文:オートバイ編集部/写真:南 孝幸、西野鉄兵
ホンダ GB350シリーズ開発陣
ホンダ「GB350/S」開発者インタビュー
雑味をなくしクリアに楽しむ空冷シングル
「自分たちの作りたいバイクを開発できた」と言う笑顔が印象的だったGB350シリーズの開発チーム。開発のきっかけをプロジェクトリーダーの山本さんに伺った。
「ロイヤルエンフィールドが大きなシェアを持っているインドで、若いライダーをターゲットにオールニューのバイクを造ろう、ということで開発が始まりました。350という排気量も現地の税制を考慮したものです」
空冷シングルエンジンを選んだのはなぜかも山本さんに聞いてみた。
「エンジン形式の決め手になったのは力強いトルクで、インドの山道をバイクで登りたい、という彼らの“夢”を考えたとき、OHCシングルが最適だと考えました」
空冷シングルと言えば、排ガス対策はどうだったのだろう? 目指したエンジン特性とあわせて若狭さんに聞いた。
「シングルというと振動が多い、とネガにとらえがちですが、その中で気持ちいい振動を残して、雑味のない、良い意味での振動を残したいと考えました。低回転域だけでなく、全域で鼓動を楽しめる仕様を目指しました。排ガスについては素性の良いエンジンを造れば、環境対策は難しくないと考えました」
車体造りのポイントについては、井口さんがこう教えてくれた。
「GBはゆったりとした運動特性にしたかったので、メインビームを長く取って、しなりを感じる仕様としています」
今回、スポーツバージョンのGB350Sも実車が登場したが、スタイリングで意識したポイントを立石さんに伺ってみた。
「GB350はボリューム感を出しながら引き締めるところは締めて、メリハリのあるボディワークを目指しました。Sは運動性能の高さを強調したいと考え、外装パーツを小さく軽くしたデザインとしています」
Sとスタンダードで、エンジン特性はどう違うか、栁澤さんにも教えていただいた。
「Sはスポーティさを大切にして、FIのセッティングを変え、スロットルを開けた時のパワーの立ち上がり方を変えています」
乗ればだれでも鼓動感を楽しめ、ゆったり走る楽しさを味わえるGB350シリーズ。山本さんからメッセージをいただいた。
「GBは街乗りから遠出まで、どこでも楽しめるモデルです。シングルエンジンに初めて触れる感動を、日本の若いライダーの方にも味わっていただけたら嬉しいです」
ホンダ「GB350」「GB350 S」主なスペック・価格
【GB350】
全長×全幅×全高 | 2180×800×1105mm |
ホイールベース | 1440mm |
最低地上高 | 166mm |
シート高 | 800mm |
車両重量 | 180kg |
エンジン形式 | 空冷4ストOHC単気筒 |
総排気量 | 348cc |
ボア×ストローク | 70.0×90.5mm |
圧縮比 | 9.5 |
最高出力 | 15kW(20PS)/5500rpm |
最大トルク | 29N・m(3.0kgf・m)/3000rpm |
燃料タンク容量 | 15L |
変速機形式 | 5速リターン |
キャスター角 | 27゜30′ |
トレール量 | 120mm |
タイヤサイズ(前・後) | 100/90-19M/C 57H・130/70-18M/C 63H |
ブレーキ形式(前・後) | シングルディスク・シングルディスク |
メーカー希望小売価格 | 55万円(消費税10%込) |
【GB350S】
全長×全幅×全高 | 2175×800×1100mm |
ホイールベース | 1440mm |
最低地上高 | 168mm |
シート高 | 800mm |
車両重量 | 178kg |
エンジン形式 | 空冷4ストOHC単気筒 |
総排気量 | 348cc |
ボア×ストローク | 70.0×90.5mm |
圧縮比 | 9.5 |
最高出力 | 15kW(20PS)/5500rpm |
最大トルク | 29N・m(3.0kgf・m)/3000rpm |
燃料タンク容量 | 15L |
変速機形式 | 5速リターン |
キャスター角 | 27゜30′ |
トレール量 | 120mm |
タイヤサイズ(前・後) | 100/90-19M/C 57H・150/70R17M/C 69H |
ブレーキ形式(前・後) | シングルディスク・シングルディスク |
メーカー希望小売価格 | 59万4000円(消費税10%込) |
文:オートバイ編集部/写真:南 孝幸、西野鉄兵