斜光を活かせるか。夕方から夜にかけての撮影
令和2年の新年ですが、寒風に負けずに走っていますか?
平成の頃はゴーグルの締め切りの都合で、お正月の年明け早々の撮影が毎年の恒例だった。東京近郊の道路は空いていて渋滞がないし、空気も綺麗で撮影に向いている。しかも毎年なぜか天候が良い。箱根駅伝のランナーとすれ違いながら移動して、なんて事もあった。
このCB1100RSもそんなお正月の都内で撮影したもの。
CB1100RSは現在でも大人気な空冷4気筒のビッグバイクCB1100シリーズの追加モデル。17インチタイヤやラジアルマウントブレーキキャリパーなどを採用し、スポーツライディングに振った追加モデル。
カスタムパーツを思わせる金色のフロントフォークや黄色リアショック、LEDヘッドライトなどに新時代クラシックバイクの逞しさを感じた。
このCB1100RSの誌面は夜のストロボを使用したカットで構成されていたが、撮影は澄んだお正月の空気の中、夕方から行った。
撮影車の色は精悍なブラック。このCB1100RSから採用されたフランジレスフューエルタンクに空のグラデーションが映る。夕陽に染められてシルバーのストライプが金色に光り、やがて車両全体も金色に染まる。
夕日が工場地帯に沈む寸前に車体の飲み込まれ、CB1100RSをシルエットにかえる。ニコンD5の解像力を信じてストロボもレフ板を使わずにそのままシャッターを切る。
「車体はシルエットでもメッキパーツのエッジだけでも出れば……」と思っていたが、ご覧の通りここまで表現できた。編集者にも気に入ってもらえて、見開きで使ってもらったカットだ。
綺麗な夕日が差し込んで、ついつい使う予定のない余分な写真までたくさん撮った。
ボツになったモノも多く、いくつかのカットは今回、初披露。このコラムのおかげで見てもらえる機会があって良かった。
写真・文:柴田直行
柴田直行/プロフィール
柴田直行 しばたなおゆき
1963年3月生まれ
横浜市在住
オートバイとライダーをカッコ良く撮るのを生業にしているカメラマンです。
ホンダVT250Fが発売になった1982年(19歳の頃)にオートバイブームに乗じて雑誌編集部にバイトで潜入。
スズキGSX-R750発売の翌年1986年に取材のため渡米。
デイトナでヤマハFZ750+ローソンの優勝に痺れてアメリカ大好きに。
ホンダCRM250R発売の1994年に仲間とモトクロス専門誌を創刊して、米国系オフロードにどっぷり。
カワサキニンジャ250が発表された2007年から、ゴーグル誌でも撮影を担当し現在に至る。
オンでもオフでも、レースでもツーリングでもオートバイライフが全部好き。