いまや冬場のライディングに欠かせない存在となった電熱系用品。商品のバリエーションも広がり、コストパフォーマンスに優れたモデルも広く出回るようになったが、走行時の寒さに対抗するなら、やはり二輪専用品をおすすめしたい。そこでこの記事では、バッテリーの心配をせずに済み、防寒機能も高い車載バッテリーからの給電タイプを中心にご紹介。使用時にどれだけ発熱するかが視覚的にわかるよう、赤外線サーモグラフィカメラでの撮影を試みた。寒くても快適なライディングを実現する、最新電熱アイテムの実力に迫ります!
文:太田安治、オートバイ編集部/モデル:小野塚雅人/写真:南 孝幸
バイクのバッテリーを電源とした電熱用品の魅力
バッテリー残量を気にせず、極寒も乗り切れる12Vアイテムに注目!
ライダーが自ら発している体温を体表に留める「保温」に対し、より積極的に体表温度を高めるのが「加温」。最も手軽なのは使い捨てカイロだが、毎回貼り付ける手間が掛かり、温度を調整することもできない。そこで注目されているのが電気によって発熱し、温度調整が簡単に行える各種のアイテムだ。
こうした電熱アイテムは昭和の時代から存在していたが、断線などの故障が多い、電気消費量が大きくバッテリーに負担がかかる、といった理由から広く普及するには至らなかった。しかし技術的な進歩によって断線が少なく、より少ない消費電力で温度を高められるヒーター(発熱体)が登場。オートバイ側もフューエルインジェクションや各種電子制御の採用と、スマホやETCといったエレクトリックデバイスの使用を考慮し、発電/バッテリー容量に余裕を持たせたことで、グリップヒーターが急速に普及。大型ツーリングモデルでは座面を温めるシートヒーターを標準装備したモデルも増えている。
ヒーターの進化によって見直されているのが電熱ウエア類だ。代表的なのはグローブ、シャツ、パンツ、ソックスで、走行風によって体温が奪われやすい部分にヒーターを配置して加温することで、保温とは比較にならない暖かさを実現。しかもコントロールスイッチによって加温量を調整できるから、外気温の変化、組み合わせるアンダー/アウターウエアの保温性能に合わせて快適な温度を保てる。保温性能の低い革ジャケットや一般アパレルウエアも、電熱インナーを組み合わせれば寒さ知らずで着用できる。
ただし、12Vを電源とする電熱ウエアは、車体側に電源ケーブルを接続するため、乗り降り時にはカップラーの着脱が必要で、頻繁に乗り降りするシチュエーションには向かない。また、グローブ、ジャケット、パンツ、ソックスを1本の電源ケーブルで接続できるタイプは、それぞれの接続に余計な手間が掛かり、消費電力の合計も大きくなる。氷点下の高速クルージングも快適な暖かさだが、決して万能ではないことを覚えておこう。
グリップヒーターはハンドルに固定するため電源ケーブルの着脱は不要。ただし他の電熱ウエアと同様に車体側から12V電源を取るので、それなりの電気系知識と技術が必要で、グリップ交換にもコツが要る。動画サイトなどで手順を見て、自信が無ければショップに依頼することを推奨する。
インフレック R450Pro
国内トップメーカーである日本アビオニクス社のサーモカメラで、高画質・高精細な熱画像撮影が可能な「インフレックR450シリーズ」のフル機能モデル。測定温度範囲はマイナス40℃〜1500℃をカバーし、時系列データの計測を行うR&D分野や、常温から加熱して連続的な温度変化を観察するような溶接時の蓄熱・放熱のプロセス解析などにも対応可能となっている。
電熱ウエア&アイテム紹介
モバイルバッテリーを電源とする製品は手軽で安価だが、12V電源用品に比べると発熱量が少なく、使用時間の制約があるので短時間の通勤、通学といった用途向き。また、12V電源用品は車体側に電源ケーブルを接続(メインスイッチ連動を推奨)しておけば、カップラー経由でウエアに給電できる。まずは指先の冷えを防ぐことで安全性を確保できるグローブで電熱の威力を試してみるといいだろう。ジャケット/パンツを組み合わせれば無敵の暖かさだ。
ヒートマスター
アールエスタイチ
コミネ
ガービング
ナンカイ
ロム