1992年、水冷GSX-R750をベースに排気量を縮小したモデルとして登場したGSX-R600は、1993年で一旦生産を終了。

1997年に再び1996年型GSX-R750ベースで復活、2001年にも750に続いてフルモデルチェンジ。

ベースモデルの750がコンパクト化を推し進めたこともあって、600はより軽快なモデルとして注目を集めはじめる。

画像: GSX-R600 2001年 GSX-R750ベースになり、GSX-R750から遅れること1年を経て、フルモデルチェンジ。 ポテンシャルを大幅に向上させ、600ccクラスのレースで活躍した。 ●水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒 ●599cc ●115PS/13000pm ●6.9kg-m/10800rpm ●163kg ●120/70ZR17・180/55ZR17 ●輸出車

GSX-R600 2001年
GSX-R750ベースになり、GSX-R750から遅れること1年を経て、フルモデルチェンジ。
ポテンシャルを大幅に向上させ、600ccクラスのレースで活躍した。
●水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
●599cc
●115PS/13000pm
●6.9kg-m/10800rpm
●163kg
●120/70ZR17・180/55ZR17
●輸出車

そして2004年には、750ベースではない専用モデルとしてのGSX-R600が初登場。

この新生GSX-R600は、当時世界各地で盛んになってきた市販600ccマシンのレースに向け、車体のコンパクト化、高回転型のパワフルなエンジンにより、優れたパフォーマンスを実現。

激しさを増すレースに合わせて2006年、2008年、2011年にモデルチェンジを繰り返し、現在でも高い人気を誇っている。

そして2004年、以前とは逆にGSX-R600をベースに排気量を拡大したモデルとして新しいGSX-R750が姿を現わす。

画像: GSX-R750 2004年 このモデルからレース向けで無くなった750は、レースから解き放たれたことで、ストリートに最適なスーパースポーツとして高く評価されるようになる。 ●水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒 ●749.1cc ●148PS/12800rpm ●8.8kg-m/10800rpm ●163kg ●120/70ZR17・180/55ZR17 ●輸出車

GSX-R750 2004年
このモデルからレース向けで無くなった750は、レースから解き放たれたことで、ストリートに最適なスーパースポーツとして高く評価されるようになる。
●水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
●749.1cc
●148PS/12800rpm
●8.8kg-m/10800rpm
●163kg
●120/70ZR17・180/55ZR17
●輸出車

レースのためという縛りから開放されたこの新世代750は、600ベースの軽量コンパクトな車体はそのままに、排気量アップによりフレキシブルさを得たエンジンを組み合わせて、扱いやすさとスポーティさを高い次元で融合。

公道でスポーツライディングを楽しめる、トータルバランスに優れたスーパースポーツとして支持されるようになった。

そしてGSX-R600と歩調を合わせ、今なお進化を続けている。

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