1985年当時、人気を誇っていたモデルを試乗テスターたちが熱く語ります! 当時の車両を分析する視点、熱量、生々しいコメントをお楽しみください。本来は限定記事なのですが、「前編」は無料公開!

KAWASAKI 500SS

「音速の世界へ 行ってくるぜ!」と白煙の向こうにアニキは消えた......

画像: 「音速の世界へ 行ってくるぜ!」と白煙の向こうにアニキは消えた......

空冷2ストローク3気筒、60馬力!!

最高速度200km/h
ゼロヨン 秒(カタログデーター)

エピソード

●命のスペアが必要だ

真田哲道(本誌テストライダー)
若い時はいたってまじめだったという哲ちゃんです。

初期型のマッハはものすごくピーキーでね、乗る時の天気や温度でエンジン特性が変るほどだった。

もうレーサーと同じだったよ。

交差点のまん中でいきなりサオ立ちになったり、カブってエンストしたりなんて当り前。

そのくせ「コノヤロー!」ってブレーキかけても止まんないし、150km/h以上じゃヨーイングが出てまっすぐ走れないんだ。

もう「怖ろしい」のひとことだね。

「それだけに魅力があったんじゃないかに?

「マッハに乗ってる」ってだけで仲間から尊敬されたし、そのころの暴走族もからんでこなかった。

マッハに乗る時はスペアのプラグと工具一式を持つのが常識だったんだぜ。

今はそんなメチ ャクチャなマシンないだろ?

「フライング」って知ってるかな?

シートの上に腹ばいになって足を伸ばすんだ。

スーパーマンが空を飛ぶみたいにさ。

マッハでフライング決めて白煙をまけば、それだけで自分がスターになった気がしたよ。

こんな車だった!

●人気の秘密は爆発的なパワー

「発進加速を世界最速のものとする」これがマッハの開発テーマだった。

そのためには軽くてハイパワーなエンジンが必要。

その結果採用されたのが2ストローク・3気筒という独特のレイアウトなのだ。

1969年、CB750FOURの後を追うようにデビュー、カタログデータは200km/hの12・4秒というすさまじいもの。

しかしホットなエンジンに対し、車体回りは問題が多く「曲がらない、止まらない、まっすぐ走らない」と評された。

にも関わらずマッハの人気は続く。

ディスクブレーキの装着、エンジンマウントの変更(ウイリー防止のため)、フレームの剛性アップなど、毎年改良が加えられて完成度を高めたが、パワーは徐々に落とされ、キバを抜かれて行き、78年に生産が中止されてしまった。

●中古車が欲しい!

マッハと名が付く500SSは完全にタマ不足。

特に写真のカラーの69年型はまず無い。

比較的入手しやすいのは73年以降のH1型、その後のKHシリーズだ。

通称“ケッチ”の350、250もマッハの伝統を受けつぐ人気Q車だ。

KAWASAKI 500SS 主要諸元
●空冷2ストローク・ピストンバルブ3気筒
●498cc●60PS/7500rpm
●5.85kg-m/7000rpm
●174kg
●69年9月
■29万8000円(初期型)

▶︎後編につづく

掲載号

画像: 昭和60年11月1日 定価480円

昭和60年11月1日 定価480円

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