原付二種カブシリーズのスタンダードモデルといえる「スーパーカブ110」。クロスカブやC125、さらにはハンターカブがあるなか、この「110」にはどんな魅力があるのだろか。約2週間、通勤や買い物で日常的に使い続けて感じたことをお伝えします。

ホンダ「スーパーカブ110」使い勝手をレビュー

画像: ホンダ「スーパーカブ110」使い勝手をレビュー

リアキャリアが便利!

カブシリーズの伝統、リアキャリアはもちろん標準装備。60年以上の歴史のなかで最適化されたと考えるとありがたみを感じます。当然、抜群に使い勝手はいい!

キャリアのサイズは実測でヨコ29.5cm・タテ38cmほど。バイク用のシートバッグやトップケース製品は、だいたい何でも積めるでしょう。

西野が通勤ライフ中に装着していたのはタナックスの「MFK-264 シートシェルケース」(容量25L・税込19800円)。

中にはレインスーツとカブを拭く布、荷物が増えたときに使うストレッチコードを入れていました。これは装着しっぱなしで、必要なときに開ける感じ。日々使う荷物は小ぶりなリュックに入れ、それを背負って通勤していました。

実際に車両を購入し日常的に使うなら鍵付きのハードケースを装着するでしょう。容量も50Lくらいのヘルメットが入るサイズを選ぶと思います。そうすればリュックを背負う必要もなくなりますからね。


画像: リアキャリアが便利!

燃費&航続可能距離

スーパーカブが昔からとくに評価を得ているのは、「壊れにくいこと」「扱いやすいこと」そして「燃費がいいこと」でしょう。

なるべくガソリンが減ってから給油がしたいと思ったですが、しばらく走ってもアナログのガソリンメーターが全然動いてくれない! 50kmほど走り「減りだしたかな?」と思ったら、針がどんどん動いてきました。まあ昔から、あるあるですね。

燃費は約44km/Lでした。

画像: 燃費&航続可能距離

139km走り、3.15L給油。都心のストップ&ゴーの繰り返しでこの数値はさすがスーパーカブ! といえます。

西野の体重は80g、通勤ルートは新宿~新橋の約7km。一度に続けて10km以上は走っていません。ちなみに同じルートで原付二種スクーターのPCX(2021年モデル)で燃費測定も以前にしました。そのときの数値は35~40km/Lほど。

PCXの場合はスロットルをガンガンあけたくなる特性というのもあり、乗り方にずいぶんちがいはあったものの、スーパーカブ110はやはりすごい。

画像: 給油口はシートの下。シートの開閉に鍵は必要なく、キャップにロック機構が備わっています。

給油口はシートの下。シートの開閉に鍵は必要なく、キャップにロック機構が備わっています。

スーパーカブ110の燃料タンク容量は4.3L。今回、燃料計の針がほとんど動かなくなる状態で給油したのですが、まだ1L以上残っていたというわけです。4.3L×44km=189km。これが計算上の満タンでの航続可能距離です。

ただギリギリまで粘るのはやっぱり不安なので、針が動かなくなったなあ、と気づいたときに給油するのがよさそうですね。

トリップメーターは備わっていません。フルアナログのメーターは、速度・オド・燃料計のみのシンプル仕様。加えてウインカーとニュートラルランプが付いています。

ギアポジションインジケーターもないため、乗り始めてはじめの頃は、「いま何速だっけ?」と、とまどうでしょう。ちなみにギアポジションインジケーターが付いているのは、スーパーカブC125のみ。クロスカブやハンターカブにも備わっていません。


画像: シート高:735mm ライダーの身長・体重:175cm・80kg

シート高:735mm
ライダーの身長・体重:175cm・80kg

足つきと取り回し

「短足なうえに脚が太くて参考にならん」と仲間内からいわれている西野でさえ、両足かかとまでべったり。膝に余裕もあり。

このまま押したり引いたりして動かすのも車体が軽いからラクラク。車両重量はわずか99kg。自転車並みに扱いやすいとまでは言いすぎかもしれませんが、何の不安もなく自由に動かせます。

街乗りをしていると、バイクを押して歩けば得なことってたびたびありますよね。そういうとき、すっと降りて歩こうと思えるのは、ありがたいものです。


画像: 足つきと取り回し

コンビニフックはちょっと不安?

コンビニフックがさりげなく備わっています。ただ、スーパーでの買い物後、ビニール袋を引っかけてそのまま走るのは、少し抵抗を感じました。

フックの高さが短くて、段差を乗り上げたときや急ブレーキをかけたときなどに落ちそう……と思ったためです。

そもそもこのフックはそういう使い方を想定していないのかもしれません。やっぱり危険ですからね。


画像: コンビニフックはちょっと不安?

ヘルメットホルダーを標準装備

いまでは備わっている方が珍しくなりつつある、昔ながらの鍵付きヘルメットホルダーは標準装備。スクーターとちがい、ヘルメットの置き場に困るカブ。これがあるとなしで使い勝手がまるで変わります。

ちなみにCT125・ハンターカブとスーパーカブC125には、このタイプのヘルメットホルダーは採用されていません。いずれもシートを開けて、シート内のフックやワイヤーを使うタイプで、とくにハンターカブの場合はめんどくさいんです。


画像: ヘルメットホルダーを標準装備

ミッションは4速、街乗りなら充分か

総排気量は109cc。最高出力8PS/7500rpm・最大トルク0.87kgf・m/5500rpm。街乗りなら不足ない力を持ち、信号の多い都心では4速ミッションのうち3速までしか使わなくても充分でした。

ツーリングになるとトップギアの4速が大活躍するでしょう。逆に4速ばかりになるはず。カブ特有のシフトチェンジには慣れが必要です。とくにギアを落とすとき、強烈なエンジンブレーキがかかります。

画像: 始動はセルスイッチのほか、キックスタートもできます。急にバッテリーがあがってしまったときも安心ですね。

始動はセルスイッチのほか、キックスタートもできます。急にバッテリーがあがってしまったときも安心ですね。


画像: ミッションは4速、街乗りなら充分か

ブレーキの利き具合は分かりやすい

ブレーキは前後ドラム式。最近では原付二種でもディスクブレーキが増えている中、オーソドックスな昔ながらのブレーキシステムを採用しています。

ディスクブレーキと比べると「利かないな」と思う人もいるでしょう。しかしこれがひと昔前のスタンダード。ディスクブレーキの車両よりも強めに握るといいかもしれません。

握った力に合わせて制動力を調整できるので、分かりやすくはあります。スーパーカブ110は俊敏なバイクではないため、個人的には充分だと思いました。コストを抑えることにもつながっています。


画像: ブレーキの利き具合は分かりやすい

シートはふかふか

自転車のサドルのような形状のシートがカブの特徴のひとつ。ただ、そのクッション性は自転車とは比にならないのでご安心を。

スポンジにしっかりと厚み・弾力があり、街乗りでは何不自由なく快適。通勤通学のみならず、仕事として一日中使われることも想定されるスーパーカブは、長時間の乗車を考慮して造られています。

だからこのシートは、ツーリングでも快適なのです。


画像: シートはふかふか

ヘッドライトはLED

灯火類はヘッドライトがLEDで、ウインカーとテールランプはオーソドックスな電球タイプ。

丸目のヘッドライトから放たれる白色LEDは、明るくて照射範囲も広いもの。スーパーカブ110で、もっとも先進的な装備がこのLEDヘッドライトといえるかもしれません。

ヘッドライトだけLEDというのは、コストを抑えつつ、夜間の安全性を確保するというバランスをとった決断なのだと思います。

以前の電球タイプのカブのヘッドライトと比べると、夜間走行の安心感は段違いですよ。

画像: 真夜中に帰るときも安心でした。

真夜中に帰るときも安心でした。

まとめ

いまカブシリーズの人気がすごいそうです。webオートバイでカブの記事を連載している若林浩志さんによると、取材しているお店で「入荷したそばから売れていく」なんて話をよく聞くのだとか。

今回紹介した「スーパーカブ110」は、原付二種のカブシリーズでもっともベーシックな一台。そして歴史を持った王道モデル。

画像1: まとめ

2013年にクロスカブ(クロスカブ110)、2018年にスーパーカブC125、2020年にはCT125・ハンターカブが登場。続々とファミリーが増え続ける中でも、スーパーカブ110の人気は衰え知らず。むしろ相乗効果的に、価格が魅力的ということもあり、人気が増しているのだとか。

カラーラインナップが、現行モデルで全6色も設定されている点からも需要の高さがうかがえますね。

画像: www.autoby.jp
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2020年には、映画『天気の子』バージョンのピンクも受注期間限定モデルとして登場しました。そう、ちょうど通勤インプレ期間中に西野も『天気の子』を観たのですが……やはりスーパーカブはかっこいい! あれを観ちゃうと本格的に欲しくなります。

画像: スーパーカブ110・『天気の子』ver. www.autoby.jp

スーパーカブ110・『天気の子』ver.

www.autoby.jp

日常から使うバイクを探すとき、候補にまず挙がるのはスクーターモデルでしょう。もちろん大人気のPCXをはじめ、ホンダならリード125やディオ110といったロングセラーモデルがあり、それぞれに個性を持っています。

スクーターにするかカブにするか……難しい問題ですが、より濃密なバイクライフを送りたければカブの方がいいかもしれませんね。

カブオーナーは「カブ主」とも呼ばれ、全国各地でカブファンが参加するミーティングなどが開催されています。

また、カブ経験者であるOB・OGも多く、あなたが「もっとカブのことを知りたい!」と思えば、自然と情報は入ってくるはずです。

画像2: まとめ

今回、黄色いスーパーカブ110を一目見て、「綺麗な色だなぁ。でもいい年したおっさんが乗るには……ちょっと気恥ずかしい」なんて思いました。

しかし街乗りを続けていると、まあよく道行く人に声をかけられました。この黄色いスーパーカブ110に乗り続けていれば、それだけで地域の人気者になれるかもしれません。

日本人は、やっぱりカブが大好きなんだなあ、とあたらめて知った次第です。

文:西野鉄兵/写真:山口銀次郎、岩瀬孝昌、竹山ケンタ、西野鉄兵

画像3: まとめ

ホンダ「スーパーカブ110」 主なスペック・価格

全長×全幅×全高1860×695×1040mm
ホイールベース1205mm
最低地上高135mm
シート高735mm
車両重量99kg
エンジン形式空冷4ストSOHC単気筒
総排気量109cc
ボア×ストローク50.0×55.6mm
圧縮比9.0
最高出力5.9kW(8.0PS)/7500rpm
最大トルク8.5N・m(0.87kgf・m)/5500rpm
燃料タンク容量4.3L
変速機形式4速リターン(走行中はリターン式で、停車時のみロータリー式)
キャスター角26°30´
トレール量73mm
タイヤサイズ(前・後)70/90-17M/C 38P・80/90-17M/C 44P
ブレーキ形式(前・後)ドラム・ドラム
メーカー希望小売価格28万500円(税込)

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