ホンダ「NSR250R」[MC21]の特徴・歴史
フルモデルチェンジでポテンシャルの引き出しやすくなった
MC18の型式ながら、5角断面スイングアームや新型ロングチャンバー、前後ラジアルタイヤなどを採用し、エンジン制御も点火時期、空燃比、RCバルブ作動、オイル吐出量を総合的にコントロールするPGM‐Ⅱに進化した89年モデルを経て、1990年2月、MC21型にフルモデルチェンジ。
エンジンはシリンダーやシリンダーヘッド、クランクケース、クランクシャフトといった主要パーツは新設計されている。それまでのNSRは他の追随を許さないポテンシャルを備えていることに疑いの余地もなかったが、全ての人がそれを引き出し、楽しむとなると必ずしも容易なモデルとは言えなかった。
90年型はその点で大きく進歩したといえるモデルで、硬質なフィーリングが薄れてタイヤの接地感がつかみやすくなり、マシンコントロールの幅が広がってポテンシャルが引き出しやすくなった。
一方、ライバルのTZR250は1989年2月に後方排気にフルモデルチェンジ。スズキも1988年3月にVツインエンジン搭載のRGV250Γを投入し、その後、1990年1月にフルモデルチェンジを行うが、大きくリードするNSR250Rの牙城を崩すことが出来ず、サーキットではNSRの活躍が続くことになった。
ホンダ「NSR250R」[MC21]の主なスペック
全長×全幅×全高 | 1975×655×1060mm |
ホイールベース | 1340mm |
最低地上高 | 135mm |
シート高 | 770mm |
車両重量 | 151kg |
エンジン形式 | 水冷2スト90度V型2気筒 |
総排気量 | 249cc |
ボア×ストローク | 54.0×54.5mm |
圧縮比 | 7.4 |
最高出力 | 45PS/9500rpm |
最大トルク | 3.7kgf・m/8500rpm |
燃料タンク容量 | 16L |
変速機形式 | 6速リターン |
キャスター角 | 23°15′ |
トレール量 | 87mm |
タイヤサイズ(前・後) | 110/70R17 54H・150/60R17 66H |
ブレーキ形式(前・後) | ダブルディスク・シングルディスク |
当時価格 | 60万9000円 |
※この記事は月刊『オートバイ』2021年6月号別冊付録「RIDE」の特集から一部抜粋し、再構成して掲載しています。当特集のスタッフ 文:安藤佳正、宮﨑健太郎/写真:赤松 孝、松川 忍、南 孝幸、森 浩輔/撮影協力:ホンダコレクションホール