9%もの出力アップと各種装備のアップデートで、走りはどう変わったのか? 富士スピードウェイで試乗テストを行なった。
パフォーマンスを上げつつ扱いやすさも磨いた新型ストリートトリプルRS
新型のストリートトリプルRSは車格が小柄で、国産NKでいうと650~700クラスなみ。しかも車重はそれらのモデルたちより10~15㎏ほども軽い。
そこに強力な123PSのエンジンを搭載している。前後サスはSSが採用するようなグレードのもので、フロントがショーワでリアがオーリンズ。
スタンダードなミドルNKどころか、SSすら凌駕するハイポテンシャルなバイクなのだ。
2007年に675㏄でスタートしたこのシリーズも、この最新型で5世代目となる。
RSは最高級クレードで、もっともスポーツ指向の強い足回りや電子制御アシスト群を装備してきた。
今回は、そのRSのみが発売された。
従来型との大きな違いは、よりシャープになった外観デザイン。
だが、目に見えない部分での変更も多岐に及んでいる。エンジンでは排気バルブや吸気ポート、吸排気系の見直しで10馬力ものパワーアップ。足回りのリセッティング。
パワーモード制御の見直しやモード追加。クイックシフトはダウンもできるタイプにグレードアップしている。もともと、ストリートトリプルはその身軽さとパワーの扱いやすさ、卓越したスポーツ性能が魅力。
新型もそれは同じなのだが、一言で言うと、新型はやたらと元気がいい!
リリースでは中域からのトルクアップを謳っているが、実際に乗った感覚だと、6500~9000回転といった、パワーピークへ向けてのトルク変動が穏やかな印象。
その回転域でのトルクが増しているのだろう、嬉しいことに、これ見よがしの「演出」に感じられる種類のパワーアップではない。
しかも、1万2500回転あたりまで力みなぎる伸びが続く。これは従来型にはなかった、大きな魅力だ。
また、新型はパワードライバビリティがすごくいい。
ライディングモードの「トラック」や「スポーツ」はピックアップがシャープだが、応答がスムーズで街でも使えてその瞬発力を武器にできる。
また、ともすれば柔軟すぎて乗りにくくなりがちな「レイン」モードも、今回はかなりリニアに力をコントロールできる。
力量は落ちるが、ショートサーキットくらいなら十分楽しめるだろう。
試乗してもっとも愉しかったのは、その身軽さと強力な旋回性を、ビックリするほどイージーに使いこなせること。
この新型、ただ強力になっただけではなく、全てが扱いやすくなっているのだ。