扱いやすくて速いミドルクラスの魅力をもっと知ってほしい
今回の車両はスズキのSV650。
昨年くらいから人気の兆しがあるミドルクラスの中の1台だ。
ミドルクラスとは何とも曖昧な呼ばれ方ですが、俺的には401以上でリッター未満。エンジンパワーと車体の軽さや大きさなどのバランスが良く、乗りやすい車種が多い。そんな隠れた名車ゾーンがミドルクラスだと思う。
その排気量ゆえに「中途半端と言われそう」と思っていたんですが、若きオートバイ女子部の皆さんと話をすると、排気量でバイクを分けることをせずに「自分が好きになったバイクが何ccでも気にしない」と言う。もはやミドルクラスと分けること自体に意味がないらしい。
そんな話を聞くと、バイクの排気量の大きい小さいが「ライダー界の階級社会の決定的要素」として育って来た自分の青春時代が恥ずかしくなります。まあ他人のバイクよりも大きい小さいを気にするより、自分が気持ちよく走れる方が何より大事だから。
とにかくいいバイクなのにイマイチ目立たないせいで未来のオーナーさんに紹介できないのは、バイク雑誌に関わる者として悔しい限り。自分的にはミドルクラスを撮影する時には、彼らを応援するような気持ちを込めて撮影してる。
SV650は1999年にアルミフレームのスポーツバイクとして誕生。一時販売休止を経て2016年にフルモデルチェンジして復活した。
そのバイクなりをひとことで言うと「超乗りやすい優等生」。野球選手に例えるとセカンドで2番打者的な雰囲気。ホームランも打てるけど、コツコツ出塁率が高いみたいな。余計に分かりにくいか?
青は春のインプレ用カット。ライダーは気持ちよく走っている感じ。赤のオプションパーツ装着車は秋の伊豆へツーリング。実際の使用に近いシチュエーションで楽しんでもらった。
「実はスロットル全開にすると結構速いのに、そこが最大の魅力ではない」的な感じを写真にするは難しい。編集担当者と話しながら「気軽に乗れて、でも本格的なバイクの魅力もあるよ」という感じで撮ってみた。
SV650には写真で表現できない魅力がもうひとつ。水冷DOHCのVツインなのに、その価格がリーズナブル。本当に優等生のSV650。それだけにできるだけ多くのライダーに乗って欲しい1台だ。
写真・文:柴田直行
柴田直行/プロフィール
柴田直行 しばたなおゆき
1963年3月生まれ
横浜市在住
オートバイとライダーをカッコ良く撮るのを生業にしているカメラマンです。
ホンダVT250Fが発売になった1982年(19歳の頃)にオートバイブームに乗じて雑誌編集部にバイトで潜入。
スズキGSX-R750発売の翌年1986年に取材のため渡米。
デイトナでヤマハFZ750+ローソンの優勝に痺れてアメリカ大好きに。
ホンダCRM250R発売の1994年に仲間とモトクロス専門誌を創刊して、米国系オフロードにどっぷり。
カワサキニンジャ250が発表された2007年から、ゴーグル誌でも撮影を担当し現在に至る。
オンでもオフでも、レースでもツーリングでもオートバイライフが全部好き。