スズキ「GSX-S950」の特徴
ヨーロッパの「A2」免許向けにコンバートも可能
写真を見比べる限りでは、外観上は印象的なフロントマスクをはじめ、先日フルモデルチェンジされて欧州で発売が始まったばかりの新型「GSX-S1000」とほとんど同じに見えるし、実際にメカニズムも含めて多くの部分は共通だ。
ただし、エンジンの最高出力を見ると「1000」の152PSに対して「950」は95PSにダウン。価格も「1000」の1万3199ユーロに対して、「950」は1万399ユーロ。その価格差2800ユーロは、日本円換算で約37万円となるから、かなりディスカウントされている。
では「GSX-S950」は「GSX-S1000」の単なる廉価版なのかといえば、そうではない。欧州経済領域(EEA)内の免許制度で設定されている「A2」免許に適合させることも可能になっているのだ。
ヨーロッパでの二輪免許は3段階に別れている。一番上のグレードが「A」(年齢20歳以上、A2以下の免許で2年以上の経験があること)で、2年以上の経験があれば排気量やパワーなどの制限は受けない。一番下の「A1」(年齢16歳以上)で乗れるのは、排気量125cc以下で最高出力11kw=約15PS以下。そして「A」と「A1」の間に位置する「A2」(年齢18歳以上)にも排気量制限はないが、最高出力35 kW=約48PS以下でパワーウェイトレシオ0.2 kw/kg以下の二輪車に限定される。
もちろん「A2」免許ではビッグバイクのフルパワーを味わえないことになるが、日本の感覚よりもかなり高額な任意保険料金が低く抑えられるなどメリットも多いとされる。
しかし「GSX-S950」の最高出力95PSでは「A2」免許の条件を超えてしまうはず。しかし吸気制限によってパワーを抑える純正キットが用意されていて、「A2」規定をクリアできるようになっているのだ。
このキットを装着するとピークパワーこそ低くなるが、6500rpmという低い回転で発揮される92Nmという十分なトルクはそのまま。ライドバイワイヤー、3モードのトラクションコントロールと合わせて、扱いやすくしかも力強い走りを味わえる。
また、価格を抑えるために各部のパーツも変更。KYB製の倒立フォークからは調整機構が省かれ、フロントブレーキキャリパーはブレンボ製からトキコ製に。ハンドルバーもテーパーバーからストレートバーとされた。クイックシフターも装備されていない。とはいえ、アルミツインスパーフレームをはじめとする車体の基本構成はそのまま受け継がれていて、スポーティな乗り味はそのまま。
スズキ「GSX-S950」のカラーバリエーション
ウインカーはLEDからバルブタイプになった程度で、スタイリングはほとんど変更されていない。フォークのアウターチューブやクランクケースカバーの色、グラフィックなどは「GSX-S1000」と異なる。カラーリングは、メタリックトリトンブルー、パールブリリアントホワイト、メタリックマットブラックNo.2の3色が設定されている。
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スズキ「GSX-S950」の主なスペック
全長×全幅×全高 | 2115×810×1080mm |
ホイールベース | 1460mm |
シート高 | 810mm |
車両重量 | 214kg |
エンジン形式 | 水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒 |
総排気量 | 999cc |
ボア×ストローク | 73.4×59mm |
圧縮比 | 12.2 |
最高出力 | 95PS/7800rpm |
最大トルク | 92Nm/6500rpm |
燃料タンク容量 | 19L |
変速機形式 | 6速リターン |
キャスター角 | 25° |
トレール | 100mm |
タイヤサイズ(前・後) | 120/70ZR17・190/50ZR17 |
ブレーキ形式(前・後) | Φ310mmダブルディスク・Φ220mmディスク |
まとめ:小松信夫