スズキの世界耐久はヨシムラが前面に!
昨年11月に発表された、ヨシムラジャパンとスズキ世界耐久選手権のジョイントの続報がようやく入ってきました。発表の会場で「後日発表します」とアナウンスされたライダーラインアップについての発表です。
その前に、このヨシムラのスズキ世界耐久選手権へのジョイントについてご説明。これまでスズキ世界耐久の活動を担ってきたのが、フランススズキを母体とするSERT(=スズキ・エンデュランス・レーシング・チーム)です。闘将ドミニク・メリアンの指揮の元、16回の世界タイトルを獲得した、世界耐久屈指の名門チームですね。
SERTといえば、日本でおなじみなのは、1983年の鈴鹿8耐を制したエルブ・モアノー/リカルド・ユービン組の、HB(ハーベー)カラーのスズキGS1000Rですが、2005-2006年に、北川圭一が世界耐久チャンピオンとなったのも、このSERT所属のシーズンでした。
2020年の世界耐久チャンピオンも獲得したSERTですが、このシーズンを境に運営体制を大幅変更。これまでも「技術協力」という形でサポートしてきたヨシムラが、より運営内部にかかわるようになり、チーム名も「SERT」から「ヨシムラSERT MOTUL」に変更! マシンのカラーリングも、SERT伝統のブルーから、ヨシムラマシンでお馴染みの黒×赤となり、使用タイヤもダンロップからブリヂストンに変更されます。
ちなみにマシンのカラーリングにはSERTブルーもきちんと残されていて、つまり2021年からのスズキ世界耐久選手権は、従来のスズキフランス×SERTの体制から、スズキ本社×ヨシムラ×SERTという体制となるんです。
そしてライダーは、2020年のエティエンヌ・マッソン/グレッグ・ブラック/シャビ・シメオンのトリオから、ブラックとシメオンが残留し、新たにシルバン・ギュントーリ、そして日本の渡辺一樹がライダーラインアップに加わります。テストも含め、4人体制ですね。
渡辺に関しては、2020年の全日本選手権でもヨシムラスズキからエントリーした、ヨシムラスズキの現時点での唯一の正ライダーですから、あとは発表待ち、という側面もあって、おぉ無事発表されてよかったね!って感じなんですが、スズキMotoGPテストライダーであるギュントーリの加入は意外でした!
ギュントーリは、MotoGPマシンGSX-RRの開発ライダーとして、2020年にスズキがMotoGP2冠チャンピオンに輝いた「陰の立役者」とも言われているし、スズキMotoGP開発チームの信頼も厚い! ひとまず5戦のスケジュールが組まれている世界耐久となら、MotoGPのテストを両立できるという読みなのでしょう。これは楽しみになってきましたね。
これで、TSRホンダフランスの高橋裕紀に続き、チャンピオンチームにも日本人ライダー加入が発表されました。2021年のEWC=世界耐久選手権、大いに注目です! もちろん、7月18日にスケジューリングされている鈴鹿8耐もね!
「ヨシムラSERT MOTULに加入することができてうれしいです。昨年、テストライダーとしてEWC用のマシン開発を進めてきましたが、おかげでヨシムラスズキの世界耐久仕様のマシンをより深く、理解することができたと思います。早くレースが始まってほしいし、同時にチームメイトが(僕の作ったマシンを)どう感じてくれるかも楽しみです。鈴鹿8耐以外の世界耐久に出場するのも初めてだし、24時間耐久も初めて。チームのために、全力で頑張ります!」(渡辺一樹)
2021 世界耐久選手権スケジュール
開幕戦 4/17-18 ル・マン24時間耐久/フランス
第2戦 5/23 オッシャースレーベン8時間耐久/ドイツ
第3戦 7/18 鈴鹿8時間耐久/日本
第4戦 9/18-19 ボルドール24時間耐久/フランス
最終戦 10/16 エストリル12時間耐久/ポルトガル
写真/SUZUKI 中村浩史 文責/中村浩史