画像: MOTO GUZZI「V9 BOBBER SPORT」を詳解!
『ゴーグル2020/2月号』

スタイル重視のお飾りカスタムとは異なる
走行性能ありきのメーカー提案カスタムとは?

モト・グッツィのスポーティなスピリットを支える伝統のメカニズムをベースに、第二次大戦後にアメリカでダートトラックレーサーたちによって流行した、ワイルドでスポーティなボバースタイルを再現したモデルV9ボバー。そしてブラックアウトされたディテール、ファットなタイヤが目立つボバーの個性的なコンセプトを活かしながら、新たな魅力を開拓するニューモデルとして追加されたモデルがV9ボバースポーツだ。

画像1: スタイル重視のお飾りカスタムとは異なる 走行性能ありきのメーカー提案カスタムとは?

より低くマウントされたシングルシートと、短いライザーを介して装着されるドラッグバーハンドルでよりアグレッシブなイメージのスタイルへと進化。オーリンズ製のリアサスにアルミ製スリップオンサイレンサーなどでさらにスポーティな走りも実現。鮮やかな専用カラーにより、一際眼を惹くルックスとなっている。

画像2: スタイル重視のお飾りカスタムとは異なる 走行性能ありきのメーカー提案カスタムとは?

チャレンジングなルックスに
高い走行性能をプラス!

もともとV9BOBBERは、ただ個性を主張するスタイリングではなく、走行性能を生かしたセッティングで、ステージを限定することなくオールラウンドなワインディング性能を確保しており、『SPORT』ではより一層〝走り〟を意識した仕上がりとなっている。

 前後16インチホイールにハイトのあるファットタイヤとの組み合わせにより、どっしりと地を這う様なフィーリングを演出するが、粘りのあるハンドリングは若干慣れが必要だが癖はなく、タイトなターンもお手の物といった具合。インパクトあるセットアップだが、さすがメーカークオリティのカスタムセットアップといえる、乗り手を選ばないクオリティの高さを誇る。

画像1: チャレンジングなルックスに 高い走行性能をプラス!

50年代からバックヤードカルチャーとして用いられている手法のチョップドスタイルを取り入れているとはいえ、どちからというと現代のハイテックカスタムといった具合の内容の濃さが特徴ともいえる。ABSはもとより、好みで選択可能なトルクコントロールシステムなど、現行ラインアップ同様のグレード装備で走行フィールの向上と安全性を高めている。また、『SPORT』では、リアショックアブソーバーにオーリンズ製を採用するなど、セッティング幅を広げると共に、クッション性能の許容を引き上げている。きめ細やかに働くショック吸収性能は、低速域ですら体験できるほど上質で、高速域となればその外乱の収束性能に大きな違いを見せてくれる。

画像2: チャレンジングなルックスに 高い走行性能をプラス!

しっかりとボバースタイルを具現化しつつ、ロープロファイルのソロシートを採用することで、一見街乗りメインのカスタムのノリに拍車が掛ったように見えるが、引き締まった車体構成と適度な柔軟性を提供するショックユニットにより、ハードなワインディングにも耐え得るバランスの良さを秘めている。

 車体構成部品で一際目を引く存在のVツインエンジンは、OHV2バルブながら853㏄の排気量を誇り、堂々とした重厚感あふれる太いトルクを発生させつつ、車重を感じさせない軽快な加速力をみせる。ストリートカスタムカルチャーを具現化する際に、存在感の大きなエンジンは見掛け倒しではないパフォーマンスを発揮出来るからこそ、支持されるポイントとなることだろう。

画像3: チャレンジングなルックスに 高い走行性能をプラス!

もちろん気軽さがウリのミドルレンジのシリーズなので、極端に言えばスニーカー感覚で付き合える身近さに親近感を覚える。唯一の縦置きVツインエンジンを採用し、歴史あるモト・グッツィの伝統と格式を鑑みると身構えてしまうかもしれないが、そんなタガを外して走り出してほしい。また、あまりにも現代的で気難しさが一切ないフレンドリーさは、なによりも代え難い個性かもしれない。

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