※この記事は月刊オートバイ2018年10月号(別冊付録 RIDE)で掲載したものを加筆修正しております。
再会の約束を果たすため
2018年の4月頃、僕は山形県の神社を巡っていました。そして宮城県に抜けて、東京へ帰るコースを予定していました。
山形県から宮城県に抜ける時、ちょうど県境に山が広がっています。蔵王連峰です。古くから霊場として名高い蔵王。こちらの神社にも参拝したくて、麓の神社を訪ねました。
その神社は、麓と山頂の二社からなっています。どちらも、同じ刈田嶺神社(かったみねじんじゃ)。この時参拝した麓の方を里宮、山頂の方を奥宮と呼びます。
神社の人いわく、冬季はとても山頂には行けない、と…。山への道も閉鎖されているらしい。だけど夏季は、御神体が里宮から奥宮へお移りになり、それと同時に道も開通するのだとか。
4月半ばに訪れた時に山頂の奥宮へ行けるか聞いてみると、神社の人が「山頂へ行けるのは、5月頃からです」と教えてくださいました。
2週間後か…。せっかくここまで来たのに。でも、無理なことは無理。諦めて、宮城県に向けて出発。
この時点でもう午後。東京への高速に乗る直前、地図で近くに神社を見つけました。夕方閉門の時間ギリギリでしたが、思い切って行ってみることに。
この日最後に訪れたのは、宮城県白石市に鎮座する神明社です。白石城址の一角に、その神社はありました。
参拝させていただき、御朱印を受けに社務所へ伺いました。閉門時間にも関わらず、僕が遠くからの参拝とわかると、丁寧に神社の歴史などを話してくださいました。
そこで、ひょんなことから、こちらの神職の方もバイク乗りだという事がわかったのです。そして、この日の刈田嶺神社での話をすると、神職はこう言ってくださいました。
「もし夏季に刈田嶺神社の奥宮へ行かれるのならば、次は宮城県側から登られてはどうでしょうか。その際は、私がバイクで先導いたしましょうか?」と。
僕は「ぜひお願いします!」と言い、約束を交わしました。そして東京へと帰路についたのです。
あれから数ヶ月が経ち、刈田嶺神社奥宮への道も開通。白石市の神明社に連絡をすると、神職の佐藤さんは、あの日の約束を覚えてくださっていました。
僕は再び、北へ疾走り出します。「いつ」とは明確に決まっていない約束が、快く果たされる喜び。
白石城址へ到着し、神明社へ辿り着くと、そこには、禰宜の佐藤さんと愛車のNinja1000が待っていてくれました。
日本人なら知っておきたい、神社にまつわる素朴なギモンを解消!
【夏に見かける茅ノ輪って何?】
「8の字」を書くように回って参拝
6月頃になると、神社で大きな輪っかを見かけませんか? それが茅ノ輪です。茅ノ輪は穢れを祓うために置かれています。
昔の人は、6月のこのタイミングで衣服を新しいものに替えていたのだとか。
昔は水が貴重で、毎日お風呂に入ったり服を洗濯したり出来ませんでした。そこで暑くなって伝染病などが流行する前に、清潔に保とうとしたのですね。
昔の人々の健康を願う思いと知恵、その表れが茅ノ輪なのです。
先ずは左側に1週するようにくぐります。そのまま「8の字」を書くように右に1周。最後に左にもう1周してから参拝します。
こちらの茅ノ輪の形は珍しいものでした! 地域によっての違いを見つけるのも楽しいですね。