カワサキ「Z900RS」誕生の歴史
ライダーを惹きつける美しさと最新技術の融合
1969年、初の量産市販4気筒マシン・ホンダCB750Fourが世界を席巻し、これに対抗するモデルの開発をカワサキもスタート。そして満を持して1973年に送り出されたのがZ1だ。CBを凌駕するため排気量は900ccのDOHC4気筒を採用し、当時最強の動力性能を実現。スタイリングもスポーティな上に、大排気量車らしい堂々たる雰囲気もあって、世界中の多くのライダーから熱狂的に支持された。やがて空冷から水冷へと時代は変わり、Zも姿を消したが、Z1は現役時代以上の人気を集める。
そして2017年、カワサキは現代版Z1と言うべきZ900RSを登場させる。Z1譲りの精悍なスタイルに、エンジン、車体、電子制御デバイスなど、洗練された現代のメカニズムを投入し、豪快で俊敏な乗り味を再現。現代的な高い信頼性、扱いやすさに、名車Z1のDNAが融合したモデルとして、デビューするやいなや大ヒット。こちらも幅広い層のライダーから注目を集めている。
カワサキ「Z900RS」ショート・インプレッション(太田安治)
Z900RSは最先端のスタンダードスポーツ。街中から峠まで、ツーリングで流すようなペースで乗り心地がよく、極めてイージーに扱え、軽快にフットワークする。速さや力強さをひけらかすことなく、徹底的な扱いやすさを魅力としている。
走りの雰囲気にもこだわりを持っていて、排気音はかつて集合マフラーが市販車に定着したばかりの頃の音質を彷彿させるもの。ハンドリングはストリートでの機敏さが光り、180km/hくらいの速度レンジまで、その身のこなしを安定して維持する。110馬力ほどのパワーだが、極低回転域がらよく粘り、滑らかに吹ける。快適さと扱いやすさ、街中や峠道での取り回しやすさは見事に実用的で等身大だ。
Z900RSの足つき性・ライディングポジション
シート高:800mm
ライダーの身長・体重:176cm・62kg
ハンドルが広めで高さもあるので、上体はほぼ直立に起きる。下半身は窮屈ではなくホールドはしやすい。ハンドルに手を添えるだけで身軽にフットワークできるポジションだ。
カワサキ「Z900」ブランドヒストリー
燦然と輝き続けるバイク界のレジェンド
Z1は1973年のデビューと同時に、圧倒的なパワーと強烈な存在感を放つフォルムが支持され、世界的なセンセーションを巻き起こした。後継モデルとして1977年にZ1000が登場するまで、ほぼカラーリング変更や細部の改良のみで販売されていた。
2017年末にデビューしたZ900RSは、水冷エンジンに倒立フォーク、ラジアルマウントキャリパーなどZ900譲りの最新メカに、往年のZ1イメージを再現したスタイリングを組み合わせた「現代のZ1」として登場。乗り味もZ1を想わせるスポーティさで、幅広い層のライダーに愛されるモデルとなった。
1973年 900 SUPER FOUR Z1
1974年 Z1A
1975年 Z1B
1976年 Z900
2017年 Z900RS
2018年 Z900
文:オートバイ編集部、太田安治/写真:南 孝幸