ヤマハ 「SR400」誕生の歴史
いつの時代もライダーに愛される特別な1台
ビッグバイククラスや、昨今注目を集める原付二種や250㏄クラスに対し、400㏄クラスの注目度は、正直あまり高いとは言えないだろう。かつては幅広いカテゴリーのモデルが出そろう、百花繚乱のクラスだったが、現在ではモデル数も大きく減った。
そんな中、400㏄の全盛期から今も変わらずに絶大な支持を集め続けている別格な存在。それがSR400だ。根強い人気の理由、それは「変わらないこと」に尽きる。
1978年にデビューした時に与えられたシンプルなメカニズムとオーソドックスなスタイリングは、2001年に排気ガス規制をクリアするためエンジンをFI化したことを除けば、現行モデルでも基本的に変わっていない。もちろん、SRならではの素朴で味わい深い乗り味も含めてだ。だからこそ、ベテランには郷愁を、若いライダーには新鮮な体験を与えてくれる特別なオートバイとして、あらゆる世代から愛されているのだ。
長い時を経て醸された、唯一無二の存在感と魅力
SR400が兄貴分の500と共にデビューしたのは1978年。スリムな車体にオフロードモデル・XT500ベースの空冷単気筒エンジンを搭載した、国産初のシングルスポーツだった。だが、当時は高性能な4気筒モデルに人気が集中、スペック的には見るべき所のないSRは注目されなかった。
しかし、80年代に入ると風向きが変わる。そのクラシカルなスタイルや、キックスタターのみのエンジンが注目され、旧車風カスタムのベース車として大ブレイク。その人気に合わせ、当初からフロントにディスクブレーキを装備していたのに、わざわざ新たにドラムブレーキ仕様が用意されるほどだった。
このブーム自体は次第に落ち着いたが、時を経て徐々に美しいスタイリングや単気筒らしい乗り味など、SR本来の魅力が再認識され、支持を集めるようになっていった。今でもFI化などのアップデートを受けつつ、その姿を変えることなく生産は続いている。
ヤマハ「SR400」ショート・インプレッション(太田安治)
空冷エンジンの造形美、スラリと伸びたマフラー、クロームメッキパーツの輝きなど、オートバイが進化の途中で捨て去ったものを守り通すSRは、単なるバイクではなく「愛でる」対象。難しそうなキック始動も慣れれば苦にならないし、低回転トルクの太さと重めのクランクマスによって力強い発進加速を見せる。
ショートストロークのエンジンは7000回転以上まで軽々と回るが、2000回転台でタタタッ! という歯切れのいい排気音を聞きながら、単気筒ならではの味を堪能するのが楽しい。操縦性も独特で、ハンドリング、ブレーキの効き、スロットルレスポンスの全てが穏やか。バイクと対話するように走るのが「醍醐味」だ。
SR400の足つき性・ライディングポジション
シート高:790mm
ライダーの身長・体重:176cm・62kg
リラックスした上半身に対し、ステップ位置は若干後退しているのがスポーツモデルらしいところ。790mmというシート高に沈み込み量の多い前後サス、スリムな車体で身長150cm台のライダーでも不安はないはずだ。
ヤマハ「SR400」ブランドヒストリー
40年以上愛され続けた不変の定番
大排気量オフロードモデルのXT500用空冷シングルエンジンを搭載した国産初のビッグシングルスポーツとして、SR500が1978年に登場。SR400はその排気量を縮小した弟分として誕生した。
しかし、マニアックなシングルスポーツは当時はそれほど注目されず、キャストホイール仕様になったり、スポークに戻ったりと迷走を続けていた。だが80年代に入り、カスタムベースとして多用されたのをきっかけに、瞬く間に人気モデルとなっていく。根強い人気に支えられ生産は続き、2009年にはついにFI化。気がつけば40年以上続く、驚異のロングセラーとなっている。
1978年
1979年
1983年
1985年
2001年
2009年
2015年
まとめ:オートバイ編集部