「Own The Racetrack(サーキットを制覇する)」というコンセプトを掲げ、初代からレースでの勝利を運命づけられたGSX-R1000。衝撃のデビューを飾った初代の2001年型から間もなく20周年を迎えようとしている。

スズキ「GSX-R1000R ABS」誕生の歴史

画像: SUZUKI GSX-R1000R ABS 総排気量:999cc 最高出力:197PS/13200rpm 最大トルク:11.9㎏-m/10800rpm シート高:825mm 車両重量:203kg 燃料タンク容量:16L タイヤサイズ(前・後):120/70ZR17・190/55ZR17 メーカー希望小売価格:215万6000円(消費税10%込)

SUZUKI GSX-R1000R ABS

総排気量:999cc
最高出力:197PS/13200rpm
最大トルク:11.9㎏-m/10800rpm
シート高:825mm
車両重量:203kg
燃料タンク容量:16L
タイヤサイズ(前・後):120/70ZR17・190/55ZR17
メーカー希望小売価格:215万6000円(消費税10%込)

1000cc時代を先取り最強の名を欲しいままに

初代モデルが2001年にデビューしたGSX-R1000のルーツは、2000年型のGSX-R750で、同じシャーシにほぼストロークアップだけで988ccに拡大したエンジンを搭載。レースを前提に開発された750がベースとなることから、サーキットでの限界性能が高くレースでも活躍。他社に先駆けてプラス250ccの強さを見せつけた。

現行モデルは2017年に全面刷新されたGSX-R1000R。末尾「R」は上級版を意味し、無印と同様のトラクションコントールに加え、ショーワ製バランスフリーサスペンションやクイックシフターなど装備が充実している。

国内ではRのみがラインアップされており、海外の202PSに対し197PSとなっているが、測定基準の違いによるもの。歴代最強のエンジンには、MotoGPで培ったフィンガーフォロワーロッカーアームや可変バルブタイミング機構など、低中高回転の全域でパワーを出し切る技術が投入されている。

画像: 「サーキットを制覇する」というコンセプト、レースの現場で鍛えられてきた素性がフォルム全体から漂う。写真は2020年4月24日に発売された100周年記念カラー。

「サーキットを制覇する」というコンセプト、レースの現場で鍛えられてきた素性がフォルム全体から漂う。写真は2020年4月24日に発売された100周年記念カラー。

バランサー非装備という硬派なエンジン。排気デバイスはエキパイとテールパイプにダブル装備し、ここでも低中高回転のパワーを両立。

画像: メーターは反転表示のフル液晶タイプで回転計はバーグラフ式。国内仕様はETCが標準装備で作動状態も左上に表示。

メーターは反転表示のフル液晶タイプで回転計はバーグラフ式。国内仕様はETCが標準装備で作動状態も左上に表示。

画像: SHOWA製バランスフリーフォークに加え、ブレンボ製モノブロックキャリパーとブレーキローター、ステンメッシュブレーキホースを採用。

SHOWA製バランスフリーフォークに加え、ブレンボ製モノブロックキャリパーとブレーキローター、ステンメッシュブレーキホースを採用。

スズキ「GSX-R1000R ABS」ショート・インプレッション(太田安治)

画像1: スズキ「GSX-R1000R ABS」ショート・インプレッション(太田安治)

GSX-R1000Rはまず車体が素晴らしい。前モデルと比べるとしっとりとした柔軟なタッチを持っていて、高速コーナーでの機動がやりやすい。どんな速度レンジでも破綻せず、自然に乗り手を受け入れるし、身軽で、乗り手に優しく従順だ。

エンジンは非常に強力だが、どんなパワーモードで走っていてもレスポンスが優しく、そこからの立ち上がりはリニアでコシが強く、このクラスの中でも最高のパワードライバビリティを備えている。

GSX-R1000Rは、走りに関するすべてのパートが見事にシンクロして、リッタークラスのハイパワーSSとはとても思えない扱いやすさを手に入れている。そして、それがとんでもない戦闘力と速さを実現するのだ。

GSX-R1000R ABSの足つき性・ライディングポジション

シート高:825mm
ライダーの身長・体重:176cm・62kg

画像2: スズキ「GSX-R1000R ABS」ショート・インプレッション(太田安治)

車体はコンパクトで、跨がると意外にスリム。ステップからシートまでの位置関係が良好で、日本人の体型でもホールドはしやすい。シートはそれなりの高さだが、ステップが遠くないので下半身を確実にフックできる。

スズキ「GSX-R1000/R」ブランドヒストリー

世界生産累計2億台に向けて現在も快走中

YZF-R1など750cc以上のスーパースポーツに人気が集まっていたことが背景となり、スズキはGSX-R750を1000ccにするという手法で2001年にGSX-R1000を投入。2004年には4気筒スーパーバイクが750ccから1000ccに底上げされたが、スズキは流れを先取りしていた。

2005年型は乾燥重量でパワーウエイトレシオ1を下回るスペックを実現。2007年には電子制御の走りとなるモードセレクターを初採用するなど、常に時代をリードしていた。2010年代に入るとライバルが勢いを増し苦戦を強いられるが、2017年型で巻き返している。

2001年 GSX-R1000

画像: 初代GSX-R1000。車体だけでなくスタイルもGSX-R750のまま1000cc化。ロングストロークのエンジンが扱いやすさにも貢献した。

初代GSX-R1000。車体だけでなくスタイルもGSX-R750のまま1000cc化。ロングストロークのエンジンが扱いやすさにも貢献した。

2003年

画像: 外観とシャーシを一新、初めてラジアルマウントキャリパーも採用された。出力は160→164.5PS、乾燥重量は170→164.5kgに。

外観とシャーシを一新、初めてラジアルマウントキャリパーも採用された。出力は160→164.5PS、乾燥重量は170→164.5kgに。

2005年

画像: エンジンのボアを0.4mm拡大し排気量は999cc、出力は178PSにアップ。マフラーはオールチタン製となり乾燥重量は166kgに。

エンジンのボアを0.4mm拡大し排気量は999cc、出力は178PSにアップ。マフラーはオールチタン製となり乾燥重量は166kgに。

2007年

排ガス規制ユーロ3に対応しマフラーは2本出しに変更。エンジンモード切替のS-DMSを搭載。出力185PS、乾燥重量は172kgに。

2009年

初のフルモデルチェンジでエンジンの主要3軸を三角形に配置するコンパクト設計とした。出力は185PS、装備重量205kg。

2012年

1本出しマフラーと細部の軽量化で装備重量は203kgに減量。新たにブレンボ製モノブロックキャリパーを採用。出力は185PSだ。

2015年

ABS仕様が追加。車重はSTDの2kg増に留めている。MotoGPカラーのほか、10月には30周年記念カラーも登場。

2017年 GSX-R1000R

1000Rが登場。海外では200PSを超え、電子制御装備もフル投入された。2020 年にはスズキ100記念周年カラーも発売。

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