ホンダ「NSR250R SP」[MC21]の特徴・歴史
プロダクションレースを念頭に置いたマシンの登場
80年代、90年代のレーサーレプリカブームの大きな要因として、ロードレース人気があった。2スト250cc、4スト400ccの市販車をベースに、改造は制限されたマシンで争われるプロダクションレースでは、ベースマシンのポテンシャルがリザルトに直結するクラス。その成績がオートバイの売り上げに少なからず影響し、メーカーとしても無視できなかった。
そんな状況の中で、あらかじめレース向けの装備を搭載したモデルが生まれた。いわゆるSP仕様だ。
最初にその類のマシンを市販したのはヤマハ。1987年4月にシングルシートやクロスミッション、排気デバイスEXUPなどを装備したFZR400Rを発売する。NSRでは88年型に量産市販車世界初のマグネシウム合金製ホイールを装着し、約1.5kgの軽量化を図ったSPが最初だった。
その後、89年型にもSPを発売し、1990年4月には写真のNSR250R SPが登場した。ガルアームが特徴のMC21型をベースに、乾式クラッチ、伸び側減衰力調整機構付きフロントフォーク、リザーバータンク付きフルアジャスタブルリアショック、マグテックホイールを標準装備。スタンダードモデルの11万円高で、2500台の限定モデルだった。
ホンダ「NSR250R SP」[MC21]の主なスペック
全長×全幅×全高 | 1975×655×1060mm |
ホイールベース | 1340mm |
最低地上高 | 135mm |
シート高 | 770mm |
車両重量 | 152kg |
エンジン形式 | 水冷2ストV型2気筒 |
総排気量 | 249cc |
ボア×ストローク | 54×54.5mm |
圧縮比 | 7.4 |
最高出力 | 45PS/9500rpm |
最大トルク | 3.7kgf・m/8500rpm |
燃料タンク容量 | 16L |
変速機形式 | 6速リターン |
キャスター角 | 23°15′ |
トレール量 | 87mm |
タイヤサイズ(前・後) | 110/70R17 54H・150/60R17 66H |
ブレーキ形式(前・後) | ダブルディスク・シングルディスク |
当時価格 | 71万9000円 |
※この記事は月刊『オートバイ』2021年6月号別冊付録「RIDE」の特集から一部抜粋し、再構成して掲載しています。当特集のスタッフ 文:安藤佳正、宮﨑健太郎/写真:赤松 孝、松川 忍、南 孝幸、森 浩輔/撮影協力:ホンダコレクションホール