CB1000R“THE YOKOZUNA”
目玉はハンドメイドでドラッグレースの文法をなぞったアルミ改
スイスやオーストリアが近くなり始めるドイツの南部、自動車産業で知られるシュツットガルトにほど近いレーオンベルグ。ここはかつて(西)ドイツGPが開かれていた公道サーキット、ソリチュード・レーストラックを擁するが、その一部を会場に、年に1度開かれる欧州最大のバイクイベントがグレムセック101だ。
14回目を迎えた2019年は、ホンダCB750登場50周年とあって、ホンダもその末裔たるCB1000Rカスタムを展示した。その目玉がまずの紹介となる、CB1000R“THE YOKOZUNA”だ。
ドイツ選手権スーパーバイク戦にホンダCBR1000RRで参戦する、イタリア人のアレックス・ポリータが2019年/第14回のグレムセック101参戦用に作った“ザ・ヨコヅナ”(日本の相撲のトップを張る=トップ狙いから命名)。
グレムセック101の中心になるイベントは会場中央のドラッグストリップでの1/8マイル勝ち抜きトーナメント戦で、そこでのパフォーマンスを性能面でも、ルックスでも表現したいとしての仕様となっている。
スイングアームは5cm伸ばしギヤ比も加速重視にするドラッグレースの流儀を使う一方、大きなリヤホイールカバーや燃料タンク~サイドカバー、前後カウルをアルミでハンドメイド。CB1000Rのアルミに刺激を受けての製作で、ポリータ自身が乗って最終日曜の16台決戦で3位を獲得した。
CB1000R adical
カーボンパーツ多用で“過激に”軽量化を追究
CB1000“R”にadicalで、CB1000“ラディカル”(過激)と呼ぶこの車両は、カーボン多用で過激にウエイト軽減を狙い、Rotobox製ブーストホイールやCeraCarbon製カーボンアウター×カーボンセラミックインナーのフロントフォーク、カーボンスプロケットを装備。
アンダーカウルはCBR600RR改をフィッティングしている。前述の1/8マイルレースでは、マン島表彰台常連のコナー・カミンズが乗った。
CB1000R by Fischer&Bohm
赤フレームでオリジナリティを創出
赤で粉末窒化処理されたフレームとシルバーのボディで、'60年代ホンダレーサーを彷彿させるフィッシャー&ボームのCB1000R。
低く下がったハンドルバーや左右レバー、ブレーキラインはスピグラー、フロントマスターリザーバーとバーエンドはリゾマで、フロントまわりのカスタム感を演出した。排気系にはアクラポヴィッチ・スリップオンをチョイスて、アップグレードも行った。
CB1000R by Buselmeier
60年に及ぶホンダ・レースの歴史を投影
1959年のマン島TT参戦(RC142+谷口尚己選手)以来、60年に渡るホンダのレースヒストリーへの祝福を形にしたという、ブゼルマイヤー製CB1000R。
赤タンク×銀カウルの代わりの各部パーツ+イエローライン、#7は1966年にWGP10戦10勝をなし遂げたマイク・ヘイルウッド+RC166がモチーフだ。排気系はSCプロジェクト製スリップオンマフラーを装着。
CB1000R Monoposto
ペイントとロゴで'80年代感を演出
黒とブルーの塗色に'80年代の黄色いホンダ・ウイングマークを配したクミッヒ・ホンダの『モノポスト』。
溝多めのタイヤやカットフェンダー、アップでシート下まで伸ばしたマフラーでレトロスクランブラー感も醸し出しつつ、LSLブラックハンドルやリゾマ製マスターリザーバー、モトガジェット製小型インジケーターも装備しているのだ。
GL1800 by www.iouis.de
極限までストリップ&チョップで作成
ここからはCB1000Rを離れ、他のホンダ・カスタムを。1938年に創業して80年の歴史を持つヨーロッパ最大のバイク用品扱い元、LOUIS(ルイス)はグレムセック101のサポーターのひとつ。
毎回カスタム車を送り込む(前々回はオリジナルトラスフレームのVFR1200F・DCTだった)中で、今回はGL1800をネイキッドバイクにカスタム。6-6の排気管やオリジナルパイプフレーム、アルミタンクのチョッパーは来場者の目を惹いた。
The CB750『Starrider』
ネオレトロをカーボン&ミニマルで進化
'80年代のCB750Fをベースにモトイズムが手がけたスターライダーは自身の掲げる「Made in the Shade」に合わせて、ネオレトロから一歩踏み出たモダン・ミニマルスタイルを構築。
燃料タンクはカーボンに置き換え灯火類はフルLED、メーターはデジタル。またリヤサブフレームは新作しリヤホイールにはカバーも装着している。
取材協力:ホンダモーターヨーロッパ