クルーザーに見えるが中身はシンプルなスポーツバイク
スーパースポーツやアドベンチャーなど、人気カテゴリーが多い250㏄クラスの中で、実は人気ナンバー1なのがレブル。特に2018年に入ってからというもの、PCX150/FORZA以外に販売ランキングトップの座を奪われたことがない、という人気ぶりなのだ。
現行型レブルの発売は2017年4月。発売当時は、そう注目を集めるモデルというわけではなく、CBR250RRとほぼ同時期に発売されたこともあって、注目度は今ひとつだった。
しかし、そこからジワジワと人気が出始め、18年に入った頃にはCBRと人気も逆転。そのまま250㏄クラスのベストセラーに輝いたのだ。
レブルは、実はなんの変哲もないスポーツバイクだ。エンジンは、CB250Rと共通の水冷単気筒をレブル500と共通の車体に搭載。
単気筒ならではのスリムさ、さらに690㎜という、原付スクーターよりも低いシート高で足つき性をよくし、誰にでも扱える「ちょうどいい」サイズを目指している。
さらに、ホンダが定義する車種カテゴリーでも、旧シャドウなどが「クルーザー」(つまりアメリカン)に分類されているのに対し、レブルは「ロードスポーツ」に位置づけられている。
つまりシートが低く、キャスターがやや寝ているが、ベーシックなロードスポーツなのだ。
パワーフィーリングも、クルーザーらしく低回転のトルクが強く、のんびり走ってドロドロドロッと回る、というようなタイプではない。
CB250R同様に、低速トルクと回転の軽さを両立しているタイプで、各ギア比も共通のため、ロードスポーツと同等の走りができるのだ。
しかし、車体はあくまでもベーシックなもので、前後16インチのファットタイヤや長いホイールベースなど、のんびりと走ることで、その安定性と、快適な乗り心地を味わえる。
決してスポーツランが不得手なわけではないけれど、のんびり走って楽しい、ゆっくり走って気持ちいい。それがレブルの魅力。
シンプルで、素材感を生かした個性の強すぎないモデルだけに、主張しすぎず、気軽にオートバイと付き合っている感があることが、今の人気につながっているのだろう。
力のあるエンジンを、穏やかなハンドリングと快適なポジションで味わえるスポーツバイク。だからこそ、今レブルはモテている。
文:中村浩史/写真:森 浩輔/モデル:木川田ステラ
※写真は、2018年モデル