ハスラー250からみるスズキオフロードの系譜

1970 HUSTLER 250(TS250 2型)

画像: 1970 HUSTLER 250(TS250 2型)

1970 HUSTLER 250(TS250 2型)

画像: 1970 HUSTLER 250(TS250 2型) エンジンのスペックだけでなく、最高速度や0→200m加速タイムが堂々と掲載されているのが興味深い。1型からは、フレームを3㎏軽量化したほか、エンジンの熟成化、テールランプステーの強度向上、ハンドルの形状およびメーターデザインの変更などがなされた。また、燃料タンクのグラフィックにSUZUKIの文字が入り、エグゾーストシステムの外側にあるヒートガード(鉄棒を加工)の形状も変わっている。

1970 HUSTLER 250(TS250 2型)
エンジンのスペックだけでなく、最高速度や0→200m加速タイムが堂々と掲載されているのが興味深い。1型からは、フレームを3㎏軽量化したほか、エンジンの熟成化、テールランプステーの強度向上、ハンドルの形状およびメーターデザインの変更などがなされた。また、燃料タンクのグラフィックにSUZUKIの文字が入り、エグゾーストシステムの外側にあるヒートガード(鉄棒を加工)の形状も変わっている。

オンロードバイクをベースにしたストリートスクランブラーしかなかった1960年代の日本にあって、初めて本格的なオフロードモデルとして造られたのが、ヤマハが1968年に発売した2サイクル250㏄のDT-1だ。

しかし、世界モトクロスGPで活躍していたスズキも、その技術を生かした同じく2サイクル250㏄のハスラー250を1969年1月に投入。開発期間を考えると、DT-1の発売以前にスズキも同様の構想を練っていたと考えられる。

その後、ハスラー250は1971年にプライマリーキックとEPI点火を採用した新型エンジンに変更。さらに1977年には、リアショックユニットをモトクロッサー譲りのレイダウン式とした車体と、それまでのピストンバルブをパワーリードバルブに改めた新エンジンを搭載。

しかし環境規制の時流には逆らえず、1981年型を最後に4サイクル単気筒のDR250Sに取って代わられた。

1969 HUSTLER 250(TS250 1型)

画像: 1969 HUSTLER 250(TS250 1型) 初代のハスラー250。それまでスズキは、2サイクル2気筒のロードスポーツ、T250にひとまわり太いタイヤとアップマフラーを装着したストリートスクランブラー、TC250を市販していたが、ハスラー250は世界モトクロスGPで活躍したワークスマシーンRH系の技術を生かした2サイクル単気筒の本格的トレールモデルで、モトクロス用のキットパーツも揃っていた。

1969 HUSTLER 250(TS250 1型)
初代のハスラー250。それまでスズキは、2サイクル2気筒のロードスポーツ、T250にひとまわり太いタイヤとアップマフラーを装着したストリートスクランブラー、TC250を市販していたが、ハスラー250は世界モトクロスGPで活躍したワークスマシーンRH系の技術を生かした2サイクル単気筒の本格的トレールモデルで、モトクロス用のキットパーツも揃っていた。

1973 HUSTLER 250(TS250 5型)

画像: 1973 HUSTLER 250(TS250 5型) 1971年の3型でハスラー250はエンジンを一新。写真は1973年の5型で、薄型・小径だったヘッドライドは大径化されており、アルミ製アウターチューブを備えたフロントフォークや、5段階にプリロード調整ができるリアショックを採用している。

1973 HUSTLER 250(TS250 5型)
1971年の3型でハスラー250はエンジンを一新。写真は1973年の5型で、薄型・小径だったヘッドライドは大径化されており、アルミ製アウターチューブを備えたフロントフォークや、5段階にプリロード調整ができるリアショックを採用している。

1977 HUSTLER 250(TS250 9型)

画像: 1977 HUSTLER 250(TS250 9型) 1977年に発売された9型は、リアの2本ショックを前傾させた新型フレームに、パワーリードバルブ(ピストンリードとクランクリードを併用する機構)採用の新開発エンジンを搭載。

1977 HUSTLER 250(TS250 9型)
1977年に発売された9型は、リアの2本ショックを前傾させた新型フレームに、パワーリードバルブ(ピストンリードとクランクリードを併用する機構)採用の新開発エンジンを搭載。

【付録】スズキ・オフローダー遍歴

スズキの2サイクル250cc車は、オンロードバイクだけではなく、1970年前後からオフロードバイクも登場。ここからは、公道を走れるトレール車に加え、市販モトクロッサーやトライアル車も紹介する。

1981 TS250

画像: 1981 TS250 1980年型でゼッケンプレートを模したサイドカバーや、上下三ツ叉まで被う形状のヘッドライトケースを用いる。サスペンションのストロークも延長したハスラー250は、車名を型式と同じTS250に変更した写真の1981年型が最終モデルとなった。

1981 TS250
1980年型でゼッケンプレートを模したサイドカバーや、上下三ツ叉まで被う形状のヘッドライトケースを用いる。サスペンションのストロークも延長したハスラー250は、車名を型式と同じTS250に変更した写真の1981年型が最終モデルとなった。

1998 RMX250S

画像: 1998 RMX250S モトクロッサーRM250、エンデューロレーサーRMX250と同時開発され、1人乗りに割り切った本格派のレーサーレプリカ。1992年に初代が登場し、写真の1998年型まで販売された。

1998 RMX250S
モトクロッサーRM250、エンデューロレーサーRMX250と同時開発され、1人乗りに割り切った本格派のレーサーレプリカ。1992年に初代が登場し、写真の1998年型まで販売された。

市販モトクロッサーの歴史はハスラー250よりも古い

スズキの市販モトクロッサーは1968年型TM250からと、歴史は長い(無論125㏄もあった)。その後、1976年からワークスモトクロッサーレプリカのRM250へ発展。

しかし2004年から併売されている4サイクルのRM-Z450にその座を譲り、2008年型を最後に販売を終了した。一方、トライアルは保安部品付きのRL250と競技専用のRL250Lが1974年からの2年間だけ販売された。

1968 TM250

画像: 1968 TM250 1968年型のTM250はスズキ初の市販モトクロッサーだが、ツインポートシリンダー+ツインエグゾーストなどその内容は前年のワークスマシーンRH67(スズキのワークスモトクロッサーは、250㏄はRH、125ccはRA、500㏄はRNと称し、後に年式が付く)とほぼ同じもので、十数台が生産されただけと伝えられている。ブルーのフレームにシルバーのタンクというカラーリングは当時のロードレーサーと同じである。

1968 TM250
1968年型のTM250はスズキ初の市販モトクロッサーだが、ツインポートシリンダー+ツインエグゾーストなどその内容は前年のワークスマシーンRH67(スズキのワークスモトクロッサーは、250㏄はRH、125ccはRA、500㏄はRNと称し、後に年式が付く)とほぼ同じもので、十数台が生産されただけと伝えられている。ブルーのフレームにシルバーのタンクというカラーリングは当時のロードレーサーと同じである。

1972 TM250

画像: 1972 TM250 スズキの250㏄市販モトクロッサーで量産されたのは、この1972年型TM250から。写真は輸出向けのカタログで、車名のあとに"チャンピオン"とあるのは、1970年から世界モトクロス選手権で2連覇を果たしたことを意味する。なお、世界チャンピオンの座は1973年まで守り、4連覇を果たした。

1972 TM250
スズキの250㏄市販モトクロッサーで量産されたのは、この1972年型TM250から。写真は輸出向けのカタログで、車名のあとに"チャンピオン"とあるのは、1970年から世界モトクロス選手権で2連覇を果たしたことを意味する。なお、世界チャンピオンの座は1973年まで守り、4連覇を果たした。

1974 RL250

画像: 1974 RL250 ハスラー250を低中速域重視に変更した2サイクル単気筒250㏄エンジンを、ツインショックのクロモリ製フレームに搭載した保安部品付きトライアルマシーンのRL250。ほかに、競技専用のRL250Lもあった。写真は1974年型のカタログで、翌年型は燃料タンクのライン形状やロゴの色などが異なる。

1974 RL250
ハスラー250を低中速域重視に変更した2サイクル単気筒250㏄エンジンを、ツインショックのクロモリ製フレームに搭載した保安部品付きトライアルマシーンのRL250。ほかに、競技専用のRL250Lもあった。写真は1974年型のカタログで、翌年型は燃料タンクのライン形状やロゴの色などが異なる。

2008 RM250 K8

画像: 2008 RM250 K8 車名をそれまでのRHから125の市販モトクロッサーと同じRMとした初代RM250は、1975年のワークスレーサーRH75のレプリカとして1986年に発売される。その後、ワークスレーサーと連動して進化を続けたが、写真の2008年型がスズキの2サイクル250㏄モトクロッサーの最終モデルとなった。

2008 RM250 K8
車名をそれまでのRHから125の市販モトクロッサーと同じRMとした初代RM250は、1975年のワークスレーサーRH75のレプリカとして1986年に発売される。その後、ワークスレーサーと連動して進化を続けたが、写真の2008年型がスズキの2サイクル250㏄モトクロッサーの最終モデルとなった。

連載【心に残る日本のバイク遺産】をまとめて見る

MOOKのバックナンバーはこちら「日本のバイク遺産 2サイクル250史」

日本のバイク遺産 2サイクル250cc史 (Motor Magazine Mook)

モーターマガジン社 (2017-08-31)
売り上げランキング: 82,966

Powered By Bikers Station

This article is a sponsored article by
''.