レトロなフォルムと最新技術の融合、名門ブランドの最新モデル
かつてベスパと並ぶ高い人気を誇った老舗スクーターブランドがランブレッタ。
現在、日本国内ではサインハウスが正規輸入・販売を行なっている。
ラインアップは共通の車体に50㏄、125㏄、200㏄のエンジンを搭載した3タイプで、今回試乗したのは排気量が一番大きいV200スペシャルだ。
レトロな中にも新鮮さを感じさせるシャープで美しいボディワークは、KTMやハスクバーナも手掛けるオーストリアのキスカデザインによるもの。
長いボディ後部や角形のヘッドライトなど、随所に往年のランブレッタを想わせるデザインが盛り込まれている。
堅牢なモノコックボディの安心感に支えられた快適な走り
車名は200となっているが実際の排気量は168.9㏄。
パワーも約12馬力なので穏やかな走行性能を想像していたが、乗ってみるとなかなかスポーティ。
遠心クラッチが国産スクーターよりも高めの回転でが繋がり、排気量に見合ったトルクもあるので発進加速に不満はなく、スルスルと速度を乗せていく。
市街地でも余裕で交通の流れをリードできるし、タンデムライディングでの発進や登坂力にも不足はない。
特筆すべきは伝統のスチールモノコックボディの高い剛性が生むダイレクトなハンドリング。
スクーターは乗り降りのしやすさを得るため車体下側にメインフレームを配置する場合が多いが、フレームが捻れてフロントとリアがバラバラに動きやすい傾向がある。
対してランブレッタはプレス成形のスチール鋼板とパイプフレームを組み合わせた構造によって充分な捻れ剛性と曲げ剛性を確保。
ブレーキを握ったまま寝かし込んだり、クイックに切り返しても揺り戻すような挙動が出ず、小気味よく走れる。
前後12インチの小径ホイールゆえ、大きめの段差ではバタ付くが、すぐに収束するので不安もない。
想像しにくいかもしれないが、感覚としてはスクーターと言うよりロードスポーツに乗っているようなフィーリングだ。
このV200スペシャルは高速道路も走れるが、高いボディ剛性が生む安定感は高速走行中の車線変更や、高架部分に多い段差を通過する時の安定性にも貢献するはず。
スポーティな動力性能とハンドリングに加え、ABSも標準装備で実用性に不満はないし、ランブレッタのブランド名と伝統のルックスも他のスクーターにはない魅力。
V200スペシャルはヨーロッパ車らしいお洒落なストリートコミューターだ。
文:太田安治/写真:南 孝幸、島村栄二