文：太田安治、木川田ステラ、オートバイ編集部／写真：森 浩輔
スズキ「GSX250R/ABS」インプレ・解説（太田安治）
SUZUKI GSX250R/ABS
総排気量：248cc
エンジン形式：水冷4ストSOHC2バルブ並列2気筒
シート高：790mm
車両重量：178kg（ABS搭載車は181kg）
2021年モデルの発売日：2020年12月25日
メーカー希望小売価格：税込53万6800円（ABS搭載車は56万9800円）
※カラー「トリトンブルーメタリックNo.2」は税込54万8900円（ABS搭載車は58万1900円）
実用域での扱いやすさと楽しさを重視したキャラクター
スポーツライディングでの速さよりも実際の使用状況を考慮して乗りやすさを重視したフルカウルモデルがGSX250R。ストリート適性を優先したコンセプトで人気のあったカウル付きスポーツ、GSR250Fをルーツに持つモデルだ。
端正なルックスはスズキが誇るスーパースポーツGSX-R系を想わせるスポーティなデザインだが、ハンドルが若干低くなった程度で、シートの着座位置とステップ位置はベースのGSRからあまり変わってはおらず、ゆったりしたライディングポジションは受け継がれている。
搭載される2気筒エンジンはOHC2バルブで、公道で常用する回転域での扱いやすさを徹底追求した特性となっている。24PSというパワースペックは物足りなく映るかもしれないが、そのパワーを発生するのは他のライバル車たちより低い8000回転だ。
最大トルクも6500回転で発生するから、トップエンドまでギャンギャン回して乗らなくても力強く、発進加速もタンデムライディングもラクにこなせるのが魅力だ。
また、このエンジンは振動も少なく、吹け上がりもスムーズなので、高速道路などでのクルージングがとても快適。さすがに峠道の登り区間をフル加速するようなシチュエーションでは高回転域のパワー不足を感じるが、中回転域をメインに使うようなツーリングペースなら不満はない。
ハンドリングはライバル車より1サイズ太いフロントタイヤの採用に加え、カウル装着、加えて前傾姿勢によりベースのGSRよりもフロント荷重が増加していることもあって、市街地でも峠道でもフロントまわりの落ち着きが際立っている。
高速道路で横風を受けても直進性を乱されにくいし、峠でもライダーの技量や路面状況を問わず、安心してコーナーをクリアできる。ABSモデルが追加され、安心感が増したのもビギナーや余計な神経を使いたくないツーリングライダーには嬉しいポイントだ。
スタイリッシュなフルカウルを纏っているが、実際のキャラクターは現実的な速度域での扱いやすさを徹底的に追求したもの。実用性能に注力して「実を取った」コンセプトは納得できるものだし、リーズナブルな設定の価格も大きな魅力だ。
