ファミリーバイク特約の意外なメリット
自動車保険に付帯できる特約として「ファミリーバイク特約」というものがある。記名被保険者、あるいは記名被保険者の家族であれば、原付使用中の事故などについて、主となる自動車保険と同じ補償が受けられるという特約だ。
このファミリーバイク特約だが、原付一種・二種であれば所有が何台でも補償されるだけでなく、他人から借りた原付も補償の対象となるため一台ごとに加入するよりも保険料がお得になるのはご存知だろうか? また契約では原付のナンバー登録等も不要なので、手続きが簡単という特長もある。
もしファミリーバイク特約の付帯を考えているなら、個人的には人身障害補償のついたタイプを付帯することをお勧めしたい。
ご存知の方も多いと思うが、ファミリーバイク特約には、対人賠償・対物賠償・自損事故・および無保険自動車傷害特約のうち自動車保険の契約にセットされている補償の保険金が支払われるものと、対人賠償・対物賠償に加えて人身傷害保険特約が付帯されたものの2タイプがある。もちろん人身傷害保険つきのタイプは保険料も高くなるが、一台ごとにバイク保険をかけることと比べれば、かなりお得感はある。
加えて、自損事故などの場合は人身傷害保険から治療費や休業補償なども支払われるので、予算に余裕があるなら人身傷害補償のついたファミリーバイク特約を選んでいただきたい。
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バイク保険よりファミリーバイク特約をオススメしたいケースは?
バイク保険よりファミリーバイク特約をおすすめしたいケースとしては、以下3つがあげられる。
・家族のものを含め、原付を数台所有しているケース
・記名被保険者の年齢が若いケース
・等級を気にせず保険を使いたい、と考えているケース
家族のものを含め、原付を数台所有しているケース
原付を複数台数所有している場合でも、ファミリーバイク特約なら特約を一つ付帯するだけで済む。登録番号等の報告もいらないため、途中で原付が変わった場合も手続きはいらない。また主となる自動車保険に運転者本人、夫婦限定特約が付帯されていても問題ない。
記名被保険者の年齢が若いケース
バイク保険の保険料は、記名被保険者の年齢条件が若い区分ほど高くなるが、ファミリーバイク特約にはこうした年齢による保険料の影響はない。つまり、学生など若いライダーにとってファミリーバイク特約は非常に嬉しい特約なのだ。例えば自分で車を持っていなくても、親の自動車保険で特約を付帯できないか検討してみよう。
等級を気にせず保険を使いたい、と考えているケース
バイク保険の場合、通常事故を起こした場合、翌年等級が3等級さがり、翌年の保険料がかなり高くなるが、ファミリーバイク特約の場合事故で保険金の支払いをしても主契約の自動車保険の等級への影響はない。つまり、初心者ライダーなど事故を起こしやすいライダーにとっても、気兼ねなく使える保険としてファミリーバイク特約は非常に優秀ということだ。
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バイク保険を個別にかけないデメリットは?
ファミリーバイク特約は非常に優秀な特約であると思うが、やはりデメリットも存在する。
・特約ではロードサービスが利用不可
・バイクのための補償はつけられない
・他人に貸した場合の事故は補償対象外
ロードサービスが使えない
事故・故障などで契約している車が自力走行不能となった場合利用できる「ロードサービス」は保険会社によっては、ファミリーバイク特約では補償対象外となっている。
もしロードサービスを受けたいと考えるなら、JAFへの入会を検討しよう。これならロードサービスを受けらるほか、自分の原付で事故を起こした場合以外にもJAFのロードサービスが受けられる。また、JAFには優待制度も設けられており、日常生活や観光で割引が受けられるサービスを用意しているのもメリットだ。
保険会社からのロードサービスは受けられないが、こうした外部サービスと組み合わせてデメリットを穴埋めしてみよう。
バイクのための補償はつけられない
バイクそのものが破損した場合の補償は、バイク保険の場合は車両保険として付帯できるが、ファミリーバイク特約の場合はその補償はなく、別途付帯もできない。バイクそのものの補償も付けたい場合は、バイク保険にきちんと加入すべきである。
他人に貸した場合の事故は補償対象外
最後に注意したいのが、他人に原付を貸した場合だ。バイク保険の場合、年齢条件さえクリアしていれば、他人がそのバイクに乗って事故を起こした場合も補償されて保険金の支払いが可能なことがあるが、ファミリーバイク特約の場合は、被保険者とその家族以外の人が乗って事故を起こした場合は保険金の支払いができない。この点だけは十分留意しておこう。
さいごに
自分の乗るバイクが原付であれば、複数台所有している場合や、年齢が若い場合、また初心者で事故を起こしやすいと感じている方は、バイク保険ではなくファミリーバイク特約のほうが向いているかもしれない。ロードサービスを使えないという代表的なデメリットもあるが、JAFと併用することでデメリットは解消できる。コストの面でもバイク保険に単独加入するよりも、ファミリーバイク特約とJAFを組み合わせたほうが安い。
これら条件に当てはまる場合は、バイク保険ではなくファミリーバイク特約を活用してみてはいかがだろうか。ただし、自賠責保険への加入は絶対にお忘れなく。対人事故を起こした場合は。先に自賠責からの支払になるため、そちらも忘れずに加入しておかないと120万まで自腹で負担することになる。自賠責保険には絶対に加入しておこう。
まとめ:伊藤フミヒト(自動車保険の窓口)/※写真は原付一種・二種のイメージ
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【profile】伊藤フミヒト
ウェブサイト『自動車保険の窓口』代表。交通事故専門の弁護士30人以上への取材経験を持ち、交通事故の賠償問題に精通。賠償金増額の仕組み、また後遺障害等級認定の裏事情を深く知る。