最終戦のMFJグランプリをじっくり取材してきました。自宅が鈴鹿だからね、散歩がてらにフラッと(笑)うそうそ、ちゃんと金曜からサーキットに入って取材してきましたよ。
MFJグランプリは、木曜からずっと天気がよかったね。今シーズンは開幕戦・菅生は雨だったし、岡山は台風で中止だし、オートポリスは金曜にものすごい霧が出て走行できなくなったり、もてぎも土曜は雨だったしね。いいコンディションのままウィークが終わったの、今シーズン初めてだった。

画像: 鈴鹿のレースは毎回、ちゃんと顔を出してるよ^^ 自宅からバイクで15分くらいなんだもん

鈴鹿のレースは毎回、ちゃんと顔を出してるよ^^ 自宅からバイクで15分くらいなんだもん 

JSBの世代交代を見届けたよ

画像: オレからすれば野左根君は中須賀君を超えたね あとは経験を積んでいけばまだまだ伸びしろはあるよ

オレからすれば野左根君は中須賀君を超えたね あとは経験を積んでいけばまだまだ伸びしろはあるよ

メインクラスのJSB1000は野左根くんがチャンピオンになったね。中須賀くんが開幕戦でケガをしたとかはあったけど、堂々たるシーズンだったと思う。
特に今回の最終戦は、去年の同じ最終戦とくらべてもすごく成長していた感じがした。レースや予選で速いのはもちろんだけれど、予選の組み立てとかタイムの出し方がすごくトップライダーのものだったような気がしたなぁ。
本人は中須賀君とキッチリ勝負してからWSBKに行きたいって言ってたけど、オレはもうきちんと世代交代したと思う。今回だって、レース1こそ競り合って負けたけれどいいレースだったし、レース2は野左根君が前にいる時に中須賀君は転んでるんだからね。オレに言わせれば勝負あった、ってことだ。

画像: 日曜のレース2、シケイン進入で転倒した中須賀君 まだ勝負をかけるのは早い周回だった(写真/小縣清志)

日曜のレース2、シケイン進入で転倒した中須賀君 まだ勝負をかけるのは早い周回だった(写真/小縣清志)

中須賀君と野左根君の年齢差を考えると、これはしょうがないこと。年齢がすべてじゃないけれど、スポーツ選手としてね、39歳と25歳のトップアスリート同士が戦っているんだから。野左根君がWSBKで走るのが楽しみだね。オレも頑張って解説するから!

ST1000クラスの可能性

画像: トレーニングで大けが、ジャンプスタートで最後尾から追い上げてポイント獲得なんて波乱万丈すぎる!

トレーニングで大けが、ジャンプスタートで最後尾から追い上げてポイント獲得なんて波乱万丈すぎる!

面白いな、と思ったのは鈴鹿初開催だったST1000クラスだね。改造制限がJSBよりも厳しくてタイヤがダンロップワンメークでの開催っていうのは、純粋にライダーのスキル、マシンの素のポテンシャルが勝負を決めるファクターになるよね。
高橋君がチャンピオンになったけれど、最後まで追い詰めた名越君の走りも見事だった。彼はハルクプロ育ち、つまりブリヂストンタイヤでレースキャリアを積んできたから、ダンロップへのスイッチは大変だったと思う。それをきちんと乗りこなしてのもてぎ→鈴鹿2連勝は、完全に1000ccマシンとダンロップタイヤの走り方を理解していたね。

画像: シーズン前半はマシンやタイヤの乗り換えに悩んだという名越君 完全にST1000をマスターしていた

シーズン前半はマシンやタイヤの乗り換えに悩んだという名越君 完全にST1000をマスターしていた

去年のJ-GP2チャンピオンってことは600ccに乗っていたんでしょう? CBR1000RR-Rも新しいし、タイヤも新しい、そんな環境での新しいレースなんていうのはライダーとしての引き出しの多いベテランの高橋君が有利に決まっているんだけど、そこをギリギリまで追い詰めたからね。

最終戦のエントリーはST1000が32台、JSB1000が24台。この勢いではSTにスイッチしようかなとか、最初からSTを目標にエントリーしてくるエントラントも増えると思う。鈴鹿8耐のSSTクラスとか、EWCのエントラントなんかをみてもね、ストックレギュレーションに傾いていくような気はするよね。いつかJSBとも統合してST1000クラスを日本のスーパーバイクのトップカテゴリーに据えるって案も面白いと思うけどね。

そしてJ-GP3の面白さ

画像: TEAMタケルの面々。「チームのみんなが喜んでくれたのがうれしかった」っていうところもタケルらしいね

TEAMタケルの面々。「チームのみんなが喜んでくれたのがうれしかった」っていうところもタケルらしいね

今回、観ていていちばんおもしろかったのはJ-GP3クラスだったなぁ。レース展開も、毎周トップのライダーが変わるようなレースだったし、フェアでクリーンなレースだった。やっぱり、JSBもそうだけど、若手とベテランの戦いっていうのは燃えるよ。ついベテランに肩入れしちゃうけど(笑)。

実は、J-GP3の新チャンピオンの村瀬君は、数年前にアジア選手権でスズキチャレンジカップをやっていた時にコーチをしたことがあって、そのあともときどき連絡を取り合ってたんだ。タケル、あのころは転んでばっかりだったけど(笑)、人が言うことをすごくよく聞くライダーで、飲み込みも早いコだった。彼の回りには応援してくれる人が集まってくるような、ついついサポートしてあげたくなっちゃう人間性なんだよね。それってライダーとしても人間としても大事なこと。チャンピオン獲得は、それがうまく生きたのかもね。

画像: 左から徳留君、村瀬君、鈴木君 若手とベテランがいい勝負していたよ

左から徳留君、村瀬君、鈴木君 若手とベテランがいい勝負していたよ

あとはJ-GP3は、49歳になる徳留君が頑張っていたり、古里太陽君がもてぎ大会でスポット参戦で優勝したり。古里君は、むかしタディ岡田のメカをやってた太田さんっていう人がついているから、彼はものすごい化けると思うよ。で、その意味でも楽しみなんだ。なぜって? オレも徳留君も古里君も、鹿児島が地元なんだよ(笑)。J-GP3は薩摩パワーが席捲するかもしれないよ。

今年はコロナウィルス感染拡大防止の件で、鈴鹿8耐もMotoGP日本グランプリも中止になって、モータースポーツとしては全体的に盛り上がりようがない年だったけど、最終戦にたくさん鈴鹿まで来てくれていた熱心なファンを見ると、おぉレースもまだまだ頑張らないとね、って思うんだ。

レースに注目が集まるように、レースを華やかにするために、メーカーも、チームももっと頑張らないとね。あとは、オレは常々、レースはライダーが主役のスポーツだと思ってるから、ライダーももっともっと頑張らなきゃね!

文/八代俊二 写真/木立 治 柴田直行 後藤 純 中村浩史

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