カワサキ「Ninja 1000SX」誕生の歴史
快適で速さも充分以上。荷物も詰めて格好いい!
ニンジャ1000がデビューしたのは2011年。スーパースポーツが著しく進化し、同年のZX-10Rは200PSに到達した。「とても扱い切れない……」と多くのライダーが感じていたのは間違いなく、スタイリッシュで実用性を備えたニンジャ1000のヒットがそれを証明しているだろう。
ニンジャ10000は2010年にフルモデルチェンジしたZ1000がベースで、アップライトなライディングポジションを踏襲。それでもSSのような低いスタイルに見えるのは、角度調整式スクリーンのおかげだ。
テールまわりもコンパクトに作られているが、2014年型からGIVI製のパニアケースが純正アクセサリーで用意され、フルフェイスも収容できる片側28Lの容量を確保した。1043ccのエンジンは、現行の2020年型「SX」で141PSを発揮し電子制御スロットルによるクルーズコントロールも装備。全方位隙のないオールラウンダーだ。
カワサキ「Ninja1000SX」ショート・インプレッション(太田安治)
初代を新車で購入してから、いまだに不満を感じることもないが、2020年4月に発売された4代目(Ninja1000SX)は大いに気になっている。僕が勝手に想像していた「ニンジャ1000の理想の進化形」が現実になって登場したからだ。
乗ってまず感じるのがFI制御の緻密さ。常用する低中回転域で少々ラフに操作してもギクシャクせず滑らかに反応する。4000回転近辺でのトルク感が高まり、中間加速の力強さを増したこともあり、さらに疲れない特性になった。
ライディングモードは刻々と変化する路面状況でも安心でき、荒っぽいブレーキングやコーナー立ち上がりのフル加速でも、各種制御が介入する不自然さはまったくない。これまでとは比較にならないほど大幅な進化だ。
Ninja 1000SXの足つき性・ライディングポジション
シート高:820mm
ライダーの身長・体重:176cm・62kg
足着き性を考慮して前下がり形状だったシート座面がフラットに変更され、着座位置が前側にずれてお尻が痛くなる弱点を解消。市街地走行も長時間走行も楽にこなせるアップライトなポジションは受け継がれている。
カワサキ「Ninja 1000SX」ブランドヒストリー
現代に結実したカワサキ独自のオールラウンダー
2011年にデビューしたニンジャ1000のルーツはカワサキ独自のスポーツツアラーと言えるだろう。だが、1995年のGPZ1100や2001年のZRX1200S、2002年のZZ-R1200などいずれもヒットに至らず。対してニンジャ1000はツアラーでもエッジの効いたデザイン、装備は最先端という従来にない提案が受け入れられた。
アルミツインチューブフレームや水平マウントのリアサスペンションなどのスポーティな装備に、2017年型ではIMUによる電子制御を投入。さらに2020年型ではスマホアプリに対応するなど、新機能をいち早く導入している。
1995年 GPZ1100
2001年 ZRX1200S
2002年 ZZR1200
2011年 Ninja1000
2014年 Ninja1000
2016年 Ninja1000
2017年 Ninja1000
文:太田安治、オートバイ編集部/写真:赤松 孝、森 浩輔