街でよく見かけるレブル、だけどじつはロングツーリングも得意だった?
この秋に、レブル250で山形県(天童市)へ行ってきました。
主に高速道路走行のみとなったこのツーリングで感じた、レブル250の印象をお伝えしていきます!
出発当初、片道400kmは気が遠くなるな、と思っていたのですが……結論から言うと、思っていたよりもかなり楽に到着してしまった!
体感の問題なので僕が「辛い旅になりそうだ」と覚悟をしていたということもあります。
ただそれ以上に、250cc単気筒で風防も付いていない、このバイクが実はかなりロングツーリングが得意だったという事実がありました。
行きは、朝7時前に新宿を出て、13時には目的地の山形県天童市には到着。
途中の休憩は、東北道の羽生PA(埼玉県)、那須高原SA(栃木県)、蔵王PA(宮城県)の3回。1時間ほど走って休憩するという無理をしない普通のツーリングです。
東京新宿・山形天童間の給油は那須高原で一度だけ。215km走り7.6Lのレギュラーガソリンを消費。燃費は28km/Lと非常に優秀でした。
レブル250の燃料タンク容量は11Lです。計算上だとギリギリまで粘れば300kmの航続走行もできるようですね。僕は臆病なので、200kmを目安に入れていましたが。
さて、走行した感触についてお伝えします。
はじめに、この日の天気は快晴。気温は20~25度で最高に過ごしやすく、走りやすい環境でした。路面もずっとドライです。
首都高から羽生PAまでは、感覚として時速80~90kmくらいが鼓動感も心地よく、エンジンに無理のない走行ができそうだと思いました。しかし、だんだん僕がなじんできたこともあり、「あれ? もっと出しても全然大丈夫なんじゃない?」と。
ミッションが6速なのも嬉しいポイント。見た目からすると5速っぽいバイクですが、さまざまな250ccと共通のエンジンを搭載したレブル250はスポーツバイクの要素も多分に持っています。
街や峠をきびきびと小気味よく走れるのもそのおかげ。
スポーツモデルにも搭載されている水冷DOHCの単気筒エンジンが、ホイールベースの長いクルーザールックの車体に合わさっている、それがレブル250の特徴です。
レブル250のホイールベースは1490mm。ホイールベースが長くなると、一般的に直進安定性がアップします。
そのため高速道路も得意なんでしょうね。ちなみに同じホンダの250ccで、ネイキッドモデルのCB250Rは1355mmです。
この道中には時速110kmや120kmの区間はありませんでしたが、感触としては新東名や東北道花巻~盛岡あたりの120km区間でも交通の流れに乗って走れる手ごたえがありました。
ただ、エンジンの回転数が上がると振動で血行がよくなるのか、お尻が痒くなってきます。
そこまでくるとエンジンにも申し訳なく、痒くならない範囲で走るというのがひとつの目安になりました。
ポジションがゆったりしているのもロングツーリングでの快適性に貢献しています。
はじめは、「ハンドルがちょっと遠い、腕が突っ張るなあ」と思っていましたが(僕の身長は175cm)、それも100kmも走れば次第になじみ、気にならなくなりました。
往復で800kmを走り、お尻が痛くならなかったのも大きな魅力のひとつでしょう。
クッション性が特別高いということではなさそうです。
お尻が痛くなりにくいポジションを取れるバイクなのかも、と思いました。
唯一つらかったのは、膝の曲がり具合です。
レブル250の魅力のひとつが、シートが低くて扱いやすいこと。シート高は、690mm。当然、両足べたつきです。
これが街乗りだと楽ちんでいいのですが、ずっと乗っていると膝がきつくなってくる。
しかも足をステップから外しブラブラするのも、高速で流れる地面にすぐ接地してしまうのでできない。低すぎるシートのデメリットです。
そんなときは、スタンディング! と思ったのですが、どっしりと座り込むかたちのクルーザーのポジションはステップの上に立ちにくい。
何度か立ち上がりかけたものの「うん危ないねこれ」。諦めました。
1時間ほど走って、コンスタントに休憩を取ったのは主にこのため。エコノミー症候群じゃないですけれど、身体がこりかたまりやすい車両ではあります。
でもまあ、リラックスした楽な姿勢でかたまるので、前傾のきついスーパースポーツよりはずっと楽ですよ(好みや個人差はあると思いますが)。
個人的に特によかったポイントは、視界が広いこと。
今回のツーリングでは絶景ロードやスポットをめぐったりすることはありませんでしたが、高速道路だけでも広々とした前方の景色を眺めるのは気持ちのいいものです。
遮るものがないから、走行風がきついんじゃ? と思うでしょうけれど、意外なほど風の壁は感じませんでした。
だから「これ以上スピードを出さない方がいいな」と思う基準はエンジンの振動のみ。
レブルのシンプルなデジタルメーターはタコメーターも付いていないため、体感でこれ以上回しちゃまずそうだ、と察知しなければなりません。
怖くてアクセルをこれ以上開けられないとか、サスが限界、タイヤが限界、とかそんな次元の話をするバイクじゃないんです。
目を三角にする気すら起きず、単に「もうこのくらい出ていれば充分」。そんな穏やかな気持ちで乗っていられます。
しかもスピード感をいい意味で感じにくい。
大型のアドベンチャーバイクなどに乗っていると、あれもう100km/h出てるの? 70km/hくらいだと思っていた、ということがよくありますが、僕にとってレブル250も250クラスではそんな風に思えるバイクでした。
ちゃんと交通の流れに余裕で乗れているね。ありがとう、こんなスピードで巡行できると思わなかったよ。終始そんな気持ちです。
あと、地味に嬉しかったのはヘルメットホルダー。最近、標準搭載の車両が減りましたからね。やっぱりありがたい装備です。
山形県の天童には2泊しました。帰り道は午後に現地を出て、関東に入るころには暗くなっていました。
現行のレブル250の灯火類はLEDではありませんが、普通にツーリングをする分には特に暗さを感じることもなかったです。
帰り道も3度の休憩をはさみながら、たんたんと何事もなく帰ってくることができました。
しかも疲労感は思いのほか少なく、翌朝からバリバリ仕事ができたので、ロングツーリングを楽しむのに優秀な250ccだと、僕は思っています。
ちなみに、今回の僕が山形県天童市に何をしに行ったのかというと……
趣味の将棋を指してきました。
天童市は将棋駒生産量が日本一の将棋の町。街のいたるところに将棋があふれています。
このツーリングの紀行レポートは、こちらからご覧ください。
また、泊まりがけのツーリングには荷物のパッキングが必須。あんまり積載が得意ではないレブル250にどうバッグを積んだかは、こちらの記事をどうぞ。
文・写真:西野鉄兵
Honda Rebel250 の主なスペックと価格
全長×全幅×全高:2,190×820×1,090mm
ホイールベース:1,490mm
最低地上高:150mm
シート高:690mm
車両重量:168(ABS車は170)kg
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ単気筒
総排気量:249cc
ボア×ストローク:76.0×55.0mm
圧縮比:10.7
最高出力:19kW(26PS)/9,500rpm
最大トルク:22N・m(2.2kgf・m)/7,750rpm
燃料タンク容量:11L
変速機形式:6速リターン
キャスター角:28.00゜
トレール量:110mm
タイヤサイズ(前・後):130/90-16M/C 67H・150/80-16M/C 71H
ブレーキ形式(前・後):シングルディスク・シングルディスク
メーカー希望小売価格(消費税10%込):54万7,800円