雨が降り、それは豪雨となって視界を遮りはじめる。路面は濡れ、河ができて、周りがペースを落とし始めてもアドベンチャーなら全く平気、どんとこい!
まさに全天候型、旅するオートバイなのだ。
※月刊オートバイ2018年11月号「現行車再検証」より
スズキ Vストローム1000XT ABSの特徴を解説

1997年に登場した、VツインスーパースポーツTL1000S/Rの水冷V型2気筒エンジンをルーツに持つVストローム1000/XT。初代は2002年に発売、2014年に現行モデルにフルモデルチェンジした。現行モデルは2017年に小変更が施された後期モデルで、外観ではナックルガードとアンダーカウルが標準装備された。

旧TL→SV系の水冷Vツインは、OFF/1/2と3段階に設定できるトラクションコントロールを標準装備し、このシステムがのちにGSX-R1000にも転用された。

19インチのワイヤースポークホイールを標準装備するのがXT。リムを貫通しないスポーク組みでチューブレスタイヤを使用している。

リアブレーキはフロントへの入力が一定量を超えると、その時の姿勢に最適な配分で前後連動が発動する。ローター径はφ260mm。

スズキのビッグオフローダーの草分けであるDR-BIGのDNAを受け継ぐフロントマスクデザイン。ヘッドライトは縦2灯式、ハイビームで2灯が点灯する。

サイドにノンスリップ系素材を使用したシートは、数字以上に足つき性がよく、クッション厚も十分。タンデム部は積載性がいいキャリアとツライチ。

XTにはテーパーハンドルバーを標準装備。20Lのタンク容量もアドベンチャーモデルとして充分で、フルタンク400kmも不可能ではない。

キャリア下のカバーを外せば、純正パニアケースを外部フレームなしで取り付け可能。パニアはメインキーで使えるよう、シリンダーが同梱される。

セレクトボタン+上下スイッチでトラクションコントロール、メーターの表示部切り替えがわかりやすく、かんたんに操作できる。

デジタルのスピード表示の下にはギアポジションインジケーター付きのアナログ&デジタルメーター。オド&ツイントリップ、瞬間&平均燃費、残ガス走行距離などを表示する。
Vストローム1000XT ABSの足つき性と燃費をチェック!

ライダーは178㎝/80㎏。両足裏が半分ほど接地する足つき性で、車重230㎏オーバーの重量車ということもあり、身長170㎝あって初めて安心できる足つきだろう。
このスタンダードを基準に、ローシート(シート高は-30㎜)、ハイシート(+35㎜)が用意されている。

今回は走行約620km。
平均燃費は、21.0km/Lでした!

ついつい距離が伸びるアドベンチャー、600㎞オーバーも走り回りました。やはり燃費がいいのは高速道路のクルージングで、メーター表示では6速100㎞/hで最高28㎞/Lを表示しました。
文:中村浩史/写真:松川 忍
スズキ Vストローム1050/XT ABSの主なスペック・価格
[エンジン]水冷4ストロークV型2気筒DOHC4バルブ
[排気量]1036㏄
[ボア×ストローク]100×66㎜
[最高出力]99ps/8000rpm
[最大トルク]10.2㎏-m/4000rpm
[変速機形式]6速リターン
[全長×全幅×全高]2280×930×1470㎜
[ホイールベース]1555㎜
[最低地上高]165㎜
[シート高]850㎜
[タイヤ前・後]110/80R19・150/70R17
[燃料タンク容量]20L
[車両重量]232㎏(XT ABS:233㎏)
[メーカー希望小売価格(10%税込)]143万円(XTは147万4000円)