ヤマハ「XJR1300」の各部、歴史
XJR1300(RP03J)2003年3月
2000年のマイチェンを経て、2003年3月のモデルチェンジでは型式進行。FZS1000ベースの軽量ホイールや騒音規制に対応した大容量マフラーを採用し、盗難抑止装置のイモビライザーを標準装備。新作メーターやフィット性に優れたディンプル加工のシートも新たに採用。
XJR1300(RP17J)2006年11月
燃料供給のインジェクション化やキャタライザーの装備、フロントフォークの内部構造とセッティングの変更などが行われて型式進行。排気系では、シリーズ初の4-2-1 構造を採用し、サイレンサー手前部分にオーバーラップ時の排気圧力波を抑制するEXUPを装備。
ヤマハ「XJR1300」解説
存続が危ぶまれた「空冷直4」の存在を堅守
大型二輪免許が1996年から教習所での取得が可能となり、大型二輪クラスの登録台数は驚異的な伸長を記録。ネイキッドクラスも激戦区となり、ヤマハはXJR1200を大幅にブラッシュアップさせたXJR1300をデビューさせる。
熟成が進んだ空冷DOHC4気筒は1250ccにスケールアップして全域に渡ってトルクを一枚上乗せし、高回転域の頭打ち感も解消した理想的なパワー特性を実現。タイヤサイズの変更とサスペンションセッティングの見直しによって、ハンドリングもより軽やかでシャープな味付けとなった。
しかし平成19年度排出ガス規制は空冷エンジンにとって特に厳しいものとなり、多くの空冷エンジンモデルがこの排ガス規制を機に姿を消していった。
XJR1300も存続が危ぶまれた1台だったが、元々1250cc化された際に耐熱力に余裕があり、燃焼効率も高かったことから、燃料供給のインジェクション化と排気系のリメイク、キャタライザーの装備、バルブタイミングの変更などによって規制値をクリア。
XJR1300=「大排気量空冷4気筒」を存続させ、2017年まで生産を続けるロングセラーとなった。
この記事は、月刊『オートバイ』2020年12月号別冊付録「RIDE」の特集を一部加筆修正したものです。