ホンダ「フォルツァ」試乗インプレ&解説(太田安治)
走り出せばすぐに分かる爽快フットワーク!
初代が2000年に登場して以来、250ccスクーター市場を長らく牽引してきたフォルツァには現行型でもう5代目となる。
フォルツァといえば、クルーザー的なゆったりした乗り味で豪華装備も満載、といったイメージだが、コイツはいささか様子が違う。ホイール径が前15、後14インチと1インチずつ大径化され、ホイールベースも35mm短縮。シート高は65mm高くなり、前モデルの体全体を後傾させて車体の中に潜り込むようなライディングポジションから、上体が起きてフロアボードもしっかり踏めるアップライトなものに変わった。
勘のいい人なら、これだけでホンダの狙いが見えるはず。そう、市街地を俊敏に駆け回れるスポーティなハンドリングを得るべく、車体構成を一新しているのだ。
その違いは走り出してすぐに判る。
ライダーを含めた重心位置が高くなったことでヒラヒラ感が大幅に増し、前後タイヤの接地状態もグリップ、シート、フロアボードというライダーと車体の接点すべてから明確に感じ取れる。
スタンド類が接地するまでバンクさせても前モデルのように前輪の手応えは薄れず、スクーターが最も苦手とする下り坂でブレーキングしたままバンクさせる状況でも不安な挙動はない。それでいて、車体剛性の高さに起因する曲がりにくさや急な挙動変化は出ず、乗り心地も上々。この車体バランスは相当時間を掛けて煮詰められたのだろう。
エンジンは前モデルの熟成仕様。ピークパワーは変わらず、トルクは僅かに大きくなっている。発進時のクラッチミートは約2300回転で、ドンと押し出されるような唐突さはなく、スロットル開度に忠実に反応してフワリと動き出すのでUターンも楽に行える。
全開加速時は6000回転弱をキープする設定だが、出力特性がチューニングされたことで加速力は前モデルよりも向上している。高回転の伸び感はないが、常用速度では間違いなく乗りやすくて速い。標準装備のABSも介入タイミングが速すぎないから、キビキビ走りを妨げないし、ダートで試す限りではHSTC(トラクションコントロール)の介入も違和感なし。
前モデルから比べると、現行型は格段の進化を遂げている。通勤通学といった日常使いの中でもスポーツ心を感じていたいライダーには最適のパッケージングだ。
ホンダ「フォルツァ」主なスペックと価格
全長×全幅×全高 | 2140×750×1355mm |
ホイールベース | 1510mm |
最低地上高 | 145mm |
シート高 | 780mm |
車両重量 | 184kg |
エンジン形式 | 水冷4ストSOHC4バルブ単気筒 |
総排気量 | 248cc |
ボア×ストローク | 68.0×68.5mm |
圧縮比 | 10.2 |
最高出力 | 17kW(23PS)/7500rpm |
最大トルク | 24N・m(2.4kgf・m)/6250rpm |
燃料タンク容量 | 11L |
変速機形式 | 無段変速式(Vマチック) |
タイヤサイズ(前・後) | 120/70-15M/C 56P・140/70-14M/C 62P |
ブレーキ形式(前・後) | シングルディスク・シングルディスク |
メーカー希望小売価格 | 65万8900円(税込) |