文:小松信夫、ゴーグル編集部/写真:柴田直行
中野真矢 Shinya Nakano
国内ではGP250チャンピオンを経て世界選手権に戦いの場を移し、世界最高峰のロードレースMotoGPにて、ヤマハ、カワサキ、ホンダと各メーカーのマシンを駆り活躍。現役引退後は、世界各国を転戦しモーターサイクルカルチャーに触れてきた経験を活かし、自身の感性を活かしたブランド『56design』を地元千葉に立ち上げる。またレーシングシーンでは、「56RACING」を立ち上げ、後進の育成に注力している。
中野真矢さんが語るベスパ「GTSスーパーテック300」のファーストインプレッション
単にレトロではない、モダンなルックスに注目!
●編集部:今日中野さんに乗ってもらったのは、現行ベスパの中でラージボディと呼ばれるGTSシリーズ。まずはフラッグシップモデルの300、その中でも最新のスーパーテック300なんですが、第一印象はどうでしたか。
中野「やっぱりお洒落ですよ、さすがイタリアンデザイン。しかも昔僕も憧れた、あの昔からのベスパらしさも確かに感じる。しかも単にレトロなだけじゃなくて、ちゃんとモダンなルックスで、装備も機能的だし」
●編集部:これはシリーズの中でもスポーティなモデルなんですけど、乗ってみた印象は。
中野「排気量は278ccなんでしたっけ? でも国産の250ccクラスのスクーターよりは大分コンパクトなサイズじゃないですか。だから走り出す前は正直どんなものなのかな、と思ってたんですよ。エンジンが車体に勝ってるんだろうなって」
●編集部:いざ走り出してみたら、どうだったんですか。
中野「とにかく車体がガッチリしてて、エンジンに負けない。だから飛ばしても、もの凄い安定感がある。それでいて短いホイールベースを活かしてキビキビ俊敏にも走れちゃう。よく『ベスパ伝統のスチールモノコック構造』って聞くじゃないですか、あれはこういうことだったのかって。パイプフレーム+樹脂外装な一般的なスクーターより高級感を感じました」
●編集部:味わったことのないフィーリング?
中野「スクーターだから、もう少しソフトな乗り心地だろうと思ってたら… 剛性が高いからリアサスがちゃんとストロークしてるのが感じ取れて、車体がどんな状態なのか手に取るように分かる。これって凄いことですよ。長い年月をかけて、ヨーロッパの道で鍛えられてきたんだろうなぁ、と思いました」
●編集部:新開発されたというエンジンはどんな感じ?
中野「これがまた、力強くて気持ち良かったんです。滑らかなフィーリングだけど、かなりパワーもある。調子に乗って飛ばしてると、ちょっぴりジャジャ馬っぽく感じるくらい」
●編集部:中野さんをもってしても手を焼かされる?
中野「いやいや、かえって操ることが楽しくなるというか、短く言い換えるなら『手応えがある』という感じが正確かな。それにトラクションコントロールやABSがうまい具合に働いてくれるし、どんな状況でも全く不安は感じなかったですよ」
●編集部:GTSスーパーテック300は、総合的に見てどんなモデルでしたか。
中野「ベスパらしくお洒落で便利なのはもちろんだけど、スクーターとは思えない、全くスポーツバイクみたいなフィーリング。本当に走ってて楽しかった! いい意味で、大きく裏切られました」