同世代車両との違いを知り、反映させて作る快走仕様
「フルカスタムやフルレストアももちろんありますし、どうやってもいいんですよ(笑)。今のホンダCB-Fユーザーの傾向としてはきちんとお金もかけて、純正に戻す方向と、性能を出しに行く方向というふたつがはっきりとしてきたようです。そんな中で思うのは『まず車両のベースをきちんと作っておいてほしい』ということです。F自体はもう40年経つ車両ですけど、そもそも走らないわけじゃない。けれど、調子が悪いままでは走らないんです。
どこか詰まったまま、抜けたまま、古いまま。それがオーナーさんに分からない場合もたくさんあります。まあ古い車両だからこんなものかな……というのもあるでしょう。そこを突き止めて直す。オーバーホールしてネガ潰しとレストアを行う。そうしていいベース車両にしておく。それがスタート点」とCB-Fへの接し方を教えてくれる安田商会・安田さん。
「そうしてよく走るようになったCB-Fは乗る機会も増えるし、それでいい状態も続く。そんな仕様を増やしていきたい」ともいう安田さん。
そこでこの車両だが、元々25年前にZ750FX-1を買おうと販売店に行った際に勧められて購入し、以後「いろいろと修行してきた」(安田さん)というストリート仕様のFC改。今は純正改方向で手が入れられている。
その主なものは足まわり。「CB-Fはスイングアームピボット位置が高いので、スイングアーム垂れ角が付けにくい(テールアップと両立させにくい)んです。それで17インチ用にXJR1200用スイングアームを使ってみると、悪くはないけどターンでの反応が遅い。立ち上がりでライダーが車体内側に入ってすっとバイクを立てられるようにショート化してみたら、リヤの挙動が分かりやすくなったので、XJR用をショート加工するのを定番化してます。ここは決まり。フロントはバネレートをまず合わせる。同時代のZなどと比べて前荷重の作りですから、Z系よりも少し高めが標準と思った方がいいようで、そこに合わせる」と、内容も裏付けのある定番となった。
見た目はライト。でも内容はフルに考えられた奥深いもの。
今CB-Fを楽しむ基本要素を満たした1台と言える。