前後足まわりの仕様を新たにし外装も変化させた並列2気筒ガンマの最終モデル
1983年に初代が登場して以来、5年目を迎えたRG250Гは、この1987年型となる5型/RG250EWHをもってその役目を終え、90度V型2気筒を搭載するRGV250Гへとバトンを渡した。
先代である4型との相違点の多くは前後足まわりに集中しており、3本のスポークが並ぶ新しいホイールはフロントこそ従来と同じ16インチだが、リアは1インチ小さな17インチに置き換えられ、リム幅を拡大してタイヤを前後ともワンサイズずつ太くした。
正立式フロントフォークはφ38㎜にインナーチューブを太くし、プリロード調整機構を持つのは同じだが、アンチノーズダイブ機構を廃止。キャリパーは同様にデカピストンだが、フロントディスクをφ275㎜に大径化して制動力の向上を図る。
アンダーカウルからサイドカバーに連続するラインが特徴的な外装は基本を踏襲するが、フロントフェンダーやアンダーカウルなどの形状が異なっている。カラーリングはレッド×ブラックと、ブルー×ホワイトのツートーン2種、限定車のウォルター・ウルフバージョンだ。
ウォルター・ウルフバージョンは、3、4、5型に用意された
全長/全幅/全高は2015/675/1170mmで、5mm長くなった以外は変化なし。ホイールベースは5mm長い1360mmとなるがシート高は735mmを維持する。
4型ではハーフカウルを選べたが、5型はフルカウル仕様のみで、価格は4型の同仕様から据え置きの48万9000円。ウォルター・ウルフは+2万円の50万9000円で、これは4型と同一。つけ加えると、白に2種の青を組み合わせた塗色はGSX-Rシリーズにも見られた。
新作ホイールに並ぶ3本のスポークは、進行方向となる面を曲面とした翼断面で走行時の空気抵抗を低減。後ろ側となる面を開放させることで重量を削減している。リム幅は、フロントが2.15→2.50、リアが2.15→3.00と拡大され、タイヤサイズはF:100/90→110/80、R:110/80→120/80とそれぞれワイドになった。
並列2気筒は変化しておらず、排気バルブはもちろんのこと、高い燃焼効率と耐久性を可能としたテーパー形状のピストンリングや、GPマシンからフィードバックしたフェージング材を使うクラッチ、フラットなスライドバルブを持つVM28SSキャブレターなども不変だ。
3型と4型のウォルター・ウルフ仕様で、2台の諸元はほぼ同じだが赤の帯がサイドカウルからテールカウルに向かって伸びる3型に対し、4型は外装の大部分を濃紺とし、シートや前後輪を赤としている。同様にWWバージョンながら印象は異なり、さらに4型では濃紺の部分をシルバーに変えたバリエーションも販売された。
5型にもウォルター・ウルフを用意。3/4型に比べて赤の部分を広くするなど意匠を改めており、さらに、車速/エンジン回転計の文字盤やメインキーにWのマークを与えて標準仕様との差別化を図っている。
発売当時の貴重なカタログをチェック!
こちらは1987年モデルとなる5型/RG250EWHのカタログで、歴代各車と同様に8ページ構成。メインカラーとなる白×青の写真を大きく使い、その周囲にエンジンや車体、各部の装備などの説明を配している。
1987年型が発売された当時、NSR250が登場してから1年が経過しており、そろそろガンマも新型に変化するかという期待が高まっていた。
スズキは、1974年のXR14からスクエア4の2サイクルエンジンでGP500に参戦を続けてきたが、1987年には2本のクランクシャフトを持つV型4気筒を積むXR72/RGV-Гを投入。
次の公道向けГはVツインだろうという予想を裏切ることなく、1988年に新世代のГであるRGV250Г/VJ21Aを登場させた。
公道向けГの第1号車は250ではなく、1982年に発売されたRG50Гが最初だ。車名にこの文字を持つモデルには多くの排気量があり、我が国では125や200、400、500などが販売された。
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