ホンダ「CBR250RR」・カワサキ「Ninja ZX-25R」のスポーツ性能をサーキットで比較
得意分野は違っても操る楽しさは互角!
1980〜90年代のレーサーレプリカ達はサーキットでの戦闘力を織り込んで開発されていたため、結果として似たような構成、乗り味になっていたが、ホンダ、カワサキ自慢の最新250スーパースポーツ2台はクッキリとキャラクターが分かれている。とはいえ、ともにスポーツ性と動力性能を重視していることは間違いない。そこで高速サーキット、富士スピードウェイに持ち込んで実力をチェックしてみた。
最高速は予想通りZX-25Rが伸びた。最高速近辺ではラム圧が効いて46馬力だから、CBR250RRとの差は5馬力になり、8km/h近い差は妥当なところ。計測箇所は1コーナー手前の180m地点だが、ZX-25Rはそこを超えても伸び続け、メーター読み189km/hを確認。実測なら約180km/hで、期待通り、80〜90年のレーサーレプリカと同等以上のパフォーマンスだということを証明した。
一方、CBR250RRも前モデルより明らかに速くなっている。昨年夏に富士スピードウェイで計測したときは実測で約162km/hだったが、新型は6速に入っても加速が衰えず、実測167km/h台をマーク。これは純粋にプラス3馬力の威力だと言えよう。最高速をもっと狙いたいなら、リアスプロケットをノーマルより2丁ほど小さくすれば、おそらくは170km/hを超えてくるだろう。
富士スピードウェイは他のサーキットに比べてアベレージスピードが高く、全開加速しながらバンク角を増していくコーナーもある。高回転をキープしやすいレイアウトだけに、パワーを使い切る楽しさが強かったのはZX-25R。ただしコース後半の登り勾配で低速コーナーが連続する区間ではCBR250RRが力強く、万一失速してしまってからの再加速も強力。3速までしか使わないミニサーキットなら、扱いやすくて車重も軽いCBR250RRの方が速そうだ。
得意分野は異なるが、操る楽しさは甲乙付けがたい。両車とも「生粋のスーパースポーツ」に相応しい仕上がりだ。
ホンダ「CBR250RR」・カワサキ「Ninja ZX-25R」の最高速と0-100km/h加速
ホンダ「CBR250RR」
最高速:167.442㎞/h
0-100㎞/h加速:5.970秒
2気筒モデルの中では一番の高回転型パワー特性だが、新型は圧縮比アップなどエンジンをきめ細かく改良した結果、より太いトルクを前モデルと同じ回転数で発生。1万回転以上でクラッチミートする0‒100㎞/h計測ではギュワッ! と飛び出し、2速へのシフトアップ時はフロントが浮くほどのダッシュ力を見せた。
カワサキ「Ninja ZX-25R SE KRT EDITION」
最高速:175.325㎞/h
0-100㎞/h加速:6.081秒
最高速ではZX‒25Rの高回転で伸びるエンジン特性が有利だが、パワーよりトルクの太さがものを言う0−100km/h加速ではクラッチミート後のダッシュでCBRにわずかに後れを取った。これは計測場所が2〜3%の上り勾配だったことと、CBRより15kg重い車体も影響しているはず。おそらく0〜400m加速なら互角だろう。
ホンダ「CBR250RR」・カワサキ「Ninja ZX-25R」ワインディング走行インプレ
ホンダ「CBR250RR」
峠道を駆け回る走りではCBRの軽くて素直なハンドリングが光る。タイトターンの連続区間ではヒラヒラと向きが変えられ、コーナリング中のライン変更もやりやすい。新型はサスペンション設定が変更されて、ハードブレーキ、フルバンク領域での安定感が増している。
ただしブレーキの初期制動力はZX‒25Rより甘めなのでスポーツ派なら社外パッドを試してみると良さそうだ。加えてオプション設定のクイックシフター装着を推奨したい。
カワサキ「Ninja ZX-25R SE KRT EDITION」
ZX‒25Rの乗り味は同クラスのライバル車とは明らかに異なる。中回転域までは穏やかに、高回転域では伸びやかに回る4気筒エンジンらしい特性と、前後タイヤ接地感の高さはミドルクラスに近いフィーリング。
中高速コーナーでの安定性はCBRより高いが、引き換えにアベレージスピードの低い峠道やコーナーの曲率が一定していない舗装林道のように、バンク角もスロットル開度も目まぐるしく変わる状況ではやや重く感じる。
文:太田安治/写真:赤松 孝、南 孝幸、森 浩輔、島村栄二