レーサーKR250の技術を受け継ぐ公道モデルとして誕生した250ccスポーツ
KR250 (KR250A1)
●全長×全幅×全高:2035×685×1185(mm)
●軸間距離:1360mm
●車両重量:133kg
●エンジン形式:水冷2ストロークロータリーディスクバルブ直列2気筒
●排気量:249cc
●ボア×ストローク:56×50.6(mm)
●最高出力:45ps/10,000rpm
●最大トルク:3.7kg-m/8,000rpm
●燃料タンク容量:18L
●発売当時価格:49万8000円
1978〜81年の4年連続でGP250㏄クラスを制したカワサキだったが、RZ250やMVX250Fなどによる2サイクル250㏄市販車の販売競争には乗り遅れた感があり、新機種の発売が待ち望まれていた。
KR250の公道向けレプリカという考えはカワサキ内にも前からあったが、2本のクランクを持つタンデムツインのレイアウトと、クランクと一緒に回転する円盤で吸/排気ポートを開閉するロータリーディスクバルブというKR250の特徴はコストを増加させ、一歩を踏み出すことを躊躇させた。
しかし、RG250Гがそうだったように、高価であっても納得できるものがあれば受け入れられるという空気が2輪市場には広まりつつあり、1982年秋に開発に着手。1983年秋の東京モーターショーで披露。車名はレーサーと同じKR250とされた。
2気筒ながら幅は単気筒と同等という、2個の気筒を前後に並べる直列2気筒は、シリンダーを前傾させつつ後ろ側を前側より高く配置、吸気方式をリードバルブ併用式とするなど独自の変更を受けており、これを積むフレームはアルミ製が新設計された。
1985年登場のKR250Sでは、排気バルブの追加により低中回転域を強化した。
クランクは2本で、クラッチ背面のプライマリーギアを2重構造とし外側に前方クランク、内側に後方クランクのギアをかみ合わせる。
吸気はロータリーディスクとリードバルブを組み合わせたR.R.I.S.:ロータリー&リードバルブインテークシステムで、吸気ポートの両脇にリードバルブを配置し、低回転域ではロータリーバルブのみ、高回転域ではリードバルブからも吸気する。これは1983年に登場したAR125で使われた技術だ。
キャブレターをシリンダー側面に配置するのはロータリーディスクバルブならではの構造。ボア×ストローク:56×50.6㎜、排気量:249.3㏄で、10000rpmで規制値上限の45psを発揮。最大トルクは3.7㎏-m/8000rpmを公称する。
写真の車両は1984年登場のKR250だが、いくつかの部分がSTDとは異なる。
バックミラーをアッパーカウルに固定するが、これはKR250Sのもので、KR250はハンドルのマスターシリンダーとクラッチレバーホルダーに固定。ブレーキホースはステンレスメッシュではなく黒いゴム製が純正パーツだ。
前後ホイールをゴールドにペイントしているが、ハブやスポークが黒、リムの側面がアルミの地色となる。また、フロントブレーキのマスターシリンダーをリザーバータンク別体とするが、本来は一体構造だ。
シートに装着されたシングルシートカバーは、純正オプションとして用意された。
全長/全幅/全高:2035/685/1185㎜、軸距/シート高:1360/790㎜。乾燥重量の公称値:133㎏は、NS250R/Fの144kgより11㎏軽量だった。前後ホイールは16/18インチ、タイヤはF:100/90-16、R:110/80-18を指定した。
丸形のテールランプが特徴的で、他の機種とは異なる独特なリアの眺めを生み出している。
ヘッドパイプ上側とスイングアームピボット上方を直線的に結ぶフレームはアルミ製で、太いアンダーレールを備えており構造的にはダブルクレードルだ。
下部に補強を備えるスイングアームは、偏心カラーにリアアクスルが貫通、回転させるとチェーンの遊び量が変化するエキセントリック式の調整部を持つ。
KR250(KR250A1)1984年 DETAIL
排気ポートに可変バルブを与えて出力特性を改善、乗りやすさを高めた「KR250S」
KR250S (KR250A2)
KR250発売の1年後の1985年4月15日には、改良モデルのKR250Sが登場。排気ポートに可変バルブを新設し、低中回転域の出力特性を改善、乗りやすさを高めた。サイドカウルにあるKVSS(カワサキ・エクゾーストバルブ・シンクロナイゼーション・システム)がその機構の名称である。カラーリングも一新された。
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