ヤマハ「セロー」誕生の歴史
原点回帰の初代カラーで、現行仕様の最終型を彩る
二輪二足で山に分け入る「マウンテントレール」というコンセプトで初代セロー225が登場したのは1985年。それまでヤマハではDTとXTが高性能を競い合っていたが、優位は2ストロークのDT。一方、4ストロークのXTには、力強いトルクによる操りやすさがあり、セローはさらに足を着けながらでも、転んでも引き起こし山を登って行けるパッケージとした。
現行につながる2018年型は、平成28年排気ガス規制に対応するためにカムシャフトや圧縮比、ECUなどを改良。テールランプをLEDタイプに変更した。最終の2020年型は、これに原点回帰となる初代イメージのカラーを施したもの。赤と緑に着色されていたフレームカラーを再現したことが特徴で、タンクには初代のカモシカロゴを配したエンブレムが配されている。低シート高で扱いやすいことから日常、非日常を問わずマルチに使える人気者。買うならラストチャンスだ。
ヤマハ「セロー250ファイナルエディション」ショート・インプレッション
(太田安治)
圧倒的な軽さ、抜群の足着き性で、跨がっただけで安心できるのがセローの特徴。エンジンは低回転からトルクが出ている上にギア比も低く、急な登り坂や荷物満載時、無造作なクラッチ操作でも力強く発進するし、市街地走行も楽。一般道を60㎞/h以下でトコトコ走るのが快適で楽しい。
ダートでは、林道トレッキングやハードセクションに合ったサス設定や、低回転からスロットル操作に忠実なエンジン特性、低シート高、軽い車重、大きなハンドル切れ角が組み合わされ、他のオフロードモデルとは別次元の走破性を見せつける。舗装路からダートまでひと通り走れば、セローが指名買いされる理由が判るはず。手に入れるなら急いだ方がいい。
セロー ファイナルエディションの足つき性・ライディングポジション
シート高:830mm
ライダーの身長:176cm
オフ車らしからぬ低シート高で足着き性は抜群。ハードな路面状況を両足を使った「二輪二足」で超えていけるのが最大の武器。着座位置とステップの距離が近いので、長時間走行時は腰を引いて乗ると楽だ。
ヤマハ「セロー」ブランドヒストリー
山も人気も登りつめたセローの35年
1985年にデビューしたセロー225は、1989年にはセルを装備することで人気が爆発。低シート高で扱いやすいことから女性からの支持も獲得。また通勤通学など用途が広がり、1993年にリアもディスクブレーキ化、1997年にはリアタイヤをチューブレス化など、ニーズに沿った進化を続けた。
大きな転換点は2005年で排気量が250㏄にアップ。それでもセローのコンセプトを守るため、細部に至るまで軽量化にこだわり重量を4㎏増に留めている。その後も環境規制に対応しながら熟成を進めたが、ついに歴史に幕を下ろすことになった。
1985年 セロー225
1989年
1993年
1997年 セロー225WE
2005年 セロー250
2008年
2018年
文:太田安治、オートバイ編集部/写真:南 孝幸、柴田直行