スズキ「GSX-R1000R ABS」誕生の歴史
1000cc時代を先取り最強の名を欲しいままに
初代モデルが2001年にデビューしたGSX-R1000のルーツは、2000年型のGSX-R750で、同じシャーシにほぼストロークアップだけで988ccに拡大したエンジンを搭載。レースを前提に開発された750がベースとなることから、サーキットでの限界性能が高くレースでも活躍。他社に先駆けてプラス250ccの強さを見せつけた。
現行モデルは2017年に全面刷新されたGSX-R1000R。末尾「R」は上級版を意味し、無印と同様のトラクションコントールに加え、ショーワ製バランスフリーサスペンションやクイックシフターなど装備が充実している。
国内ではRのみがラインアップされており、海外の202PSに対し197PSとなっているが、測定基準の違いによるもの。歴代最強のエンジンには、MotoGPで培ったフィンガーフォロワーロッカーアームや可変バルブタイミング機構など、低中高回転の全域でパワーを出し切る技術が投入されている。
スズキ「GSX-R1000R ABS」ショート・インプレッション(太田安治)
GSX-R1000Rはまず車体が素晴らしい。前モデルと比べるとしっとりとした柔軟なタッチを持っていて、高速コーナーでの機動がやりやすい。どんな速度レンジでも破綻せず、自然に乗り手を受け入れるし、身軽で、乗り手に優しく従順だ。
エンジンは非常に強力だが、どんなパワーモードで走っていてもレスポンスが優しく、そこからの立ち上がりはリニアでコシが強く、このクラスの中でも最高のパワードライバビリティを備えている。
GSX-R1000Rは、走りに関するすべてのパートが見事にシンクロして、リッタークラスのハイパワーSSとはとても思えない扱いやすさを手に入れている。そして、それがとんでもない戦闘力と速さを実現するのだ。
GSX-R1000R ABSの足つき性・ライディングポジション
シート高:825mm
ライダーの身長・体重:176cm・62kg
車体はコンパクトで、跨がると意外にスリム。ステップからシートまでの位置関係が良好で、日本人の体型でもホールドはしやすい。シートはそれなりの高さだが、ステップが遠くないので下半身を確実にフックできる。
スズキ「GSX-R1000/R」ブランドヒストリー
世界生産累計2億台に向けて現在も快走中
YZF-R1など750cc以上のスーパースポーツに人気が集まっていたことが背景となり、スズキはGSX-R750を1000ccにするという手法で2001年にGSX-R1000を投入。2004年には4気筒スーパーバイクが750ccから1000ccに底上げされたが、スズキは流れを先取りしていた。
2005年型は乾燥重量でパワーウエイトレシオ1を下回るスペックを実現。2007年には電子制御の走りとなるモードセレクターを初採用するなど、常に時代をリードしていた。2010年代に入るとライバルが勢いを増し苦戦を強いられるが、2017年型で巻き返している。
2001年 GSX-R1000
2003年
2005年
2007年
2009年
2012年
2015年
2017年 GSX-R1000R