「快適」=「ヌルい」ではない 24時間遠乗りチャレンジ!
BMWのオートバイと聞いて、まず思い起こされるのは快適、ラクちんなツーリングバイクという評判。それはまったく正しいことで、確かにBMWのオートバイはすべからく恐るべき快適さを持っている。
でも、どうも快適すぎることが「ヌルい」オートバイだって勘違いされてしまうこともあるのが、BMWの損なところかもしれない。
曰く、オートバイは快適だから乗るんじゃない。快適さ欲しければクルマに乗ればいいじゃないか、と。その意見、まったく賛成です。
でも、BMWの目指す快適さはそういう意味の快適さじゃない。普段乗りで有り余る快適性能は、過酷な環境に直面したときにこそバランスさせるためのもの。極限状態でもライダーの心が折れないように。そういうための快適さだってあるのだ。
それを証明しようと思ったら、やっぱり実体験がイチバンわかりやすいというものだろう。だから、まだ充分に冬と言える時期に、間違ってもBMWをヌルいなんて感じられないチャレンジをする。今回のスタートラインはそこからだ。
24時間でどこまで走れるか、行けるところまで行く。実に単純だけど実に男らしい、常識人から見たら真似しようとも思わないロングツーリング。
バカげてることは百も承知だ。
それでも午前0時、終日大雨の予報の中を一路、西へ旅立つ。
出発前に心を揺さぶる、唖然とした最悪の天気予報
午前0時。これから向かう西日本方面がすべて雨雲に覆われた絶望的な天気図に唖然とする。
ちなみに0時時点で東京都西部では雪が降っているとの情報もキャッチ。
ここまで来れば、もはや笑うしかない。
既に腹は括った! とばかりに編集部を出発した。
まずは小手調べに200km。
東名高速の御殿場付近の寒さも難なくクリアし、GTLの防風性能とレブイットのウェアの温かさに感動。
ガソリンスタンドのスタッフとの会話に心が癒やされる瞬間。
伊勢湾岸道を突破!渋滞を考慮して夜明け前に大阪エリアを超えたいのだ。
夜が明ける前に中国道へまずは第一目標完遂。
懸念材料だった朝の大阪エリアの渋滞が始まる前に中国道へ突入。
まずはひと安心で身体をほぐす。とにかく雨が止まず、メンタルを蝕む。
ひたすら西へ。中国道を粛々と進む。
両脇に雪が残るシーンもあるが走行には問題なし。
今回は短距離走ではなくマラソンなので、一定の速度で疲れないペースを守る。
走り出してから先は、冗談抜きで驚きの連続。
嘘偽りなく、ここまで過酷な条件の旅は初体験なのだが、ぶっちゃけてしまうと、実は思ったよりも余裕があった。
寒さと大雨の中で七転八倒する姿を想像していた読者諸兄には本当に申し訳ない。
道中、クルマで伴走するカメラマンが「すごい雨だけど大丈夫?」「寒いでしょう?」と、ものすごく心配してくる、その意味がわからなかったのだ。
過酷さを想定しライディングギアはパワードスーツばりのレブイットで全身完全武装。加えてK1600GTLはグリップヒーターもシートヒーターもオーディオだって装備。
電動スクリーンを立てれば、雨だってほとんど気にならない。
九州目前。ついにここまで来た!
スタートから約13時間の昼1時に関門橋へ到達。
はじめて見た関門橋に感慨も深い。
九州上陸目前! 少しホッするが、まだ先は長い。
事実として、この旅の最後まで雨や寒さで苦しめられること一度も無かったのは、後から考えると凄まじいこと。
しかし、実際は叩きつけるようだった(らしい)雨にも、道路脇に雪が残る外気温計0度の環境でも、のんきに鼻歌まじり。
九州などでは暑いくらいに思っていた。いやもう、何が辛かったって眠気くらいかな(笑)
眠気対策に食事制限をしていたのだが、空腹に耐えかね遅い昼食。
途端に眠気が襲っていて約1時間ほど寝てしまったらしい。
高速を降りてからの長い一般道。
その果てに辿り着くのは…
高速道路を降りてから最南端・佐多岬まで約100km。
この100kmが果てしなく長い・・・しかし、ついに佐多岬へ!
営業時間外で真っ暗だったけど、この瞬間はさすがに安堵と嬉しさでいっぱいだ。
そして約20時間、九州最南端で旅は一旦のゴールを迎えることになる。
約20時間でミッション完遂
これ以上、先には行けない!
GTLに搭載されるストップウォッチが20時間を刻む前に撮影も終了。
さて、問題は今晩の宿がまだ決まっていないということだ。
佐多岬~鹿児島~
翌朝、朝イチで佐多岬にリベンジ! 前日の雨も上がり、ここまで走ってきた感慨にひたる。
しかし、この後アクシデントが…