アナタの住んでいる街にも必ずある、神社。様々な神様が祀られて、様々なご利益があるとされます。そんな身近であり、奥深い各地の神社を巡り紹介する連載企画「神社拝走記」第2回。 
湘南の観光スポットである江ノ島に神社拝走!
※今回の記事は月刊オートバイ2017年9月号で掲載したものを加筆修正しております。

日本三大弁天のひとつが江の島にある

突然ですが皆さん、あの七福神のうち、日本生まれの神様はひとり(1柱)しかいないって知っていましたか?

ということは、他の6人は外国由来の神様ってことです。衝撃的ですか?

七福神のなかで誰が日本生まれかというと、それはエビス様。なんとなく納得できますが、他の大黒さんや毘沙門天が外国から来た神様だなんて、どこか不思議ですよね。そんな七福神のなかでも紅一点、今回は弁財天に注目してみました。

画像: 江島神社 神奈川県藤沢市江の島2-3-8

江島神社 神奈川県藤沢市江の島2-3-8

今回の神社拝走記で訪れたのは、神奈川県藤沢市にある江ノ島。日本三大弁天にも数えられる、誰もが知る場所です。映画や歌の詩にも多く登場しますよね。

参拝した日は天気も良く、海岸線はサーファーたちで賑わっていました。島へ架かる唯一の橋を渡ると、すぐに鳥居が見えます。ここは千年以上も前から、信仰の島だったと言います。

そんな歴史ある場所にいる神様が日本生まれじゃないなんて、誰が想像できましょうか。

では、どこから来た神様なのかというと。弁財天は、そもそもヒンドゥー教の女神で、現在のインド辺りで信仰されていた神様なんです! その後に仏教に取り入れられ、中国を経て日本にやって来たと言われています。

ヒンドゥー教では水や湖、川の神様としての性格を持ちます。江島神社を始め全国の弁財天が、水辺に祀られていることにも納得できますね。

全国の神社を巡っていて、弁財天を山の中で見かけたことは、ほぼありません。あっても、そこには湖があったり、または人口の池の真ん中などに祀られています。

神様の性格と、祀られている景色をチェックしながら疾走るのも楽しいですよ。

弁財天には、欠かせないものがもうひとつあります。それは弦楽器です。弁財天を描いた絵や像は、必ずと言っていいほど弦楽器を持っています。

日本の弁財天が持つ弦楽器は、琵琶です。そのことから転じて、楽器演奏や歌、芸能の神様としての顔も持っています。

参拝客で賑わうメイン通りを歩いていると、横に入る路地を発見。順路ではないものの、人混みから逃げるように進みます。せまい階段をぬけると、静かな浜に行きつきました。

神社巡拝家ですが、シンガーソングライターでもあるワタクシ佐々木優太。芸能の神様のご利益にあずからずしてどうする! ということで、今回ここを選ばせていただいた本当の理由は「芸能の神様」だからなんです。

弾き語りスタイルのお姿には、親近感を感じざるを得ません。実際に弁財天は、全国で芸能の神様としても多く祀られています。

もし疾走っている途中に弁財天を見かけたら、佐々木優太が売れるように、どうか祈ってください!

全国のライダーが祈れば、なんとかなるような気がする! もちろん自身も精進いたしますので、皆さまよろしくお願いいたします。

江島神社は3つのお宮からなっている

弁財天が日本へやって来てしばらくすると、日本に元々いた神様と同一視されるようになります。

その神様の名前は、イチキシマヒメ。実は、2017年に世界文化遺産に登録が決まった福岡県の宗像大社と、同じく世界遺産広島県の厳島神社。この2社も、同じ神様を祀っています。

やはり全て水辺に祀られていますね。ちなみに厳島神社の「いつくしま」は、イチキシマヒメの「いちきしま」が由来と言う説もあります。

この神様は三姉妹の末っ子で、姉妹全員が水に関する性格を持っています。

弁財天とイチキシマヒメは、水というキーワードをもとに同一視されるようになったのでしょう。

画像1: 江島神社は3つのお宮からなっている

江の島に渡って、すぐに見えてくる鳥居。そこから坂と階段を上っていくと、神社へ到着します。大きな社殿が建っていて、隣には弁財天も祀られています。

多くの人は、こちらで参拝を終え帰ってしまうそうです。だけど、それじゃぁもったいない。実は江島神社は、三姉妹の神様をそれぞれ祀る3つのお宮から成っています。

多くの人が「これが江島神社だ」と思っているのは、辺津宮(へつみや)と呼ばれるお宮。そこから奥へ延びる道を行くと、中津宮(なかつみや)へと辿り着きます。このお宮こそ、イチキシマヒメを祀る神社なのであります。

画像: 辺津宮 夏場は「茅の輪くぐり」と言って、全国の神社で大きな輪が置かれます。夏を乗り切るために、これをくぐって罪穢れを祓います。この日も多くの人がくぐっていました。

辺津宮
夏場は「茅の輪くぐり」と言って、全国の神社で大きな輪が置かれます。夏を乗り切るために、これをくぐって罪穢れを祓います。この日も多くの人がくぐっていました。

中津宮
イチキシマヒメを祀っているお宮だけあって、女性の参拝者が多かったです。弁財天の羽衣をモチーフにしたシンボルマークや、かわいいデザインの絵馬は女性ライダー必見!

そして更に進みます。途中には展望台や、ナイスビューなポイントがけっこうあります。奥の方ではさすがに人も少なくなり、赴きある路地の雰囲気に、昔へタイムスリップしたような錯覚さえ覚えました。

せっかく江ノ島に来たのなら、是非奥の方まで行っていただきたいと思います。

長女の神様を祀る奥津宮(おくつみや)に辿り着くと、さすがに境内に人はまばらでした。辺津宮の賑わいがウソのようです。そして更に! 奥津宮を過ぎると、江の島の反対側へ出るのです。

画像: 奥津宮 せっかく江の島へ来たなら、ここまで参拝したいですね。辿り着くと、観光地とは思えない静けさを味わえます。更に奥にある岩屋は、江の島弁財天信仰の発祥の地です。

奥津宮
せっかく江の島へ来たなら、ここまで参拝したいですね。辿り着くと、観光地とは思えない静けさを味わえます。更に奥にある岩屋は、江の島弁財天信仰の発祥の地です。

そこは岩場で、陸の海岸からは見えにくい場所。まさに180度のパノラマで、見渡す限りの海でした。

画像2: 江島神社は3つのお宮からなっている

江の島名物「シラス丼」を食す! 
 
とびっちょ
神奈川県藤沢市 江の島1-6-7

画像2: 湘南〈江の島〉の神様とは? 江島神社と龍口明神社を巡る/神社巡拝家・佐々木優太の「神社拝走記」【第2回】

江の島のグルメといえば、欠かせないのがシラス丼! 釜揚げはあっても、生シラスに出会えるかは運しだい。長時間、並んだかいがありました。海を眺めながら食べる味は格別!

こちらもおすすめ! あわせて訪れたい龍口明神社

画像: 龍口明神社 神奈川県鎌倉市腰越1548-4 もとは、江島神社の陸側すぐのところに鎮座していた龍口明神社。今は、モノレール沿いに少し疾走ったところにあります。両社の神様は夫婦です。江の島だけではなく、龍口明神社と2社合わせて参拝したいですね。

龍口明神社 神奈川県鎌倉市腰越1548-4
もとは、江島神社の陸側すぐのところに鎮座していた龍口明神社。今は、モノレール沿いに少し疾走ったところにあります。両社の神様は夫婦です。江の島だけではなく、龍口明神社と2社合わせて参拝したいですね。

その昔、この地域には五つの頭を持った暴れまわる龍がいたそうな。その龍の行ないを戒めたのが、江の島の弁財天だったそうです。その後、龍と弁財天は結婚し、両者でこの地に安泰をもたらしました。それ以来、地域の人たちから、両社合わせて信仰されています。

訪れたのは真夏でしたが、涼しく感じるほどの木陰の広さでした。生命力にあふれる姿は、まるで
御祭神の五頭龍そのもに思えました。木にも、もちろん「参拝」をしました。

向きによっては、ハート型に見えるこちら。火事をいち早く察知すると言われている猪の、目や鼻をかたどったもの。猪にあやかって、火除けのためにあるそうです。

【神社一口メモ】

人形祓いとは?安全運転祈願にオススメ!

画像3: 湘南〈江の島〉の神様とは? 江島神社と龍口明神社を巡る/神社巡拝家・佐々木優太の「神社拝走記」【第2回】

自分についた罪や穢れを、人の形をした紙に移す人形祓い。龍口明神社にはなんと、二輪形なるものがありました! 

こちらの二輪形に車種やナンバーなどを書き入れ、息を吹きかけます。これで厄は、二輪形に移りました。

今後の神社拝走記も、安全運転でいきます!

文:佐々木優太/写真:関野 温/撮影協力:江島神社、龍口明神社
※今回の記事は月刊オートバイ2017年9月号で掲載したものを加筆修正しております。

神社巡拝家・佐々木優太の公式サイト・著書

著書の情報

神社巡拝家・佐々木優太の「神社拝走記」【第1回】

This article is a sponsored article by
''.