そんなイメージにピッタリの場として、ここモナコで発表試乗会を開催しました。
(ジウリオ・マラゴーリ 氏 ドゥカティ・モーター・ホールディングSpA プロジェクトリーダー)
刷新されたエンジンはディアベルを飛躍させた
ニューディアベルの試乗会が、モナコで開催されると聞いて、ちょっと意外だった。
確かに、ディアベルのイメージに合っているのだろうが、街中は入り組んでいて、山手にあるワインディングは、それはもうタイトなうえ所々荒れていて、ディアベルには得意でないと思ったからだ。
いくら足着き性が良く、取り回しやすいと言えども、リアに240サイズのワイドタイヤを履く巨体だけに、機動性には限界があるし、ワイドタイヤは路面の凹凸にも影響されやすい。
ドゥカティらしくコーナリング性能が高くても、本領を発揮できるのは、路面状態が良い中速以上のコーナーが続く快速ワインディングなのである。
そんな従来型のイメージを抱いていたのだが、何のことはない。
渋滞している街中や小さく曲がる交差点、そしてハンドル切れ角を一杯に使ってターンするワインディングのコーナー、路面が荒れている所も、さほどストレスなく、こなしていくことができるではないか。
いや、どこでもかしこでも楽しめると言っていい。
とにかく、乗りやすい。この新型も、基本的に乗り味は従来型そのものなので、「乗りやすくなっている気がする」、と言ったほうが正確かもしれない。
おそらく、刷新されたエンジンの恩恵なのだろう。
テスタストレッタ11°は、インジェクション位置の変更やデュアルスパーク化によって、霧化状態や燃焼状態を改善、低回転域でのスムーズさと粘りが増している。
だから、極低回転でギクシャクしないし、6速で60㎞/hを切っても、エンストする気配がなく、気を使うことがなく、リラックスできる。
低速走行での加減速によるステアリングの動きもコントロールしやすく、安定感も高まっている。
また、高圧縮比化もあって、全域でトルクが強化され、怒涛の高回転域もスリリングではなく、力強さを堪能できる。
洗練され、骨太にもなっているニューディアベルなのだ。
SPECIFICATION
■全長×全幅×全高 2235×860×1192㎜
■ホイールベース 1580㎜
■シート高 770㎜
■車両重量 239kg/234kg
■エンジン形式 水冷4ストDOHC4バルブL型2気筒
■総排気量 1198㏄
■ボア×ストローク 106.0×67.9㎜
■圧縮比 12.5
■最高出力 112PS/6500rpm
■最大トルク 12.5kg-m/6250rpm
■燃料供給方式 FI
■燃料タンク容量 17ℓ
■変速機 6速リターン
■ブレーキ形式 前・後 φ320㎜ダブルディスク・φ265㎜ディスク
■タイヤサイズ 前・後 120/70ZR17・240/45ZR17
新型はマッチョぶりと機能美をさらに強調
スポーツバイク、クルーザー、スポーツネイキッドの融合形でもあるスタイリングを踏襲しながら、新型は筋肉質なフォルムに焦点を当て、メカニカルな特徴を強調している。
そのため、ヘッドライトとそのステーやウィングシールド、ハンダルバーライザー、エアインテークを備えるサイドパネル、ラジエターカバー、シート、さらにサイレンサーのデザインに手が入れられた。
RIDING POSITION 身長:161㎝ 体重:48㎏
ライポジは快適指向のネイキッドモデル的。
ローシートが装着された試乗車は、シートの角で脚が開き、足着き性はノーマル並み。
ただ、正式な国内仕様車はその点が改善され、足着き性は写真よりもさらに良くなるはずだ。
まるでロードバイク感覚。
ワインディングを走っていると、クルーザーではなく、ロードスポーツの一つの形ではないかとの思いさえよぎる。
DETAILS
ヘッドライトは丸型でLEDポジションランプを備えるものから、異形五角形(逆三角形)のフルLEDとなった。
ライトサポートも新しくなった。
エンジンのテスタストレッタ11°は、インジェクター位置を変更し、デュアルスパーク式で二次エア導入システムを採用した第二世代に進化した。
アンチホッピング・サーボアシストクラッチを引き続き採用する。
サイレンサーは短くスラッシュカットされ、マスの集中感をアピール。
ヒートガードも新しくなった。
ホイールはフロントと同様、アルミ鍛造の9本スポーク仕様だ。
左右にダブルストライプ・マルチファンクションLEDを設置。
内側がテール/ブレーキランプ、外側がウィンカーとなる。
左右のバーは折り畳み式ピリオンステップ。