カワサキらしいDNAが刻み込まれた「走りのZ」
2017年12月の販売開始以来、好調なセールスを続けているZ900RS。タイヤテストなどで何回か試乗して好感触を得ていたが、それはサーキットやテストコースといったキレイな路面での話。
今回の試乗ルートの様に、表面がボコボコに掘れた路面や、大型車の通行でわだちができている路面もある峠道でテストするのは初めてのこと。厳しいコンディションで印象がどう変化するか、興味津々で試乗に臨んだ。
走り出して改めて感じたのは、クラッチレバーが非常に軽くて操作しやすいということ。Z900RSは操作系全般が軽く、気持ちよくライディングできる。
ポジションもアップライトで身体に掛かる負担も少ないので、楽な気分でバイクに接することができた。
しかし、走り出しこそ軽快だったが、タイトコーナーが連続する山道に入って意外だったのは、倒し込みで思ったよりもフロントタイヤに舵角が入ること。
路面がスムーズで比較的大きな半径のコーナーが連続するサーキットでは気にならなかったが、急激にカーブが回り込むような峠道では、ためらいがちに車体を寝かすと予想以上にハンドルが切れ込むのだ。
ただ、バイクに慣れて、思い切りよく倒し込めるようになると切れ込みは軽くなる。ビビりながら乗っているとバイクに舐められてしまう感じだ。スパッスパッ、と気前よく倒し込むのがZ900RSを気持ちよく操るポイントだ。
意外という点で言えば、フロントフォークの動きもサーキットで試乗した時のイメージとは違った。初期作動が固く、路面の凹凸に対して細かく反応し、わだちで進路が変わるようなことこそないが、路面の変化がしっかり伝わってくる。
スムーズな路面では、初期作動が良く、滑らかにストロークしているように感じたのだが、路面が荒れ、大きな荷重が掛からない低速コーナーではバイク全体が浮き上がるような印象。
とはいうものの、ペースアップすればサスペンションはしっかりストロークし、それらのネガは感じられなくなる。
Z1のイメージを現代風にリデザインしたZ900RSは、一見スマートなシティボーイのように見えるが、根底には「男カワサキ」のDNAがしっかり刻み込まれている。
Z900RSもカワサキらしい「走り屋のバイク」ってことなのだろう。
文:八代俊二/写真:森 浩輔・南 孝幸