ルックス的にも魅力をかつハードルは低めで
発売から1年以上が経ち、街中でも見かける機会が増えたニューKATANA。各アフターパーツメーカーからのパーツ群も次々と現れつつあるが、市場での好みははっきり分かれている。
「当店のお客さんに聞いてみたら10人中10人とも“要らないかなあ”という反応をされたんです。だったらちょっと手を入れて、“このくらいの形と仕様にして魅力を引き出して、しかも手が届く程度というカスタム車を作ってみたら、ほしくなる人もいるのでは?”というところを目指したのが、この車両なんです」
こう教えてくれるのは、北海道は札幌、バイクプラザ・メカドックの畑中メカだ。同店は長年さまざまなカスタムを手がけてきたが、中でも“ベコ”GSX750Eや油冷、カタナなどのスズキ車の経験も豊富。その経験も生かしつつ、先述のような提案を込めて作業は進んでいった。
まず目を引くのは全体のカラーだ。かつての空冷カタナのうち、赤×銀のツートンカラーを持った’84年型GSX1100SEを彷彿させる処理がされる。これはペイントではなく、ラッピングとシート表皮張り替えで処理されている。全体的になじみが良く見えるが、ここにひと工夫あった。シート前とサイドカバーの間に収まる、コの字型カバー。そしてテール左右のカバー。ここをマットブラックでラッピング処理したというのだ。
「どっちも純正でも黒なんですが、それだと少し光沢が強くて、全体のバランスが良くないなと思ったんです。それでそこを抑えてみようと思いました」(畑中さん)。ほかにもウインカーをラジエーターサイドからヘッドライト下のポジションランプ位置に内蔵し、リヤはフェンダーレス化。
またハンドルも極力低くするべくケイファクトリー製トップブリッジを使い、その上でミラーもナポレオンAZと、ナポレオン直角アダプターによって位置をぐっと下げて車体との一体感を図るように工夫を重ねた。
結果、「現状で付けたいものがない」というスクリーンはノーマルから換えないままに低く構えるスタイルを実現、排気系も同じ札幌のジンワークスでサイレンサーを製作した。
「この形を見せると、お客さんも“いいね”って言ってくれるようになりました。可能性は広がったということですよね」と畑中さん。この見本によって同店には製作オーダーが入ったという。カラーは青×銀。完成の暁には2台揃えて見てみたい。すると、ニューKATANAの次の可能性も見えてくる感もある。
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