文:中村浩史/写真:森 浩輔/モデル:Ruriko、十徳汐莉、石神邦比古、松浦翔太
【カブシリーズ比較】車体スペック編
モデルによって専用設定の車体を用意
車体サイズや剛性についても、やはりエンジン特性にマッチした設定がされているカブファミリー。つまり動力性能が高いハンターカブがいちばん剛性が高くがっしり、カブ110は華奢でコンパクトに仕上がっている。
とはいえ、古くからのカブのよさを感じさせるのはカブ110で、この4台のうち1台だけ車重が100kgを切って、いちばんシート高も低い。小柄な女子や足つきに不安がある人はカブ110の安心感が捨てがたいだろう。
乗り心地も、ハンターカブがいちばんがっしり、クロス110、C125、カブ110の順に乗り心地が柔らかくなっていく印象。気になったのはブレーキで、前後ドラムの110はやはり制動力不足が気になり、前後ディスクのハンターがも最も安心。
エンジンの特性で、パワフルな順にそれぞれ車体のがっしり感、制動力まで合わせて専用設定しているホンダの開発力に脱帽しちゃいます!
【車体スペック比較】
スーパーカブ110 | クロスカブ110 | C125 | CT125 | |
全長×全幅×全高 | 1860×695×1040㎜ | 1935×795×1090㎜ | 1915×720×1000㎜ | 1960×805×1085㎜ |
ホイールベース/最小回転半径 | 1205㎜/1.9m | 1230㎜/2.0m | 1245㎜/2.0m | 1255㎜/1.9m |
最低地上高/シート高 | 135㎜/735㎜ | 157㎜/784㎜ | 125㎜/780㎜ | 165㎜/800㎜ |
車両重量 | 99㎏ | 106㎏ | 110㎏ | 120㎏ |
キャスター角/トレール量 | 26°30′/73㎜ | 27°00′/78㎜ | 26°30′/71㎜ | 27°00′/80㎜ |
タイヤサイズ 前・後 | 70/90-17・80/90-17 | 80/90-17・80/90-17 | 70/90-17・80/90-17 | 80/90-17・80/90-17 |
ブレーキ形式 前・後 | ドラム・ドラム | ドラム・ドラム | ディスク・ドラム | ディスク・ディスク |
【カブシリーズ比較】燃費編
実測燃費で60km/Lを実現できる原付二種のカブシリーズ
スーパーカブと言えば好燃費というのが代名詞的な要素だ。
かつてはカタログデータで180km/Lをマークした型(83年式50スーパーカスタム)もあったが、現在の原付ニ種カブファミリーのカタログ燃費データは下記のとおりの60km/L代。
もちろん、WMTC(バイク燃費計測世界基準)モードで表記される現在のカタログデータは、80年代よりもはるかに現実的で、実測の燃費データとカタログデータの誤差はほとんどない。
今回の4モデルでもっとも燃費が良かったのがC125で、低回転トルクがあり、二次減速比もローギアードなのが好燃費につながった。
しかしC125は燃料タンクが小さい(4車中最少の3.7L)こともあってフルタンク航続距離が長くないのが玉にキズ。ハンターカブの5.3Lタンクがあれば、1タンク400kmも夢ではない。
インジェクションモデルとなった現代のカブファミリーは、アクセルのオンオフを少なく、一定スピードで速度上下も避けて──といった気を使う燃費走行でなくても、下の実測燃費がマークできるのも強み。
ちなみにC125で現実的な「気を使った」燃費走行をしたときには、72km/Lが精一杯でした。
【燃費比較】
スーパーカブ110
実測61.4km/L(カタログ値67.0 km/L)
クロスカブ110
実測61.4km/L(カタログ値66.7 km/L)
スーパーカブ C125
実測69.2km/L(カタログ値66.1 km/L)
CT125 ハンターカブ
実測64.8km/L(カタログ値67.2 km/L)
上の実測燃費は、今回の半日、往復約150kmのショートツーリングで計測した数値だ。4台一緒に走っているため、同じスピードならば、110ccよりも回転数を抑えられる125ccの方が有利ということになる。
各ライダーによる走り方も違いはあるとはいえ、今回の燃費ナンバーワンはスーパーカブC125。
これはエンジン比較でも触れた二次減速比の影響も出た結果で、同じ125ccのうちハイギヤードなC125の方の燃費がいい、という証明になった。
燃料タンク容量を掛け合わせた1タンク航続可能距離は、110ccの2台が約260km、C125が約250km、CT125が340kmといったところで、C125のタンク容量をもう少し欲しいところ。
【カブシリーズ比較】装備編
共通部品は極力使わず充実する方向性を差別化
実際にオーナーが目にする車体装備も、モデルごとにきちんと差別化を図っているのがカブファミリーのスゴいところ。コストをかけたくないオーナー向け、ゴージャスにしたいオーナー向け、というターゲットづくりがきちんと機能しているのだ。
いちばん装備が充実しているのはやはりハンターカブ。フルデジタルメーターで、ヘッドライト&ウィンカーなどの灯火類も全てLED。C125は、ハンターも持たない切削加工のアルミキャストホイールや、ギアポジションインジケーターつきメーターも備える。おしゃれなアナログ/デジタル併用のC125と、多機能のハンターカブと、充実させる方向をそれぞれ棲み分けしている。
逆にスーパーカブ110とクロスカブ110はシンプルなタコメーターなしのアナログスピードのみ。110のトリップメーターすらないメーターは、これぞまさにスーパーカブ! 燃料計すらメーターになかった時代もあるのだから、これでイイ。
見逃せないのは、クロスカブ110とハンターカブのタイヤで、特にフロントにスーパーカブ110もC125も履いていない、80サイズ90偏平タイヤを履いていること。これがクッション厚もあり、ちょっとした未舗装路にも入って行ける信頼性があり、ちょっとハードな使い方にも耐える走りを生んでいると言っていい。
【メーターパネル比較】
共通部品を使わず、各モデルごとに専用メーターを装着しているのもカブファミリー人気の秘密のひとつ。やはりスーパーカブ110がいちばんシンプルで、C125はアナログ&デジタル併用、CT125はフルデジタル。C125のみギアポジションインジケーターを装備。
【ハンドル&ヘッドライト比較】
ハンドル&ヘッドライトも全車専用設計。スーパーカブ伝統のカバードハンドルが110とC125に採用され、クロス&ハンターはパイプハンドルを採用。ハンドルスイッチはハンターカブのみ右グリップ側にキルスイッチを標準装備している。
【給油口比較】
スーパーカブの給油口といえばシート下。110はシートロックなしでフューエルキャップキーつき、C125はシートにロックボタンが装備され、フューエルキャップ自体がキーレスだ。
文:中村浩史/写真:森 浩輔/モデル:Ruriko、十徳汐莉、石神邦比古、松浦翔太